作曲備忘録①(上海紅茶館の耳コピ・アレンジ)
どうも、サウスンです。
半年くらい投稿していませんでしたが、これからできるだけ投稿したいと思います。
今回は、作曲時に使った音楽理論や音源の打ち込み方法などを後から振り返られるように、まとめてみました。
今回作った曲
今回作った曲はこちらです。
SoundCloud(音声のみ)
YouTube(MIDI動画付き)
東方紅魔郷の「上海紅茶館」を耳コピ・アレンジしたものです。
基本は原曲ベースですが、”上海” 紅茶館 なので、二胡などの中国系楽器などを使って中国感を出してみました。
作曲の流れ(耳コピ・アレンジ時)
今回は作曲備忘録1回目なので、私が耳コピ・アレンジする際の流れを軽く説明しようと思います。大体以下の流れでやっています。
聞き取れる範囲で耳コピ
スケールを確定してコードをあてる
コードをもとに伴奏を作る
メロディを打ち込む
ミックス・マスタリングする
打ち込み中に音作りなども並行でやったりするため、3~5の順番は前後することもありますが、大体この流れです。
1.聞き取れる範囲で耳コピ
まずは元となる曲を聴いて打ち込んでいきます。
曲のファイル(MP3、WAV)を用意できる場合は、耳コピ支援ソフトを使って打ち込みをします。(私はWaveToneというツールを使用しています。)
パート数が多い曲の場合、ツールを使用してもすべての音をはっきり解析することはできませんが、メロディやベースなどは大体わかるかと思います。
2.スケールを確定してコードを当ててみる
メロディやベースの打ち込みが一通り終わったら、それに合うようにコードを当てます。
Cubaseの場合、スケールアシスタント機能で、打ち込んだ内容から合いそうなスケールを提案してくれます。スケールが確定したらCubaseのコードパッドにそのスケールのダイアトニックコードを読み込んで、そこからあてていきます。
ここまでやって、ピアノで適当に伴奏をつけたのが以下です。
動画は「Concert Creator」というツールで作成しています。
(MIDIを読み込ませるとピアノ演奏のアニメーションを生成してくれます。)
3.コードをもとに伴奏を作る
2であてたコードやピアノの伴奏をもとに好きな楽器で伴奏を作ります。
適当な楽器でピアノの伴奏とユニゾンしたり、シンセでアルペジオをいれたり、アコギのストラムを入れたりなどなど。
4.メロディを打ち込む
好きな楽器でメロディを打ち込みます。
1で耳コピしたメロディをコピーし、楽器に合った奏法(スライドアップやスタッカートなど)を使って打ち込みます。
5.ミックス・マスタリングする
音源のデフォルトの音色だと全体になじまないことが多いので、曲全体が聞き取りやすくなるように、コンプレッサーやイコライザー、エンハンサーなどのエフェクターで音色を調整します。
私はまだまだミックス・マスタリングについてはわからないことが多いので、ここは結構適当にやってます(とりあえず自分が聞いていい感じの音になればオッケーくらいの感覚でやってます)。
スケール・ダイアトニックコード
メロディを耳コピした結果、今回の曲はAメジャーキーが合いそうでした。
メロディにはF(ファ)も含まれていますが、出現回数は少ないので、Fを抜いたノートを選択した結果、スケールアシスタントで画像のように絞り込まれました。いろいろ試した結果、とりあえずAメジャーキーにしました。
Aメジャーキーのダイアトニックコードは以下です。
曲のキーが大体Aメジャーキーなので、基本的には以下のコードが合うはずです。
コードをあてる準備として、ダイアトニックコードをCubaseのコードパッドに読み込みます。
空いているパッドには、お好みでコードを割りてます。
今回はパッシングディミニッシュ用に Fdim(Ⅴ#dim)を割り当ててます。
コード進行
セクション毎に今回あてたコードを紹介します。
私がコードを当てる際はCubaseのコードエディット機能などの支援機能を使っています。
詳細なやり方は以下で紹介しています。
イントロ・サビ
イントロ・サビは以下のようにあてました。
ディグリーネームだと以下です。
3小節目の2拍目(コードトラック画像だと19小節目の2拍目)あたりのメロディでスケール外の F が鳴っているので、Fdim をあて、Fdim→F#minとパッシングディミニッシュっぽくしてみました。
あとはお好みでⅠやⅣを 9th にしてみました。
Aメロ
ディグリーネームだと以下です。
基本は 7th や 9th など使うことなく、ダイアトニックコードからメロディに合いそうなものを選んだだけです。
あとは後半の15小節目(コードトラック画像だと46小節目)あたりでE→Fdim→F#Minとして、ここもパッシングディミニッシュにしています。
(最近私はとりあえずパッシングディミニッシュにしてみています)
Bメロ
ディグリーネームだと以下です。
こちらも基本は 7th や 9th など使うことなく、ダイアトニックコードからメロディに合いそうなものを選んだだけです。
各パート
各パートの打ち込み内容など紹介します。
コード伴奏系
基本は前述の手順で確定したコードを鳴らします。
ピアノ
音源:AliciasKeys (Native Instruments)
コードトラックのコードをもとに、いい感じのリズムで刻んだり、ボイシングをかえたりしてます。一番下のベース音は、コードと一緒に鳴らしたり、コードが伸ばしの時にコード構成音で動かしたりしてます。
ブラス
音源:Session Horns Pro (Native Instruments)
ピアノの伴奏内容をそのまま鳴らしているだけです。
この音源は「FoPiCre」という奏法を使うだけでそれっぽくなってしまいます。伸ばして鳴らすと「ファーーーァァアアアン」のように、最初は強く、そしてすぐに弱くなり、徐々に強く鳴ります。短いノートの場合は最初の「ファ」部分だけスタッカートのようになるので、短く刻んでいるフレーズでも歯切れよくいい感じに鳴ります。
また、画像のようなサックスやトランペットがセットになったサンプルの場合、ノート一つ一つに対してすべての楽器が鳴ってしまうため、コードを鳴らすと非常にうるさいです。なので、コードを鳴らす場合は「Smart Voice Split」という設定にしています(画像右上)。この設定にすると、和音を鳴らす際に構成音それぞれに対し音源が最適な楽器を選んでならすようなので、この設定にしています。
ストリングス
音源:Session Strings Pro 2 (Native Instruments)
ピアノの伴奏を分散して鳴らしています。
ストリングスは通常、第1バイオリン、第2バイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスで構成するようですが、面倒なので私はよくバイオリン、ヴィオラ、チェロの3つの構成にしています。
バイオリンはコードの一番上の音、ヴィオラはコードの真ん中の音を鳴らしています。チェロは後述のベースのフレーズを鳴らしてます。
CC1(モジュレーションホイール)でダイナミクス調整ができるので、伸ばしのノートなどで調整しています。
シンセ
音源:Omnisphere(Spextrasonics)
Aメロで小さめに鳴らしてます。
エレピ系の音色でアルペジオにしてます。
打ち込み画面はコードを打ち込んでるだけですが、MIDI Insert で Cubase 付属の「arpache5」を使ってアルペジオにしてます。
メロディ系
耳コピで打ち込んだメロディを好きな楽器で鳴らします。
ピアノ
音源:Noire (Native Instruments)
耳コピで打ち込んだものに32分の装飾音をつけたり、ベロシティを調整したりしてます。
サックス・トランペット
音源:Session Horns Pro (Native Instruments)
ピアノの打ち込みをサックスとトランペットで鳴らしています。
伴奏と同様に、こちらも「FoPiCre」の奏法を使っています。
中国系楽器(二胡)
音源:East Asia (Native Instruments)
イントロやBメロで使ってます。
バイオリンのように弦を弓でこする擦弦楽器です。
スライドアップやポルタメントなどの奏法がキースイッチに割り当たってます。演奏パターンが音源に入っているので、その内容を参考に打ち込んでみました。
キースイッチをたくさん入れた割に、自分的にはあまりリアルにならなかったので、もう少し慣れが必要と感じました。
中国系楽器(琵琶)
音源:East Asia (Native Instruments)
イントロやBメロで使っています。
琴のような音がします。
琵琶は元の音がすごくよかったので、打ち込みそのままでもいい感じでしたが、スライドアップやトレモロを適当に入れてます。
中国系楽器(揚琴)
音源:East Asia (Native Instruments)
Bメロで厚みを出すために琵琶とユニゾンで鳴らしています。
音色的には琵琶とあまり違いは判りませんでしたが、こちらは倍音が多めで太めの音に聞こえます。
ベース・ドラム・パーカッション
ベース
音源:MODO BASS (IK Multimedia)
ピアノの伴奏のベース音をそのまま鳴らしています。
今回は特にゴーストノートなどの奏法は使いませんでした。
ドラム
音源:Addictive Drums2 (XLN Audio)
ドラムは基本的に Addictive Drums に入っているパターンを使用しています。今回はカテゴリが「Pop Rock」のスウィング系のパターンを使用しました。
パターンをベースに、曲に合うようにスネアの位置などを調整しています。
中国系打楽器
音源:East Asia (Native Instruments)
Bメロで使っています。
East Asia に入っている中国系の打楽器を使用しています。
音源に演奏パターンが入っているので、合いそうなパターンを選びました。
その他
原曲のキーは違ってた
今回、キーは Aメジャースケールとしてアレンジしましたが、あとでググったところ、原曲のキーは F#マイナースケールのようでした。
F#マイナースケールはAメジャースケールと平行調の関係にあるため、ダイアトニックコード自体は同じですが、ディグリーネームが変わります。
コードをあてるときに、なんとなく当てづらいと感じましたが、このせいだったのかもしれません。今後は平行調のことも意識してコードをあてていこうと思います。
Renaissance Bass を使ってみた
以前、Wavesのバンドルを買ったものの、あまり活用できていなかったのですが、最近動画などで使い方を調べて使用しています。
今回は「Renaissance Bass」を使ってみました。
このプラグインはベースやバスドラムなどのトラックに挿し、低音を補強する目的で使用します。
ベースのトラックに挿してみましたが、いい感じに音が太くなった気がしました。
さいごに
だいぶ長くなりましたが以上です。
現時点で私がアレンジでできることをまとめました。
曲のクオリティ的にはまだまだですが、少しずつ勉強していこうと思います。また、今回はミックスについては触れませんでしたが、また別の機会にまとめようと思います。その他、音源やエフェクターの使い方なども今後まとめようと思います。