己に逢えば己を殺せ。
なんとなく書籍の表紙というとどこか素朴というか、くすんでいるというか僕はそういった先入観を持っていました。書店を彷徨いていた時。とぼとぼと歩いていたら、尻目に強烈な赤色が止まり速攻本をレジに持っていきました。それが岡本太郎氏の本だとわかったのは近くの多摩川で読み始めた時でした。
自分の中に毒を持て。
このタイトルはブルーな気分だった自分にとって少し彩度とコントラストがありすぎる程だった訳ですが、鬱々していた自分は想定の範囲外への第1歩として読み始めました。
読書感想文的なノートの一環として、要約と感想の練習をしつつシェアしていこうと思います。
闘い、爆発、生き抜く事。
芸術は爆発だというのはコマーシャルに起用されたり流行したりという彼の名言ですが、本人が本の中で語っている通りどこか独り歩きしている言葉みたいです。一般的に爆発というのは音を立てて散り散りとなり人の肉を裂いて血みどろにするような暴力的な事を指しますが、彼の言う爆発は生命そのものだと僕は感じました。
身近に最もわかりやすく爆発しているものはお花です。種から開花する。この生命力。これを彼は爆発と形容しているようです。ヒトの花。宇宙へと咲く。シークレット的視点でみると面白いです。
芸術=人間。彼はそういう風に書いていました。悪や邪な気持ち。醜悪美的なものを人がみた時にきっと避けてしまうと思います。けれどどこかその鬱々が心地良く感じるのも人間。僕もそのような人間です。ですから小説や映像作品を観るには勇気が入ります。人生に影響するんです。彼は僕がこう感じる事をきっと美しいと形容しています。
綺麗というのは相対的なもので美しいとは絶対的なもの。この本には絶対感という言葉が何回もでてきます。初めはピントきませんでしたがこれは自然的なプライドといってもいいかもしれません。相対的なプライドではなく、自然的。自軸。それが絶対感。
生きる上で絶対感は欠かせない。だから僕は鬱という贈り物を得たんです。本当の自分として生き直すチャンスを得たんです。そう思いました。
彼は羽目を外す、事件的に起こす冒険は冒険とは言えない。そう書いています。これには僕も感覚的にあったのでとても頷きました。だから、作品をみるのに勇気がいるんです。ポジティブにもネガティブにも動かされる。本物の感動。事件的な冒険として嗜む作品とは違う。人生、僕の心やナマの全身を鷲掴みする。ポジティブな感動が起きるならこれも美しい。ですが、ネガティブな感動。僕はこの感覚を嫌悪していました。けれどもこれこそ芸術作品に身を賭けている証拠だと思えました。人生を投じているんだと。
所詮エンターテインメントだなんて言う人には理解できないと思います。生きていないからです。お金の稼ぎ方や社会、礼節にはとても理解があるのに人間としての生き方や生命そのもの、人生に関しては疎い。そんな人間にはわからないと思います。ですがこの本を読めばきっと何か変わると思います。
僕は苦しい。辛い。けれど生きている感覚はあります。この冷笑されかねない僕の感覚を彼の赤色が肯定してくれている気がしました。
人間とは矛盾する生き物で、日々自分との対話や自分への定義付けであらゆる事象や行動を合理化しながら生きていると思います。自分を許せなかったり、折り合いをつけれない、自分と和解できない。そういった人達が僕のように鬱になると思うのです。だから真面目な人は鬱になると言われるんだと僕は感じます。
冒険を誘爆させる。これは彼の言葉ではなく。僕が感じたことです。彼は、彼自身が彼の親であり彼自身の息子であると記し、本を読む事は自分との闘いだと書いています。闘い。自分が味方であり敵。その感覚をなんとなく理解していたのですがこの本が輪郭から表情、その全体像を掴む手がかりになってくれました。
僕がこうして本を読んだり作品をみたりきいたり、散歩をしてみたりするのは偶然性、想定の範囲外への誘爆を試みる行為だと思いました。だから冒険を誘爆させる。僕は爆発したいんです。
こうしてノートに起こすのも自分との闘いの戦果という訳です。
この本は彼の人生の生き抜き方や彼の哲学について記されています。恋愛事情から政治的な所。とても興味深くてまさに予言なんじゃないかとか、自分達のような若者が影響を受けるのも頷ける理由がそこにはあります。逆に言えば、数十年前からテクノロジーは進歩していても根本的な問題は何も変わっていない事がわかります。
長々と書きましたが、読書感想文の予行演習はここら辺にして、ノートを書いてみました。3週間ぶりですが、ダルビッシュ論的にはこれも継続の範囲内だと思うので空白期間も継続中ということにさせていただきます。
僕は川崎市に住んでいるので岡本太郎美術館に行こうと思えばいけるのですが、行きたい気持ちはあれど相変わらず無職なのでなかなか厳しいです。ですが面接を予定しているので受かったら来月再来月に行きたいと思います。今日もやりたい事を片っ端からやります。お金を稼ぎたいもそのひとつ。
ありがとうございました。