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シャインマスカットよりもおいしいぶどうの話
ヘッダー画像はシャインマスカットだ。
私が子どもの頃はぶどうと言えば巨峰とデラウェアだった。🍇←この絵文字のような赤紫色の品種で、酸味が強く、皮は残して食べなかった。
シャインマスカットの開発が始まったのは1973年だそうだ。それから半世紀、今やぶどう界、いや、フルーツ界の女王として存在感を放っている。
今は韓国産や中国産が安価で出回っているようで、日本の果物の海外流出は大問題だ!なんてニュースをたまに目にするが、今日書きたいのはそっちの話ではない。
広島のとある村ではシャチョウマスカットが作られている。そのマスカットはシャインマスカットよりも一回り大きく、甘さも抜群。色は濃いグリーンでエメラルドのようだった。賞味期限はわずか数時間。村外への持ち出しは禁止されている。
あまりのおいしさにスマホで写真を撮ろうとしたら村民がにこにこした顔で近づいてきて「シャチョウはこの村の宝、いや、秘宝じゃけぇ、写真は勘弁してくんさい」「まぁ撮ったとしてもうまく写らんように品種改良されとるけぇのぉ」と言われた。
理屈はよく分からないが、皮が光を乱反射するとか何とか言っていた。その場で画像検索をしてみたが、たしかにシャチョウマスカットの写真は一枚も出てこない。口コミもほとんどない。
「あんまり量が作れねえし、シャインみたいに有名になりすぎたら困るけぇ」「日本中のJAが視察にくるけど、ここの土と水じゃなきゃ作れねぇわって言って帰っていくんよ」
帰り際にさらに気になる情報を耳打ちしてくれた。「実はもっとおいしいカイチョウマスカットってのもあるんじゃけど、よその人には出しちゃいけないんよ。どうしても食べたいっつって移住してきた人も何人かおる。あんたも待っとるよ」