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「プラントベース」という黒船
世界中が目指すサステナブルな社会。食肉の分野でも植物由来の原材料でつくられる「プラントベースドミート(PBM)」が登場し世界の需要は伸びている。日本の食にも「プラントベース」という黒船がやってきた。
文・撮影/長尾謙一
ベジタリアンブッチャー プラントベースドミート
・ビーフパテ
・ソーセージ
・ミートボール
・チキンチャンク
・ナゲット
・ミンチ
・ツナ
この鶏肉が植物由来の原材料でできているとは驚きだ。
〝フェイクミート〟から〝プラントベースフード〟へ
何年も前から〝フェイクミート〟という言葉はよく耳にしていた。ベジタリアンやビーガンの人たち向けに開発されたものだ。これは〝フェイク〟という言葉が〝偽物〟や〝偽造する〟という意味を持つように大豆を原料としてつくられる、いわゆる〝肉もどき〟で、正直に言って決しておいしいものではなかった気がする。
もともと大豆を原料とする大豆タンパクは、ハンバーグなどを製造する際に増量するために使われていたから、その延長線でつくられる〝フェイクミート〟には、おのずとおいしさに限界があった。
最近よく〝プラントベースフード〟という言葉を聞くようになった。これは主に植物由来の原材料でつくられた食べ物全般を指すが、SDGsに貢献できるとして注目されはじめ、商品も続々と開発されている。
〝プラントベースフード〟はベジタリアンやビーガンの人たちだけではなく、サステナブルな社会を実現させるために、一週間の内に何度かは〝プラントベースフード〟を使った食事をとろうとするフレキシタリアンもターゲットだ。そして、こうした人々が世界中に増え続けている。
〝ベジタリアンブッチャー〟の提供する「プラントベースドミート」
今回は日本で「プラントベースドミート(PBM)」を展開する(株)ベジタリアンブッチャージャパンをご紹介したい。
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代表取締役社長 村谷 幸彦 さん
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「(株)ベジタリアンブッチャージャパン」 東京都豊島区西池袋
(株)ベジタリアンブッチャージャパンは、食肉界の革命児と言われる、オランダ発の「プラントベースドミート」を輸入している。未来型のハンバーガーショップを展開し、「PBM」をすべてグラム単位で量り売りする日本初の「PBM」専門の肉屋を併設しているため、「PBM」肉屋だけの利用も可能だ。店内ではLEDライトを使った無農薬の水耕栽培を行い、育てた野菜は店の料理に使っている。
下の画像〝チキンのブロシェット〟は「PBM」の鶏モモ肉でできている。このチキンブロシェットを食べて、いったい何人が本物の鶏肉ではないと分かるだろうか。
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ジューシーに焼けた鶏モモ肉は香ばしい皮の再現性も極めて高く、ほとんどの人は何も疑うことなく食べ終わるだろう。
これが植物由来の原材料でできているとは驚きだ。
さらに、カツサンドを食べてみると、これはおいしいツナの味がする。「PBM」は肉だけかと思ったら魚まであるのだ。もしかしたら、サバやシャケも登場するかもしれない。
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結局は代替品の〝フェイクミート〟じゃないかという方がいるかもしれないが、〝フェイクミート〟と呼ばれていた頃のものとはまったくレベルが違うことをお伝えしておきたい。
〝ベジタリアンブッチャー〟は、オランダ発の食肉界の革命児。
オランダの小さな畜産農家の夢が世界的な食の革命へと発展していった
「ベジタリアンブッチャー」の創業者であるヤープ・コーテワール氏は牛も豚も鶏も飼う小さな農場で育った。1998年に豚インフルエンザと狂牛病で飼っていた家畜をすべて失ったことをきっかけに、家畜を屠殺しなくても肉を食べる欲求を満たすことができる「プラントベースドミート(PBM)」の開発に取り組みはじめた。
革新的なシェフと一緒に長い時間をかけて研究を続け、ついに食肉と同等以上とも言える「PBM」の開発に成功する。そして2010年に〝世界一の植物性の肉屋になる〟と言うコンセプトのもとにオランダのハーグに立ち上げたブランドが「ベジタリアンブッチャー」である。
翌年には早くも権威ある賞を受賞し、世界有数のシェフからも称賛され、世界中のスーパーや小売店、レストランが「PBM」を販売するようになる。
2015年に新工場設立のためにはじめたクラウドファンディングには、わずか3週間で250万ユーロが資金として集まった。
その後、皆さんよくご存じのハンバーガーチェーンや、ピザチェーン、カフェチェーンとコラボすることで国境を越えて世界に「PBM」の販売を加速させていく。
そして日本へは、村谷幸彦氏による2017年の(株)ベジタリアンブッチャージャパンの設立によって輸入販売が開始された。
世界有数のシェフから絶賛された「PBM」のアイテム
かつて〝最も革新的な刺激的な企業〟として世界有数のシェフから絶賛された「PBM」のアイテムは進化を続け、現在は〝ビーフパテ〟〝ソーセージ〟〝ミートボール〟〝チキンチャンク〟〝ナゲット〟〝ミンチ〟〝ツナ〟の7種類。すべて冷凍で、自然解凍またはそのまま加熱調理して肉を調理するのとまったく同じ要領で提供できる。
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ベジタリアンブッチャーのハンバーガーショップへ来店されるお客様の8割は女性で、ヘルシーなメニューは20代、30代の女性にも人気が高い。
植物由来の原料でつくられている「PBM」は肉と比べて消化吸収が早く、消化にかかる負担が軽減できる。さらに高タンパクで低脂質、コレステロールフリーなので食事メニューとして取り入れるアスリートが増えている。
《(株)ベジタリアンブッチャージャパンのPBM》
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内容量:80g×2
![](https://assets.st-note.com/img/1649833620823-Tp8ZX8qnrT.jpg?width=1200)
内容量:80g×2
![](https://assets.st-note.com/img/1649833627531-wVTAsgsqNb.jpg?width=1200)
内容量:10個
![](https://assets.st-note.com/img/1649833633385-yx8sdGh7QM.jpg?width=1200)
内容量:160g
![](https://assets.st-note.com/img/1649833638159-KadgGXF3F9.jpg?width=1200)
内容量:10個
![](https://assets.st-note.com/img/1649834086627-xOh970CigT.jpg?width=1200)
内容量:200g
![](https://assets.st-note.com/img/1649833650736-Uem9kab9Gx.jpg?width=1200)
内容量:80g
「PBM」の未来、外食の未来
外食の未来を探るためには「PBM」の未来を探るといいのかもしれない。
人口の多くが高齢化する日本のこれからの時代は、1980年から2000年頃に生まれたミレニアル世代と1995年から2010年頃に生まれたZ世代に担われることになる。
この世代は生まれた時にパソコンやスマートフォンが普及していたデジタルネイティブ世代と言われ、その多くは食品の購入を決める時に、その供給源や動物福祉の問題、環境問題についてよく考えているという。今までもてはやされてきた美食よりも、自分が選んで食べることが環境を改善し、自身の健康も保てることの方が重要なのだ。
日本国内のベジタリアンやビーガンの人たちの割合は5%以下と言われ圧倒的に少ない。しかし、これからはベジタリアンやビーガンの人たちだけでなく、環境面への配慮から動物性肉の消費を意識的に減らしていく人たちが増えていくだろう。こうした変化はデジタルネイティブ世代によって牽引される。
これからの外食店はどんな店づくりをすればいいのだろう、どんなメニューが人気になるだろう。時流を分析した見通しを立てるためには、当然こうした世代を意識しなくてはならない。
コロナ後にはじまる「PBM」の展開に注目したい。きっと今後の外食が見えて来るだろう。
(2022年3月31日発行「素材のちから」第44号掲載記事)