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空間も関係性も越えて生まれた、インクルーシブな場。「SOW x SONY x GEIDAI x oowa x PARADISE AIR あなたと出会うアートプロジェクト」レポート

「SOW x SONY x GEIDAI x oowa x PARADISE AIR あなたと出会うアートプロジェクト」は、SOWがソニーグループ株式会社(以下「ソニー」)、東京藝術大学と共同企画でプロデュースし、他者との偶然の出会いを生み出すアートプロジェクトとして実施されました。

このプロジェクトでは、子どもたちとアーティストとの協働プロジェクトや居場所づくりを行う「studio oowa(以下oowa)」、千葉・松戸にあるアーティストインレジデンス「PARADISE AIR」とコラボレート。
また、ゲストアーティストとして石原朋香、ラルフ・ルムブレスを招聘し、子どもとアーティストが出会う場をソニーのテレプレゼンスシステムを通じて生み出しました。

今回は、oowaとPARADISE AIRそれぞれに、ソニーのテレプレゼンスシステムを設置。3日間にわたり、横浜と松戸でそれぞれの場所をリアルタイムで中継し、アーティストと子どもたちが協働したワークショップを行いました。

1日目は、ラルフ・ルムブレスによる影絵のワークショップを実施。ラルフとともに様々な影絵をつくり、影が生まれる現象や形の面白さを体験しながら、互いに披露し合いました。

ラルフによる影絵ワークショップ。
oowaの子どもたちもラルフに教えてもらって影絵にトライ。
オリジナルの影絵用のパペットを作る子も。

2日目に行われたのは、石原朋香による演劇ワークショップ。お化けをモチーフにした絵本を、1日目に実施した影絵も取り入れながら、oowa・PARADISE AIRのそれぞれの会場で、参加者は物語にのっとって「演じること」に挑戦しました。

身体を使ったウォーミングアップからスタート。
石原による、今回の題材となる絵本の読み聞かせ。
oowaとPARADISE AIR、それぞれで演劇を作り、最後は互いに発表し合いました。

3日目はワークショップの最終日。テレプレゼンスシステムの画面を舞台装置に見立て、2日目にそれぞれが演じた劇を、1つの作品として参加者全員でつくりあげました。

劇はoowaの子どもたちのパートからスタート。
画面を見守りながら、出番を待つPARADISE AIR側の皆さん。
お化けに追いかけられる様子を演じる、oowaの子どもたち。
最後は一緒に上映会を行いました。

今回の企画では、普段は交わることがほとんどない子どもたちとアーティストが関わり合うことによって、”互いに言葉に頼らない、豊かな発想を持っているもの”同士によるコミュニケーションと関係性の構築をテーマに実施しました。

時間を積み重ねていくごとに、モニター越しのコミュニケーションにも慣れていった子どもたちとアーティスト。それぞれの表現も変化し、影絵や演劇、子どもたちが書いた絵を使ったりと、多様な表現を取り入れながら、1つの作品をつくることができました。

そして今回は全体を通じて、本当に多様な主体が関わるプロジェクトとなりました。ソニー、東京芸術大学、oowa、PARADISE AIR、バックグラウンドの異なる2人のアーティスト。そしてできたばかりのSOW。属性もジャンルも異なる人々が、モニターを介して繋がり、関係性をアップデートしながら、作品づくりに取り組む。
そこには、空間をも越えたインクルーシブな場がありました。

今後も、SOWではこうした様々な関係性を繋ぎ、新たな価値を生み出すことにチャレンジしていきたいと考えています。どうぞお楽しみに。

(写真撮影:加藤甫、敷根功士朗、原田恵 文章:原田恵)


「SOW x SONY x 藝大 x oowa x PARADISE AIR あなたと出会うアートプロジェクト」
実施期間:2024年8月19日(月)〜21日(水)10:00-12:00 
運営:SOW
ゲストアーティスト:石原朋香+Ralph C. Lumbres
会場、協力:studio oowa、PARADISE AIR

※本事業は「空間拡張・アートコンペティション」の採択事業として実施されました。
共催:東京藝術大学、ソニーグループ株式会社
https://www.geidai.ac.jp/news/20240710139464.html

【ゲストアーティスト】

・石原朋香
1996年東京都生まれ、北海道育ちの俳優・パフォーマー・デザイナー。
東京藝術大学大学院美術研究科 先端芸術表現専攻 修士課程を修了。
これまで俳優として、ロロ、範宙遊泳、やしゃご、かまどキッチン、 libido: 等の舞台に出演。また、自らが構成・演出・出演を兼ね、ダンスと演劇の間のパフォーマンスを創作。主な発表にDance×Scrum!!!2020ホワイエプログラム『ガラスの音、まくの中、消えては浮かぶキャンパー』など。屋外でのパフォーマンス創作、演劇ワークショップのファシリテーター、宣伝美術等、劇場を飛び出して積極的に活動中。福祉とアートの緩やかな接点をさぐるチーム「こもごも団」のリーダー。
https://lit.link/tmkishr


・Ralph C. Lumbres(ラルフ・ルムブレス)
ラルフ・ルムブレスは彫刻、映像、インスタレーションを手がけるアーティストであり、その学際的な活動は、デザイン、教育、パフォーマンス、コミュニティ開発など、様々な分野に渡って活動をする。フィリピンのコミュニティであり、参加型アートとリサーチ・プロジェクトを行う領域横断なコレクティブSalikhain Kolektibの創設者。Kalayaan College–Fine Arts、College of Saint Benilde–School of Design and Artsで講師を務めた。フィリピン大学で美術の学士号を取得。国際交流基金(ジャパンファウンデーション)「HANDs!プロジェクト」および、「ColLaboratoire 2020」 のリサーチフェロー。Pangrok Sulap Residency、spaceppong、PARADISE AIR、黄金町バザール、Washi +のレジデント・アーティストを務める。現在、黄金町エリアマネジメントセンター(横浜市)の長期レジデンスアーティスト。
https://www.salikhainkolektib.com/ralphlumbres

【協力】
・studio oowa
”oowa”とは、1人の発話が苦手なダウン症の男の子が使うオリジナルの言葉「おーわ」に由来します。社会がまだことばと認識できていない行動やアクションを探し、尊重・共有することでオリジナルのコミュニケーションを模索するばづくりを目指して活動しています。
https://note.com/studio_oowa/

・PARADISE AIR 
パラダイスエアは、東京都心からほど近い、千葉県松戸市に位置するアーティスト・イン・レジデンスです。パチンコホール楽園(運営:株式会社浜友E.F.)の協力により、かつてホテルだったビルを活用して運営されています。楽園を意味する’PARADISE’、アーティスト・イン・レジデンス(Artist In Residence)の略称’AIR’からPARADISE AIRと名付け、2013年から活動を続けています。
https://www.paradiseair.info/