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寿司も焼肉も切り方が命

ぼくはルドルフ。繁忙期が終わったばかり。上司のサンタクロースが「今年もおつかれ。寿司屋で忘年会やろうぜ」と誘ってきた。ほんとは家にまっすぐ帰って眠りたかったが、寿司は好物だから断れず断らず。

🍣

くいしんぼうのサンタクロースは目の前に置かれた鮨2貫を上から横から斜めからうっとりと見つめて「大将、いい仕事してますね〜」と唸った。

「寿司屋も焼肉屋も仕入れと切り方で8割、いや9割5分決まる」「どんな人気店でも切り方がダメなお店には再訪しない」「最近はちゃんと修行してない職人が多すぎる」「やっぱ赤酢だよね」などと知ったような口をきくサンタ。

「へぇ」「ほぉ」「はぁ」と一応リアクションしつつ聞き流しているもしくは呆れている大将。

サンタの隣に座った徹夜明けのぼくは、海苔汁をすすって「はぁ」とひと息。ため息じゃなくて味噌汁はぁですよー。

どこをどういう角度で切るか、どのくらいの厚さで切るか、食感が変わる隠し包丁(忍び包丁)。チェーン店のアルバイトやロボットが簡単には真似できない職人芸が見事だということは素人目、素人舌にも分かった。

しかしあんた(サンタ)は、ただのくいしんぼうでしょうが。浅い薄い評論してんじゃねえよ、それとそのハゲ隠しの帽子店内では脱げよ、あとクリスマス過ぎてんのに赤いパーカー着てんのまじだせぇww と思ったが鮨のためなら我慢我慢。

「めっちゃおいしいです! 鮨のことはよく分からないけど、ボクあと20貫くらいいけます」と言ってみた。カウンターの中の大将が初めてにやりと笑った気がした。

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