スクラッチプログラミングを始める際に気をつけること
マサチューセッツ工科大学のメディアラボが開発した無料のプログラミング言語「スクラッチ」は、日本のGIGAスクール構想による1人1台パソコンを配布する計画と相まって非常に人気があります。
今回は子供がスクラッチプログラミングを始める際に、大人が(子供も)事前に知っておきたい気をつけることをまとめておきます。
コメント欄で自由に書き込みができる
まず知っておきたいのが、スクラッチではコメント欄を通したコミュニケーションを推奨しています。
作品を作るとシェアすることも推奨しているので、作ったら公開したくなるというのは自然な流れのなかで可能になっています。
そうするとコメント欄には良くないコメントが飛んでくることもあります。中には「つまらない」というような感想とは呼べない心無い言葉が届くこともあります。
そういったリスクはどんなSNSでもあります。こういうコメントが届くからスクラッチでは作品を公開しない、ということではなく、ソーシャルメディアにおける心無いコメントとの付き合い方をスクラッチでは学んでほしいのです。
簡単に言うと、心無いコメントに対しては無視して削除または通報することが推奨されています。
スクラッチではコミュニティのガイドラインとして「お互いを尊敬して付き合うこと」が掲げられています。心無いコメントは、このコミュニティガイドラインに違反しているのです。この点が他のソーシャルメディアとスクラッチの大きな違いと言えます。
他のソーシャルメディアであれば心無いコメントは「マナー違反」にすぎませんが、スクラッチでは「ガイドライン違反」になるのです。禁止されている行為に相当します。だからといって、そのことを以て相手を批判し返すのは泥沼の言い合いの始まりです。
そこでスクラッチコミュニティに用意されているのが「通報」という仕組みです。
これはコメントされた当人だけではなく、第三者の視点でも「このコメントはコミュニティのガイドラインに違反している」と思えば自由に通報することが出来ます。
心無いコメントが届いたら削除するか、通報して忘れる、という反応の仕方をスクラッチで身に着けてほしいと思います。これは今後様々なソーシャルメディアに登録する子どもたちにとって、財産となる対処法です。
ネットいじめに気をつける
コメントに関してさらに掘り下げると、自由に何でも書き込めるということは個人情報を書き込むことも技術的に可能ということです。
大人からすると「さすがにそんなことしないだろう」と思うような個人情報の流出が行われています。年々減っていますが、ゼロにはなりません。
たとえばコメントにリア友(実際に知り合いの友達)と秘密の会話をしているつもりが、学校名やクラス名などが類推できるようなワードがあり、個人を特定しまうというケースもあります。
また、スクラッチを塾などで使っている場合は「クラス」という機能を使ってある程度の団体登録のようなものができます。ここでは近所のいろんな学校の子供達が会話したりすることになり、「そこまで仲良くないけど名前も顔も知っている相手」とネット上で交流することになります。
この微妙な距離感でネット上で会話をしていることがうまく行けばよいですが、悪い方向に進むと意図せず相手の個人情報を暴露してしまう結果に繋がったり、相手の秘密をバラしてしまったりと行った悲しい結果になることもあります。
これらを未然に防ぐためにも、塾などで登録する際は、そのことを保護者もしっかり認識しておくことが大切です。
写真のアップロード
スクラッチではアバター画像をアップしたり、作品内に自由に画像をアップすることが可能です。コメントには画像をアップすることは出来ません。
アバター画像にうっかり自分の素顔を使ってしまうケースは、時々あります。それだけで問題になることはありませんが、それをリアルの友達が見つけて「ひょっとして3組の◯◯じゃね?」とコメントすれば、そこから個人情報が漏れる可能性はあります。
また、ペットの写真などをアップして「ペットのモカです。誕生日は12月24日なんだよ」とコメントすると、ひょっとしたらパスワードはmoca1224のようなものが使われているかもしれないと類推するきっかけになります。こういった情報は公開する必然性が無いものなので、ただ情報発信がしたいというだけで個人情報を使うのは控えましょう。
楽しい作品もいっぱいある
セキュリティやネットコミュニケーションを考えると怖いことがあると話しましたが、スクラッチにはそれ以上に楽しい作品がたくさんあり、スクラッチ友達(スク友)との出会いもかけがいのないものです。
そういった楽しい作品をたくさん紹介してくれているサイトもあるので、一人で見つけられない場合は、まずキュレーションサイトを利用してみるのも一手です。
スクラッチゲームやチュートリアルを紹介しているスクラッチコーチ
みなさんのスクラッチライフが豊かなものになることを願っています。