手づくりグリーティングカード25:紙と折り合いをつける
前回、前々回と、スコアリングボードやボーンフォルダーを使って紙に筋目や折り目をつけることについてお話ししました。
さて、筋目をつけ、いざ紙を折らんとしましょう。そのとき、あなたはどちら側に折りますか。「山」に折りますか。それとも、「谷」ですか。
ある日のこと
かつてのわたしのやり方はこうでした。
<筋目をつけ、それを内側にして折る>
つまり「谷」になる折り方です。筋目をつけると、そこにくぼみができます。ゆえに、そのくぼみに添うようにして折るのが自然で、紙にやさしい折り方だと思っていたのです。
ところが、ある日。
ブランクカード(白紙のカードと封筒がセットになったもの)でカードをつくろうと、その1枚を手に取り、「はっ!」
そのカードには筋目が紙の表側からつけられていたのです。これはわたしとは反対の、「山」になる折り方です。
ブランクカードは、「折り目」はついていても、まだ折っていない状態で売られていますので、どちら側から筋がつけられたのか一目瞭然です。
「逆じゃない?」と思わずカードにしかめ面を見せたわたしですが、すぐさま「いやいや、そんなはずはない」と。ブランクカードは玄人の手により制作されたものです。
紙の「正しい」折り方
すぐさまンターネットで調べてみたところ、やはりまちがっていたのはわたしのほうでした。東京の印刷会社であるプリントハウスさんによると、
紙の折り方のみならず、なぜそう折るのか理由まできちんと説明してくださっています。また、こちらのウェブサイトで、プロの方は紙に筋をつけることを「スジ入れ」と呼んでいらっしゃるということも教わりました。
「筋」が「スジ」となるところ、なんとも粋です。
こうした専門的な知識を授けてくださるその道のプロの方々、また、その知識を図書館や書店に足を運ぶことなく即座に提供してくれるインターネットにも感謝したい思いです。
折り目は「M」
かくして紙には正式な折り方があるということを学びました。ただ「谷に折る」とか「山に折る」とか、これは紙の裏表を逆にすると意味も反対になります。
原理は理解できたとしても、頭の中だけで考えていると少しこんがらがりそうで、わたしはひとまず手と目で「紙の折り方」を覚えることにしました。
最初は、手。
折り目・筋目をつけたほうを外側にして折る。つまりカードの表になるほうに筋をつけます。
次は、目。
紙を折り、その折り目部分にふたつの「山」ができて、「M」字型になっていればOKです。
下の写真は、友人からもらったカードです。カードはお店で求められたものです。小さくて見えづらいかもしれませんが、折り目部分が「M」になっているのがわかるでしょうか。
カードを開けてみると、折り目のところには小さな畝(盛り上がり)が1本走っています。
既製品のグリーティングカードやパンプレットでは、このように「正式」な折り方になっているはずです。
実験してみる
<紙は逆に折ると、紙が広がってしまう>
紙を折る向きにルールがある理由です。わたしも手持ちの紙で試してみました。
詳細は省きますが、結果、200g/m²くらいまでの紙ならば、いずれの向きに折ったとしても、さほど変わらないように思いました。ボーンフォルダーで折り目をしっかり押さえれば、広がってしまうということもないようです。
しかし紙が厚くなり、300g/m²くらいになると違いがわかります。「正式」ではない方法で折ると、紙に抵抗があり、ぴったりと折れません。
そのせいか、手で触れると、「正式」な方法で折った紙より厚くも感じられます。同じ紙なのに不思議です。
ちなみに "g/m²" は 「1平方メールあたり紙の重さ」を表す単位です。紙については以下の記事にも書いていますので、よろしければご参照ください。
さしずめ趣味のハンドメイドの場合、「紙の折り方」にはさほどこだわる必要はないのかも・・・というのがわたしの感想です。
プロのクラフターのデモンストレーションを見ていて、「正式」ではない折り方をしていることもままあります。
カードをおくった相手に、「紙の折り方が反対だよ」と指摘されることもまずないでしょう。もし、あれば、それはそれですごいことですよね。
こんなときは、もう1枚カードを送りましょう。「あなた、何者?」と。
※見出し写真のつくり方は間もなくアップします。