台風が来る。

何日か前に進路予測を見たときに珍しい経路を辿るものだと思った。

そのときは中部を縦断するような、今は関東の東を通る軌道。台風は南から張り出した太平洋高気圧の縁を回るように動く、と習ったものだったけれど。(だから、太平洋高気圧が衰える時期に襲来した2019年10月の台風はああいう経路だった。)今年は太平洋高気圧が弱いのだろうか。それともこんなものだっただろうか。
この時期通過する台風は、関東を危険半円に含んでいた気がするんだけど。

台風の風は反時計回り。(念のためにググった。合っていた。)
最後に中学生を受け持ったのは7年も前なのに、存外おぼえているものだ。

台風の(正しくは北半球にできた低気圧の)風は反時計回りに吹く。だから、台風の進行方向に向かって右側*は追い風の要領で風が強くなる。
*東側、ではない。北半球なのに南下する珍奇台風があれば西側が危険半円となる。

中学理科の第二分野は暗記だと勘違いしている人も多いけれど、中等教育ぐらいで扱うものは大抵、ひと連なりで理解できる形になっている。その結果が現象という、目に見える形であるだけで。それぞれの現象に名をつけるのは、数学の定理を使うときに一々証明しないのと同じことだ。
(嘆かわしいことに)数学屋にはこの勘違いをした人間がそこそこいるけれど、あれは自分の頭で考えることを放棄しているだけだと思う。抽象を扱う自分たちこそが「論理」という聖杯を使いこなしているという傲りに基づいて。

先人の観察と考察の賜物で”発見”された概念に名前をつけ、より高く遠くを探究する道具として取り扱う。
科学……だけではなく、学問とはそういう営みだと思うのだけれども。

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