家族が欲しかった私のおかあさん。
自分が産まれた時どんなだったか、
っておかあさんやおとうさんに聞いた事がありますか?
私は有ります。
小学校6年生の授業だったかで、
「自分の名前の由来」と「産んだ時エピソード」を親に聞いてノートに書いてこい、
と言う宿題が有ったので、
おかんに、
私「ねぇ、私の名前の由来と産んだ時どうだったか聞いて来いって宿題が出たんだけど」
おかん「(私の名前は「雪」です)
んー名前の由来は、産んだ時雪が降ってたから、
産んだ時どうだったか?
んー雪が降ってた。」
私「…いや、もっとなんか無いの…?」
おかん「んー………忘れちゃったなぁ…
あっ!あったあった、
あのね…
お父さんが出産立ち会いしてくれるって約束してたのに、
仕事先から駆けつける時間が遅くて、立ち会い出来なかったのよね〜
あのクソじじい、
「出産に間に合う様にするから待っててね♡寂しくないよ♡」とか言ってやがったのに、
全然来ないし、陣痛もひとり産むときもひとり、
本当に使えないじじいだ!!!!!!
(喋りながらだんだん腹が立ってきてる様子)」
私「そ、そか、そうなんだ…分かった。
有難う…」
こ、これは幼心にあかんやつや…
と思い、
私は父方のお婆ちゃんに聞く事にしました。
お婆ちゃん「産まれた時の事?
覚えてるよー」
私「どんなだったの!?」
お婆ちゃん「そうねぇ、
あなたのおかあさん養子だったのは知ってるわよね?」
私「うん」
実はうちのおかんは、
わたしの母方のおじいちゃんおばあちゃんが子供が出来ずうちのおかんを養子にしたそうで、
その話は良く聞いていました。
本当の家族の様に育ててくれたのよ、とおかんは話していました。
お婆ちゃん「おかあさんはね、本当の家族が欲しかったのかもしれないね…
実は雪にはおねえさんが居たのよ」
私「えっ!?」
お婆ちゃん「今は居ないんだけどね、
雪のおねえさんはおかあさんのお腹の中で死んじゃったの、
おとうさんもおかあさんも悲しかったと思うわ…
…だけど、あなたを産んだ。
おとうさんもおかあさんも諦めなかったのよ」
私「そうなんだ…」
お婆ちゃん「そう言えば、あなたが生まれた日とお婆ちゃんが産まれた日、同じなのよね」
(私とお婆ちゃんは誕生日が一緒なんです)
私「うん」
お婆ちゃん「お婆ちゃん、自分の誕生日に孫が産まれるなんて、
とーーーっても嬉しくて、
一生忘れられない誕生日プレゼントになったわ」
私は幼心に、おかあさんは私が産んだ時の事はやっぱりそんなに覚えてないのかも、
そして養子の話や流産の話は駄目だよなぁと思い、
「私の名前の由来は産んだ日に雪が降ってたから。
産む時におとうさんが間に合わなくて、寂しかったそうです。
お婆ちゃんは私と同じ誕生日で、自分の誕生日に孫が産まれた事にすごく喜んでいたそうです」
と、書きました。
それからの私は、中学高校〜と、わりとそれなりに反抗期に入り、
親とはろくに話もしなくなり、
産んだ時の話なんて忘れて居ました。
で、私はいたちという、今の旦那と結婚する時に
私の誕生日に、
本当に小さな小さな結婚式をしたんです。
で、式の前の打合せでウェディングプランナーさんが
新婦は最後に、両親に感謝のお手紙を読むんですよ、
と言われまして、
それは、
私が小さい頃こんなでこんな事があったりして、
こんなだったけど、おとうさん、おかあさん、
ありがとう。
ってやつ。
産まれた時の事だって
あんまり覚えてないみたいだし(恨んでいる訳ではないw)
大体にして、おかんおやじには感謝はしているけれど、
「ありがとう」だけで十分じゃん?
わざわざそんな手紙にして読まんでも、と思ったから、
私は、全力で拒否しましたw
結婚式当日、
私はウェディングドレスに身を包んで居ました。
いたちもタキシードに着替えています、
おかんとおやじは、私の着替えてる横で
○○のおねえさんは東京から来るからお車代を渡して…とか色々慌ただしそうでした。
そしてウェディングプランナーさんが来て
ウェディングプランナーさん「今、雨?みぞれ?みたいなのが降ってきました…!」
私といたちは顔が青くなりました。
実は結婚式場には緑豊かな素敵なお庭があって、
ここで皆で写真撮りたいね!と一目惚れして選んだ式場だったので、
雨が降ってると、撮影が出来ない。
でも、うちのおかんとおやじは顔を合わせてにっこり笑って、
おやじ「懐かしいね」
おかん「そうね」
私といたち「???」
おかん「ふふ、大丈夫よ、すぐに止むから」
その時は、私達が緊張してるから慌てないように気を使ってそうに言ってるんだと思いました。
結婚式が始まり、挙式、披露宴と進み
式が結びになる頃には晴れていました。
おかんとおやじはやっぱりね、と顔を合わせて言いました。
おかん「あんたを産んだ日。朝、雪が降ってて
産んだあと外を見たら晴れてたんだよ、
今日も同じで止むな、と思ったの」
私「小さい頃、産んだ時の事聞いた時
「雪が降ってた」しか言わなかったじゃん」
おかん「あれは照れくさかったのよー
おかあさんが自分の子供を産んだ時の事を忘れる訳ないじゃない、
だって、私達家族なんだから…」
私はその言葉でボロ泣きしてしまいました、
お婆ちゃんが昔言ってくれた
私にはおねえちゃんが居た事、私は子供を持った事が無いから分からないけれど、
流産と言うのは本当につらいんだ、と言うのをネットで調べた事が有って、
それでも私を産んでくれた事。
そして、おかんの言葉。
両親への感謝のお手紙はやっぱり読むべきだったんじゃないか、
とか、
色々思ったら、いっぱい泣けてきてしまいました。
そして私は、涙とはなみずとで声にもならない声で言いました。