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お久しぶり、フランシス・デュブルイ

 フランシス・デュブルイがもうすぐ、咲きそう。咲きかけの蕾からは芳香が。最も好きなオールドローズの一つ。もう一つの大好きなバラは、去年凍てつく冬の越し方を知らなくて、枯らしてしまった。

 随分前のこと。バラのことを寝ても覚めても考えている時があった。(あれは逃避だったんだけれども。)天に向かって太陽のように刺々しく力強く、堂々と咲くハイブリッドローズではなく、細い茎に花の重みで頭を垂れてうつむいて咲くオールドローズ。

 バラの写真をネットで調べると、当然だけどバラそのものを大きく写した写真がほとんどなので分かりにくいけど、実際に見ると、その咲き方や全体像が全く違う。それがオールドローズの魅力だと思う。

 台風が来ているある日、京成バラ園に行った。オールドローズは一般的な現代バラよりも早く咲く。その時はオールドローズの見頃で雨も降っていたので人はほとんどいなかった。静かなバラ園で見たこともない数のバラが頭の上から私を見下ろしていた。あたり一面、芳香が漂っていた。あれからすっかりバラ・・というよりもその香りに夢中になったのだった。視覚ではなく嗅覚で。残念ながら今回その時の写真が見つからず。とはいえあまりバラを上手く撮れたと思った試しがない。

 毎度枯らしては、数年ごとに新しい苗に挑戦するという罪深いことを繰り返しながら、今年江別にあるバラの専門店で白いイングリッシュローズを買った。北海道は、イングリッシュローズの栽培には向いているらしい。そう、真夏も咲くのだ。それは夢みたいな光景だと思う。イングリッシュローズはオールドローズの特徴を受け継ぐ現代バラである。オールドローズは大抵一年に一度咲くか、せいぜい秋の2回しか咲かないが、イングリッシュローズは繰り返し咲くものが多い。ただし、日本の本州では真夏には暑すぎて咲かない。

 埼玉のアリーナで開かれていた(今は知らないけど)ローズフェスタなるものに一度行ったことがある。イングリッシュローズの生みの親、デイヴィッド・オースティンの孫が来ていて他のナーサリーとは明らかに一線を画すその展示ブースで、バラに囲まれて立っていたが、まさにそれは「王子様」のようだった。こんなにも優雅な貴族みたいな少年(青年?)がいるものだと見惚れた思い出。あれから時が経ったから、素敵なダンディになっているはず。



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