
ケイコ 目を澄ませての撮影現場では
16mmフィルムがカラカラと回る音が響いていたという。
愛想笑いが嫌いで嘘のつけないケイコ
耳が聞こえない彼女の心は"雑音"だらけ
この映画の観客は、99分間、普段は意識しない音やAirPodsがキャンセリングしている環境音、そして、ケイコの一挙手一投足一視線に、目と耳を澄ますことになる。
セリフやモノローグが少ないからと言って、情報量が少ないわけではない。いわゆる "状況説明台詞" を削ぎ落とし、解釈を観客に委ねる、観客を信じる。派手なことや大袈裟なことから距離を置く。
ケイコ役・岸井ゆきの
説明しすぎない作品が好きですね。自分で「どうなったんだろう?」と想像させてくれる映画。この作品も、何かを掴む/拭くような、そういう作業を追うショットがあります。日常の中の僅かな動き…目線の動き、指先の微か震え。そこで「物語が大きく変わりました」ということではないけど、確実に何かが起きている。そんなやり取りや動きを捉えている作品が好きです。
何かを掴むシーン、何かを拭くシーン。
あと、ケイコがずっと目を開けているシーン。
もう一度観なきゃだ。目を澄ませて。