良くある桃萌とお兄ちゃんの休日
※登場人物※
『桃萌(もも・娘ねこ)』
意外にも学園ではそこそこ優等生、家では無駄に有言実行な妹(設定)
『お兄ちゃん』
妹(設定)に勉強で負けると怖いので学年トップクラスを維持する努力の兄
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「もうダメにゃーーーー!」
バーーン!と部屋のドアを開け放ち
部屋に入るなりズカズカと歩きボスっとベッドに座る。
「桃萌? ノックくらいしろよ……何をしているかわからないだろう?」
「エッチなコトしていたら桃萌も手伝うもんーー!」
話のすれ違いなど桃萌相手だと日常茶飯事なので気にしないが
どうも妹さまはご機嫌はナナメらしい。
「それで……何がもうダメなんだ?
どうせ来週の試験の勉強に飽きただけだろ?」
勉強していた手を止め聞いてみる。
「今日は土曜日でお休みなのに、朝から頑張ったもんー!」
「まだお昼過ぎだよ……」
「だーかーらー! お昼っ! お昼ごはんお外に食べにいこうよーー!」
「うーん、一度出かけるとなぁ」
「むぅぅぅー! それなら外に出ない代わりに
今から明日の朝までお兄ちゃんは桃萌にエッチなことしてーー!」
「そんな爛れた関係の兄妹は嫌だなぁ……」
「にゃぅぅ……うーうー! むぅぅ!」
ベッドに寝転がり、枕に顔をうずめて抗議を続ける。
それはやめて欲しい気がする。
「もぉいいもんー! お兄ちゃんがしてくれないなら
桃萌がここで勝手にエッチなコトするもんー!」
「うーん、それも困るんだよなぁ」
あからさまに困ったように肩を落としながら
ため息交じりにそんな事を言っても今の妹さまには効果は無いようで
ベッドの上でスカートの中に手を入れゴソゴソと――
「……お兄ちゃんはハンバーガーが食べたくなった
昼は桃萌も誘って外で食べようかな?」
わざとらしく椅子から立ってチラリと見る。
「行くーー!!」
ベッドからぴょこんと飛び降りて
さっきまでの感じはどこふく風と部屋のドアの方に向かっていく。
「早く! 早くいこ! お兄ちゃんっ♪」
ニコニコとご機嫌になった桃萌が先に部屋から出ようとするが
「その前に、桃萌……?」
「にゃぁにい? 早くいこうよー?」
「パンツを履いていない妹を連れて外に出るつもりは無いからな?」
「……? にゃぁん?」
「にゃぁ? じゃないよ、本当に連れて行かないからな……」
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「お兄ちゃんポテトちょうだい♪」
「それは良いけど、ポテトばっかり食べてるじゃないか
メインを食え、メインを」
「……お兄ちゃん♪ あーん♪」
「飽きたのかよ」
「ちがうよー美味しいけど今はポテトな感じなのー
あとナゲットな感じでもあるよ?」
幸せな顔をして食べているならまぁ――
「それなら、そっちの……なんだっけ、その不思議バーガー」
「トリプルたまごバーガーだよ、お兄ちゃん」
「注文の時も思ったけどなんだよそれ」
「期間限定で美味しそうだったんだもんー
目玉焼きとスクランブルエッグとタマゴサラダが挟まってるんだよ」
「たまごが大渋滞だな……」
半分くらい残ったそれを受け取り食べてみると意外と美味しい。
なんだか悔しい。
「あ、お兄ちゃん」
「ん?」
「えへへ、間接ちゅーだね♪」
「……返すから全部食べろよ?」
「にゃぁん~~往復間接ちゅ~~♪」
この妹は……何でも楽しそうだな。
「あ、お兄ちゃんお兄ちゃん」
「今度はなんだい」
「口の端にたまごがついてるよ? 舐めてあげるね♪」
「人前じゃなくても遠慮しておくよ」
「気にすること無いのに……じゃあ、はい、ティッシュ……
と見せかけて、えいっ(ぺろっ)」
「わぁぁっ、こら! 桃萌!?」
「にゃふ、ごちそーさまぁ♪」
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「や!」
ハンバーガー屋を出て帰ろうと話をした時だった。
何となくこの反応は予想はしていたけど。
「まだ帰らないー!
お兄ちゃんとデートしているのに、もう帰るなんて、や!」
「デートじゃないし、家を出る時に言ったろ?
昼飯を食いに行くだけだって」
「つーん」
「桃萌だってそれで良いって言っただろ
それとも桃萌は嘘つき妹なのかな?」
うつむきながら桃萌が袖を掴んでくる。
珍しく観念したのかと思ったが……
「ケーキ食べたい!」
「は!?」
「ね、お兄ちゃん! ケーキ食べに行こ!」
笑顔で見上げながらグイッと腕に絡みついてくる。
「さっきハンバーガーとポテトとナゲット食べたよね」
「桃萌はまだまだいけるよ?」
「そりゃ、トリプルなんとか半分しか食ってないからな」
もしかしてこれ込みの行動か。
「それに、甘いものは別腹っていうじゃない?」
「いや、その前に約束はどうなった?」
「お兄ちゃん?」
「ん?」
腕にくっついたまま真剣な目で見つめて――
「妹が素直に『うん』なんて言うのを信用しちゃだめだよ?
お兄ちゃんに嘘をつくのが妹の仕事なんだから」
「それは酷いなぁ」
「それに……」
「それに?」
「妹心と秋の空って言うでしょ?」
「言うかなぁ……」
「えへへ♪」
楽しそうに笑いながら腕に顔が埋まるくらいまで寄り添い
「それじゃ、行こ? お兄ちゃん。 デートだよー!」
おおよそこんな事になるんじゃないかと思っていた。
「あ、お兄ちゃん!」
「またそれかい……? 今日は多いなぁ、それで?」
「嘘とか妹心とか……ね……お兄ちゃんへの愛は別だからね?
全部本当で、心変わりなんてしないよ?
桃萌の身体も心も全部ぜ~んぶ、お兄ちゃんのモノだから……永遠に♪」
「兄妹としてそれはどうなのかなぁ……」
「にゃふふ……お兄ちゃん、愛してる♪」
「……」
そんなコトを言う妹の頭を撫でながら――
「しかたない、今日は桃萌と遊ぶか……」
「やったー!」
「と、その前に……腕を組むのはやめようか?」
「えーー」
「そんなにくっついちゃ歩きにくいし、危ないよ」
「ぁう……じゃあ、こっち……なら、いい?」
スッと手を差し出してくる。
「……」
「えへへ、お兄ちゃんから、握って?」
「仕方ないなぁ……」
桃萌の差し出していた手を握ると、桃萌もギュッと握りかえしてくる。
「えへへ……にゃぁん♪」
相変わらずニコニコと嬉しそうな顔
つられて口元が緩んでしまうのは仕方のないことなんだろうなぁ。
【おしまい】
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