超音波洗浄、顔料インクに負けるの巻

知ってました?私は初めて知りました。

超音波洗浄器、皆さんはお持ちでしょうか。眼鏡屋さんの店頭などに置いてある、ビーッと音がするあれです。あれに眼鏡を浸して1分くらい置くと、レンズの曇りが綺麗になるんですよね。

裸眼視力が0.01を切り、眼鏡がなければ生きていけない(物理的に生きていけない。階段から落ちるか車に撥ねられるかしての死です。)私はもちろん、日々のメンテナンスに欠かせない……わけではなく。

あのビーッとする振動が、万年筆の洗浄に使われるんですね。首のリングやペン先の金色メッキを剥がす危険はありますが、アスコルビン酸(ビタミンC)を溶かした液で超音波洗浄をかけてやると、ペンの中で没食子インクのタンニンを溶かし出せるというわけです。少なくとも万年筆ユーザーはそう信じています。

さて。ここにかわいそうな万年筆があります。持ち主が3週間ほど迷子にしたせいで、カードリッジにインクは残っているのにインクが出てこなくなったハイエースネオちゃんです。……なんと2本。
普段使いの個体なので、ペン先がうまくいってなくてフローが悪いということもありません。純粋なインク詰まりです。
そしてもう1つ、ペン先で固まったらしいインクが透けている個体がありました。浸けては乾かしを数回やっても落ちなかったんですね。よく見ると表面のメッキも変色しており、もしかしたら錆びているのかもしれないけれど、直接触れないので判断ができない。

そして今朝の私は、珍しいことに出発まで余裕がありました。
ということでこの3本のペン先を超音波洗浄器にどぼん。洗ってみることにします。しっかり濯ぐ時間はないのでアスコルビン酸や中性洗剤はなし、高速こすり洗いをしてもらう形です。もともと顔料インクはこすり洗いしか手がないですしね。

5分びーっとしてから水を切ります。この段階で、ペン先の裏にインクらしきものがこびりついているペンには変化がないことが見て取れました。
多少は薄くなった気もしなくはないけど、気のせいと切り捨てていいくらい。サビなのかな、これは。

そしてもう1種類、顔料インクが固まっているほう。こちらは透明ペン芯ではないため見た目ではわかりません。
半分ほどインクが残っているカードリッジを挿しなおし、時間を置いて使ってみることにしました。
結果。……インク、出ませんでした!
カードリッジを押すと(セーラー社のカードリッジはやわらかい)首のあたりからはインクが出てくるので、ペン芯やペン先で毛細管現象がうまくはたらいていないみたい。
これは……分解かな……(良い子は真似しないように)(メーカーに叱られるやつです)

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