カシミールブラックなイカめし!
本格エスニックカレーのテイストを手間なく使えるソースがあったら、こんなメニューもできる。完成度の高いエスニックソースが仕込み時間をカットし新メニューを次々と生み出す。
文・撮影/長尾謙一
《スパイス・ハーブが決め手のカレーソース》
・カシミールブラックカレーソース
・バターマサラソース
・グリーンカレーソース
(素材のちから第45号より)
「カシミールブラックカレーソース」「バターマサラソース」「グリーンカレーソース」、この3種の本格エスニックカレーソースでいったい幾通りのメニューが考えられるだろう。1パック1kgのレトルトパウチという形態もロスなくとても使いやすい。
〝エスニックカレーソース〟を自由自在に使いこなす。
この「スパイス・ハーブが決め手のカレーソース」3品は、それぞれのエスニックカレー用としてつくられたが、その本格的な味わいと使いやすさは新たなメニューの開発に力を発揮する。ワインを中心にビールやレモンサワーを提供している立ち飲みビストロでは、このソースをどう使うだろう。
料理長 佐伯 英佑 さん
ソースの完成度が高いから少し手を加えるだけで新しいメニューができる
まず、「カシミールブラックカレーソース」でイカ飯をつくってみました。このカレーソースのコクのある重厚な味わいに、イカ墨のイメージが重なったからです。
イカの下足を細かく刻んでバターで炒めたところに、「カシミールブラックカレーソース」と米を入れ、チーズを加えてリゾットをつくります。
これを生のイカの中に詰めてオーブンで焼くと、濃厚なコクとスパイシーなイカめしができました。刻んで炒めたイカの旨みとチーズの熟成感が加わって、結構イカ墨風に仕上がったと思います。
ここまで完成度高くソースがつくり込まれていますから、後は少し手を加えるだけで本格的なオリジナルメニューに展開できて凄く使いやすいです。
出汁でのばしてカレーうどんにしてもいいですし、少量のご飯と一緒に〆のカレーとして提供してもいいと思います。
「バターマサラソース」のスパイス感をバジルと夏野菜に合わせる
次は「バターマサラソース」にバジルの香りを合わせてみました。
バジルを練り込んだラビオリの生地の中にコリアンダーとクミンを加え塩で味を調えた豚ひき肉を詰めました。「バターマサラソース」にトマトの甘みや酸味がありますから、イタリアンの発想からバジルと相性がいいかなと思ったのです。
そして「バターマサラソース」のスパイス感が夏っぽいイメージなので、夏野菜のパプリカ、ズッキーニをにんにくと一緒に炒めたものを合わせてソースにしました。このソースの中にラビオリを入れて火を通して盛り付けます。
「バターマサラソース」はやはりバジルと凄く合いますね。ソースに入っているスパイスの風味がきちんと出ていますから、エスニック感が印象的でとても分かりやすいと思います。エスニック感といっても辛いわけではなく、誰にでもおいしく食べていただける仕上がりです。
これからの季節にはとてもいいですね。トマトカレーにしたり、豚ひき肉と一緒に炒めたものにチーズをかけてグラタンにするとか、いろいろと幅広くアレンジできます。
手間がかかる仕込みはメニューの多いお店ではできないので、とても助かると思います。
香りと辛みが立ち上がってくるスパイシーなグリーンカレーパンができた
最後はカレーパンをつくってみました。
豚ひき肉を炒めて、そこにナンプラーと「グリーンカレーソース」を加えて少し煮詰めて水分を飛ばします。
温かいままでは状態がゆるく包みづらいので冷やして固めます。これをパン生地の真ん中に敷いて、その上にカットしたイチジクをのせて半月形に包んでパン粉をつけて油で揚げました。なぜ揚げパンかというと、そういえばグリーンカレーパンって売ってないなぁと思ってつくってみました。
オーソドックスなタイプのカレーパンに比べると香りが凄く立ってきて、食べ進めると辛みもきっちりと出てきます。さすがにスパイスメーカーのエスニックソースだけあって、つくったこのフィリングも、香りと辛みのレベルが違いますね。凄くおいしいと思います。
これは惣菜パンでもいいですが、おつまみに最適ですね。お酒も合わせやすい。ワインなら果実味があって少しキレのあるソーヴィニヨンブランみたいな辛口がいいと思います。
春巻きの皮でもいいし、餃子の皮でもパイ生地でもいい、このフィリングを何かで包めばグリーンカレー風味の新しい料理が簡単にできます。しかも味は本格的。とにかく使いやすいと思いますね。
(2022年6月30日発行「素材のちから」第45号掲載記事)
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