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未だに思い出すと辛くなる公務員1年目の話

うちの市役所では、やたらと研修が多かった。

新規採用職員研修、2年目研修、3年目研修…(このシリーズは、課長研修、再任用研修まで続く)
自分の仕事に直接関わる部分では、部内研修、課内研修、班研修など。
これは任意参加が殆どであるが社外研修の案内も多かった。

私の最初の配属は、国保課であった。

同じ窓口部署には、他にも市民課、年金課、納税課、市民税課などがある。

新採研修が終わり、国保課に配属されて数日、
まだ右も左もわからないうちに、上司より課内研修が行われるという案内があった。

市民課研修、年金課研修、納税課研修、市民税課研修である。
新採や異動者に対して、それぞれの課がどんな仕事をしているか説明するという、それぞれ30分から1時間ほどの簡単な研修とのことだった。

窓口部署は互いに連携することが多いため、
市民の方に他部署に係る質問を聞かれても適切に案内できるよう、
私は、もちろん全て参加すると回答した。
というか、案内が来た研修は当然参加するものだと思っていた。

が、これがダウトだったのだ。




「はあ?うちの部署の仕事すら、まだ満足にできないくせに、他部署の研修なんか参加してどうするの?」

直属の先輩(教育係)に言われたセリフである。


「市民の方に他部署に係る質問を聞かれても適切に案内できるように…」
という言い分を一応説明したが、
「その時はその時で誰かに聞いて振ったらいいじゃん」と言う話だった。

研修参加が罠ならば、初めから参加するか否か聞かないで欲しかった。
罠に嵌められた気分であった。


(今、冷静に反論できるなら「うちの部署の仕事すら、まだ満足にできないくせに、他部署の研修なんか参加してどうするの?」というのは、単にその先輩の価値観であり、上司が研修参加を許可しているのだから、私は間違ったことをした訳ではない)

相当文句は言われたが、
最終的には、参加すると言ってしまったなら仕方ないと言われ、
研修には予定通り参加することになった。

そして、研修当日、
「市民課研修、年金課研修に行ってきます」と先輩に伝えると、
先輩からの返事は無く、代わりに思いっきり溜め息をつかれた。

こうなると、いよいよ私は焦って空回りしてしまい、
この研修はやっぱり参加しない方が良いのではとパニックになり、
研修会場に着くも、市民課研修の講師役の先輩に、
やはり本日は参加できないので資料だけ頂いて帰ります、と伝えて帰って来てしまった。

これも、ダウト。思ってる以上に、ダウト。

参加すると言ったのに、勝手に予定変更して帰るなんて!と言うことで、
市民課の上司伝いに、うちの上司にまで話がいき、
そちらの課の新採の教育はどうなっているんだ?!と、
私は部内の問題児となり、大々的に怒られたのであった。




当時を振り返って、
ここまで、書いてみたが、

なんて、しょうもない世界なのだろう(笑)

配属されて早々に2週間泊まりで外部研修に参加したという訳でもないのに、
30分や1時間そこらの研修に参加しただけで文句を言われ、
ただの部内研修で参加者が帰ったくらいでゴチャゴチャ言われ、
なんかもう全てがどうでもいい。
アホらしいなあと思う。

そういえば、当時やる気が空回っていて、
参加できなかった部内研修の資料を貰えないかと申し出て、
それもまた怒られたことがある。
今考えても何がダメなのか意味がわからないが、
とにかく少しでも調和を乱す余計なことをしてはいけないのだ。

余計なことをすると変な子として注目される。変な子として噂が流れる。市役所において、噂が流れるスピードはとてつもなく早い。私のことを何も知らない他部署の人が「あの子、あんまりらしいね」と言っているのを聞いたこともある。人づてに言われたこともある。つまり、目立つことはオススメできない。

特に新採は、何をしても目をつけられる。
下級生が色のついたピンをしていたら、先輩に目をつけられる。
そんな感じ。怖い怖い。

でも、そんなアホらしい世界に12年間も染まった私、
最終的には、
・夕方に終わる外部研修なので直帰できる
・昼またぐ時間帯の研修なので、普段よりゆっくり外でランチを食べられる
・研修会場が自宅近くなので、職場に行くより遅出できる
・グループワークが無さそう

などの条件を満たした研修しか行かないことにしていた。

これくらいの当たり障りない感覚で過ごす方が、市役所では生きやすかった。適応能力を存分に発揮した結果である。

「市民の方に他部署に係る質問を聞かれても適切に案内できるように」と、
全ての研修への参加を申し出た私は、もう居ない。


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