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【専門家が解説】どっちがおすすめ?後見制度と家族信託の違い
みなさん、こんにちは!
【相続・不動産・家族信託の専門家】行政書士の長尾影正です。
神奈川県小田原市に事務所を構え、【家族信託】を通じて円満な相続のお手伝いをしています。
私については、こちらの記事で詳しく自己紹介しています。
月曜日もしくは木曜日に、相続や家族信託について役立つ情報を発信しているので、親の老後が気になる方やご自身の相続が気になる方は、ぜひ参考にしてください。
今回は、前回の続き。
親が認知症になると、自宅を売却して介護の費用に充てるといったことができなくなります。そこで役に立つのが、後見制度や家族信託です。
しかし、後見制度には、いろいろなデメリットがありました。今回は、後見制度やそのデメリットにフォーカスして解説します。
前回の記事も読んでいただけると嬉しいです。
成年後見制度には「法定後見制度」と「任意後見制度」がある
成年後見制度には、法定後見制度と任意後見制度があります。
「法定後見制度」とは、認知症・知的障害・精神障害などによって,判断する能力が欠けている人に、家庭裁判所に申し立てをして成年後見人を選任する制度です。
※成年後見人は、後見開始の審判を受けた本人に代わって契約を結んだり、本人が結んだ契約を取り消したりできます。
「任意後見制度」は、本人の判断能力があるうちに、後見人になってもらいたい人とあらかじめ契約を結んでおく制度です。成年後見人を選定するのは、家庭裁判所です。
また、任意後見制度の利用には、公証人の作成する公正証書による契約が必要です。
この任意後見契約は、本人の判断能力があるうちに結んでおくものですが、効力が実際に発行されるのは、本人の判断能力が低下したあとに、家庭裁判所に本人や親族が申し立てをしたときです。
申し立てがあると、家庭裁判所が任意後見監督人を選任します。
後見制度のデメリット
後見制度は、一見便利な制度ですが、さまざまなデメリットがあります。
デメリットをまとめると以下のとおりです。
・申立費用や後見人報酬などのコストが発生する
・財産の自由な活用や運用、移動ができない
・成年後見人による生活の不当な制限や不正が起こる可能性がある
・特別な理由がない限り途中で利用をやめられない
・後見申立手続が複雑で手間がかかる
・生前贈与ができなくなる
・親族の同意がないと申立てに時間がかかる
・財産保護のため資産運用ができなくなる
・親族間でトラブルになるケースがある
後見制度を利用するには、家庭裁判所での手続きが必要です。しかも、収支報告が必要だったり、自宅を売却するのにも許可が必要だったりと、面倒なことも少なくありません。
また、成年後見人として弁護士や司法書士などの専門家が選任されると、報酬を毎月支払うようになります。
さらに、後見制度の利用には、財産の使用や活用に制限があり、手続きや費用面でかなりの負担がかかります。
後見制度と家族信託の比較
後見制度と家族信託の違いをいくつかのポイントで比較してみましょう。
読むのが面倒だなと思った方は…私に直接聞いてください(笑)。
1.目的と基本的な考え方
【後見制度】
判断能力が不十分な方(以下「本人」)の権利を守るために、家庭裁判所が選任した後見人等が、本人に代わって財産管理や身上監護(介護や福祉サービスの契約など)を行う公的な制度です。本人の意思能力の程度によって、「後見」「保佐」「補助」の3つの類型に分かれます。
【家族信託】
財産の所有者(親など)が、信頼できる家族など(子どもなど)に財産を託し、特定の人(親など)のために管理・運用してもらう仕組みです。
本人の判断能力が低下する前から、将来に備えた財産管理を柔軟に設計できます。
2.開始されるタイミング
【後見制度】
本人の判断能力が低下した後に、家庭裁判所への申立てによって開始されます。
【家族信託】
本人の判断能力が十分にあるうちに、信託契約を締結することで開始されます。
3.本人の意思の尊重
【後見制度】
本人の判断能力が低下した後の制度であるため、本人の意思をどの程度反映できるかは、類型や個々の状況によります。
【家族信託】
本人の判断能力が十分なうちに契約するため、本人の意思を最大限に反映した財産管理が可能です。
後見制度が向いているケースは、すでに判断能力が低下していて、早急に支援が必要な場合です。
家族信託を利用できるような信頼できる親族がいない場合や親族間に対立がある場合も後見制度を利用すると良いでしょう。
納得いく老後には家族信託がおすすめ
【家族信託】は、認知症になる前に、ご家族などと【家族信託】の契約を結んでおくことで、ご本人に代わってそのご家族が財産管理や不動産の売却などを行える制度です。
判断能力が低下する前から、早めに財産管理の準備がしたい場合は、家族信託がおすすめです。
ただし、家族信託を利用するためには、お子さんなど任せたい親族との関係性が重要です。相続対策として、特定の財産を特定の人に確実に継承させたい場合も家族信託が適しています。
事前に【家族信託】をしておくことにより、家族の労力や費用の負担が軽減されるので、多くの方におすすめしたいと思っています。
【家族信託】のご依頼で多いのが、以下のようなご相談です。
「財産は家といくらかの預貯金で、将来、親が高齢者施設に入所したら自宅を売却して施設の支払いに充てられるように【家族信託】をお願いしたい」
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次回は、家族信託の仕組みについて紹介します。