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ほんとの空、ほんとの生活、ほんとの立ち位置

この漢字をずっと見ているとゲシュタルト崩壊する。あれ?そらってこんな字だっけ?うかんむりと繋がってたっけ?

だいぶ昔、とある女性が「東京にはほんとの空がない」と言ったらしいが、じゃあ引っ越しなよー、都会暮らしは息苦しいでしょー、とイジワルなことを思ってしまう。

隣にいるのが「うちのワイフあどけないでしょ」と自慢するようなタイプで良かったね。けっ!(カサカサ民より)

☁️

どこで何時に見上げようが、青くても白くても灰色でも、全部ほんとの空だ。今いる場所にケチをつけるなら、さっさと移動すればよい。

住む場所も、生活も、職業も、自由に選択できるこの時代。あなたが見ている景色がニセモノだと言うのなら、あなたはニセモノの生活をしているということだ。

智恵子は東京に空が無いといふ、ほんとの空が見たいといふ。私は驚いて空を見る。
桜若葉の間に在るのは、切つても切れないむかしなじみのきれいな空だ。どんよりけむる地平のぼかしはうすもも色の朝のしめりだ。
智恵子は遠くを見ながら言ふ。阿多多羅山の山の上に毎日出てゐる青い空が智恵子のほんとの空だといふ。
あどけない空の話である。

高村光太郎「智恵子抄 あどけない話」

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