桃萌とお兄ちゃんのよくある夜
いつもよりも少し寒い夜。 そんな日の出来事。
でも珍しいコトではなく、わりと……いつものコト。
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ひんやりとする空気を感じて目が覚める。
とは言えまだ半分は……半分以上は頭が働いていない。
それにしてもお腹のあたりがスースーする感じ、
どうやら寝ている間にパジャマと布団をめくってしまったらしい。
パジャマをもどして、布団をかけ直して、
「ん?」
布団に手をかけたところで隣の気配に気づく。
まだ目が慣れていないのでよくは見えないが、
「桃萌、だな」
「えへへ、気づかれちゃった」
そう言いながらももぞもぞとした動きと衣擦れの音が聞こえる。
「桃萌……もぞもぞと動くと寒いだろう……」
「えへ、ごめんなさい、お兄ちゃん♪」
薄く開けていた目がだんだんと暗闇に慣れていく
桃萌は足だけを布団に入て体を起こしているようだった。
しかしなぜか……目の前にふとももと、
視線を上げるとおなかとおへそが見える。
「桃萌……何をしているの……」
「へへ、今夜は寒いからお兄ちゃんのお布団で一緒に寝ようかって思って。
それで、あたためあうならお肌とお肌のふれあいがいいなって」
「……まったく」
体を起こしてワンピースのパジャマを半分以上脱いでいる
桃萌を片手で抱える。
「にゃ!?」
そしてそのまま桃萌のパジャマを直す
「ふぇ?」
「パジャマ、めくったら寒いだろう、風邪でもひいたらどうするんだ」
「だからお兄ちゃんとお肌とお肌で……」
「わかった、わかった……。 ほらおいで、桃萌」
桃萌のパジャマをしっかりただした後、布団の中に戻りながら
「にゃ♪ いいの?」
「本当は自分の部屋に戻れって言いたいんだけどね?」
「や~~♪ お兄ちゃんと寝る♪」
猫のようにスルッと布団に滑り込んでくる桃萌。
「お兄ちゃん……」
「……ん?」
「腕枕して?」
「ん」
言われたとおりに腕を横にのばす。
ポフッと桃萌が頭を乗せたようだった。
「首とか痛くないか?」
「ぅん、へへへ、すりすり」
「隙間が空くと寒いから、もっとこっちにおいで」
「うん♪」
腕を折りたたみ、すっぽりと胸のあたりにすっぽり桃萌の身体がおさまる。
「今日はお兄ちゃん、凄く優しい♪ にゃぁん♪」
「うーん、寒いし眠いし……」
「そうなんだ……桃萌、あったかい?
お兄ちゃんの抱き枕になれるかな?」
「桃萌は抱きまくらじゃなくて、大事な妹だよ……」
「ふぇ……へへ、にゃふふ♪ お兄ちゃん大好き♪」
「ああ、うん。 桃萌のこと大好きだよ」
布団の中でピッタリとくっついてくる妹の頭を撫でる。
「にゃふぅ……おやすみなさい、お兄ちゃん」
「ん、おやすみ……桃萌」
「うん♪」
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翌日。 休日なので遅めの朝ごはんを食べながら。
孫の事を嬉々として話す母とくねくねと照れる妹をぼーっと見ていた。
【おしまい】
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