珈琲店から夢は咲く 第5話「64Cafe+Ranai」
カフェ。それは文学や写真、絵画、映像作品など、様々な芸術作品が生まれてきた場所。仕事で疲れた身体と心を休める場所でもある。
この『珈琲店から夢は咲く』では、クリエイターの卵である夢咲すずがカフェに行って創作のインスピレーションを受け、その様子やカフェを紹介していく。
創作活動をしている人、カフェが好きな人、そして偶然この記事を目にしてくれたそこのあなたにも、少しでも「面白い」「参考になる」「自分も行ってみたい」と思っていただけたならば光栄である。
武蔵小杉に潜む古民家カフェ
見渡す限りにタワーマンションが建ち並ぶ、まさに大都会。そう、ここは神奈川県川崎市中原区。時の流れと共に変化し続ける街、武蔵小杉にやってきた。
現在の武蔵小杉といえば高級住宅街、あるいは電車を乗り換える駅としてのイメージが強いだろう。実際、私も川崎市民なので武蔵小杉駅は乗り換えで日常的に利用している。しかし、こうして改札をくぐり、駅の外へ出るのは久しぶりかもしれない。
人も車もそれなりに通りそうな大きい道を進み、今回の目的地へと向かう。少し見つけづらいような場所にあると聞いているが、果たして無事に辿り着けるだろうか……
と思っていたら看板を見つけることができた。事前情報を得ていたということもあってか、そこまで苦戦することなく目的地を見つけることができた。
今回訪れたのは64Cafe+Ranai。木造平屋建ての隠れ家的古民家カフェだ。訪れた日は梅雨明け直後で凄まじい猛暑日だった。ということで、今回はリラックスできるこのお店でアイスコーヒーをいただくことにする。
おしゃれで落ち着いた雰囲気の店内席と木漏れ日が心地よい屋根付きテラス席。どちらか選べるということだったので、今回はテラス席を選択した。扇風機が稼働していたので暑さの心配なくリラックスすることができる。木漏れ日の中でアイスコーヒーを飲めるなんて、とても楽しみだ。
水出しアイスコーヒーをいただく
今回注文したメニューは、タルトと水出しアイスコーヒー。まるで評論家かのようにコーヒーを飲んでは記事を書いているこんな私だが、実は水出しコーヒーをいただくのは人生初である。どんな感じなんだろう。
そんなことを考えていると、先にアイスコーヒーが運ばれてきた。いつもは食事の後にコーヒーを飲んでいるが、今回はこのアイスコーヒーからいだたくことにしよう。
夏限定の水出しアイスコーヒー。3時間かけてじっくりと抽出しているそうだ。ストローで氷をくるくる回して、チュッとひとくち吸いこむ。冷たいアイスコーヒーが口の中に染みわたる。
水出しアイスコーヒーは私の思っていたよりも深みのある味でとても美味しい。そして苦味が少なくて飲みやすい。むしろ甘さを感じるほどだ。ガムシロップを入れていないはずなのにほんのりと甘みがある。どうやらブラックでいただいたのは正解だったようだ。
続けてタルト。チョコレートソースで描かれたコーヒーカップがとてもかわいい。タルトはしっとりサクサクでやはり美味しい。オレンジとクリームが甘さを際立て、優しい味が広がっていく。
もっとゆっくりしていきたかったが、この後東京で用事があったので、そろそろお店を出ることにした。ぜひまた行きたい。
かつては宿場町として栄え、工業都市として工場が多く建てられた後、現在ではその跡地にタワーマンションが建ち並び、駅は1日10万人以上が行き交う大都会となった武蔵小杉の街。このおしゃれな木造平屋建てに注ぐ木漏れ日は、そんな都会の喧騒なんて忘れさせてくれるようだ。
明日の武蔵小杉は今日とは違った姿になっているかもしれない。変わりゆくものと変わらないもの。その尊さを感じることも一種の芸術と言えるのかもしれない。そんなことを感じる素敵なカフェだった。次回訪れる際にはゆっくりとランチをいただきたい。
『珈琲店から夢は咲く』は隔週火曜日に更新。次回も神奈川県のカフェを訪れて、1杯のコーヒーから1%のひらめきを得たいと思う。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。それでは、またお会いしましょう。
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