見出し画像

セボンスター初心者、巣窟で王子様を探す 前編

皆様は『セボンスター』という食玩をご存知だろうか。
カバヤ食品さんが製造販売している、チョコレートにネックレスのついた、夢と輝き、そして圧倒的な異彩を放つ食玩である。

実は最近、こちらを集め始めた。
私の中のセボンスターと言うと、幼い頃に初めて買ってもらい、このキラキラを共有したくて(当時は携帯電話すらなかったので)母方の祖母に手紙を書き、ネックレスを丸ごと入れてポストに入れたところ、切手の金額が足りずに戻ってきて赤っ恥をかいたという思い出が真っ先に浮かぶ。

それ以降はスーパーで見るたびにそんな羞恥心を刺激されていたのだが、ある時ふと手に取って購入してみたのだ。ほんの気まぐれである。するとどうだろう。

かわいい。そして大きい。

右上からチューリップ(イエロー)、ガーベラ(ブルー)、クッキー(イエロー)、ロリポップキャンディ(エメラルドグリーン)お城(グリーン)キラキラコーデセボンスターの魔法のステッキ(金メッキ)

小さい頃のおもちゃを見て「ああーちっちゃいなあ」と思うことはあったが、大きくなってから「こんなに大きかったか?」と思ったのは初めてだった。直径は3cmを余裕で超え、子供も大人も満足なビッグサイズだ。
金メッキのものなんか、私がもっていていいのだろうかとすら思う迫力がある。(購入時既に2つとも同じくらいの位置のメッキが剥がれていたのはご愛嬌だ)
そういうわけで、有効期限が切れそうなポイントがあった時、半額シール付きで必要なものが買えた時、激しく自分のご機嫌を取りたい時など、少しずつ集め始めたのである。

さて、タグからセボンスターの記事を探してきた方、セボンスターについて知っている方は見ただけで察しがつくと思うが、こちらのラインアップ、2024年第1弾ばかりである。第2弾は下段のお城だけだ。通常であれば(最近知ったのだが)毎年3弾ずつ新シリーズが出て入れ替わっているのだが、今私の手元にあるのはほぼ第1弾だ。

こうなった理由は2つある。
1つは、いつもお世話になっているドラッグストアで第1弾が並び続けていたこと。隣町のスーパーやドラッグストアでは第2弾が並び始めていたのだがいつまでも売り履けず、自分しか買う人がいなかったのだ(勿論少し前の話で、今は在庫がなくなっている)
もう1つは・・これが最も大きな理由なのだが、
今、どこにも売っていないのである。

どうやらとあるドラマで登場して話題になったこと、また今年で販売開始から45周年というアニバーサリーイヤーであるということも手伝ってか、現在公式サイト様から生産が追いつかず『セボンスターシリーズ』『ドリーミーセボンスター』が一時的に販売休止になっているというお知らせがきているのだ。こうなったらもうどうしようもない。生産体制が落ち着くことを祈るばかりである。従業員の方々もどうか落ち着く日が来ますように。

一方私は、まあ運悪く大変な時期に収集を始めたものだ、とその時は思っていたのだが、ある時隣町のドラッグストアで第2弾のセボンスターを見つけた。
箱の蓋がぽっかり開かれた状態で、である。

大人も子供も、陳列されているものにこういう扱いをしてはいけない

中に入っていたのがサムネイルにもなっている、ラメプラシリーズの『お姫様』だ。おそらくだが、サーチ行為をして高値で売れそうなものではないと判断した結果、そのまま置いて行ってしまったのだろう。
悲しい。ひとえに悲しい。
転売目的で探していると決めつけるのもよろしくないが、初心者であれ上級者であれ、セボンスターを買ってコレクションにしようとしている人が、上蓋を引きちぎるような開け方はするまいて。

昔から物の気持ちを勝手に想像して喜び悲しみ憤る癖があり、例に漏れず今回もそれが発症した。
このお姫様をなんとか幸せにしたい。そのためにどうすればいいか。
そこで考えたのが・・あまりにステレオタイプな発想だが『王子様を探す』ことだった。

セボンスター第2段のラメプラシリーズ(キラキラしたラメの入ったプラスチック製のペンダントヘッドだ)は「お姫様」「王子様」「魔法使い」「ドラゴン」「お城」とファンタジー色の強いラインアップになっている。お城こそ持ってはいるがあくまで『住まい』、せめてひとりぼっちじゃなければ、浮かばれるのではないかと思ったのだ。

しかし、集めようにもどこにも売っていないし、セボトレ(お互いが欲しいセボンスターをSNS上で募集し交換し合うこと)を試みるにしても、お相手の欲しいものを私が持っているはずもなく。
腹を括ってフリマアプリで探してみることにした。
その際に自分の中で条件を設けた。

・フリーマーケットの域を超えたものは買わない(あくまでダブりや不用品を売っている体裁のものを買うことにする)
・自分の持っている残高内で解決させる(元々百均でクラフト素材を買うために不用品を売って集めていたお金が1200円ほどある)
・メッキには手をつけない(そもそも手が出ないだろう)
・王子様が2体以上のまとめ売り商品は購入しない(何かしら拗れそうだから)
・お姫様も購入しない(拗れそうだから)

後半のルールが少々変にはなってはいるが、とにかくこれで準備は整った。
メル地区カリ岳の巣窟に、王子様を探しにいざ出陣である。


いいなと思ったら応援しよう!