作曲備忘録㉑(ファンタジーの日常パートっぽい曲)
どうも、サウスンです。
今回はファンタジーの日常パートっぽい曲を作ってみました。曲に使ったコード進行や打ち込み内容などまとめていきます。
今回作った曲
今回作った曲はこちらです。
SoundCloud(音声のみ)
※スマホの場合は「Listen in browser」で再生できます。
YouTube(MIDI動画付き)
最近話題のホグワーツ・レガシーをプレイしていて、BGMが良かったので、この曲を作ってみました。作った曲は全然ハリーポッターっぽくはないですが、コンセプトとしては、ファンタジーの日常パートっぽいものが作りたかったので、それっぽさは表現できたかなと思います。
コード進行
今回の曲のコード進行を紹介します。
スケールはCメジャースケールで作りましたので、ディグリーネームもそれを基準に記載します。
イントロ・Aメロ
ディグリーネームだと以下です。
Ⅰ-Ⅳ のトニック→サブドミナントの繰り返しに 6th, 9th のテンションや分数コードを利用しておしゃれな感じにしたものです。
ちなみに、このコード進行は、人工知能チャットボットの「ChatGPT」に「C - F - C - F の進行を少しおしゃれにしてください。」と聞いてみた結果から採用しました。
ChatGPT の返答には 3種類の進行がありました。すべて Cubase で打ち込んで響きを確認してみましたが、どの進行もいい感じでした。
コード進行に困ったら ChatGPT に「~の進行ををおしゃれにしてください。」や「<ジャンル名>の進行の例を挙げてください」など聞いてみるのもいいかもしれません。
Bメロ
Bメロ前半 4小節は以下です。
ディグリーネームだと以下です。
3小節目までは、主要三和音の C - F - G の進行にスケール内の 7th, 9th の音を追加したものです。4小節目の E♭、B♭はノンダイアトニックコードですが、同主短調の Cマイナースケールの♭Ⅲ、♭Ⅶ の借用です。
ノンダイアトニックコードの調性から外れた音が、神秘的な雰囲気がしていいと思いました。
Bメロ後半 4小節は以下です。
ディグリーネームだと以下です。
最後の小節が E♭→ B♭から A♭→ B♭に変わっただけです。A♭は Cマイナースケールの ♭Ⅵ にあたります。最後の小節は次の小節頭の C と合わせて A♭→ B♭→ C となり、所謂「マリオ進行(♭Ⅵ → ♭Ⅶ →Ⅰ)」と呼ばれる進行になります。マリオ進行はセクションの終わりに使うといい感じです。
各パート
各パートの打ち込み内容など紹介します。
コード伴奏系
〇音源
ピアノ1:Grandeur (Native Instruments)
ピアノ2:Kontakt Factory Library (Native Instruments)
ストリングス:Spitfire Chamber Strings (Spitfire Audio)
ピアノの伴奏は NI の Grandeur と Kontakt Factory Library のピアノのパッチを使いました。最初は Grandeur だけだったのですが、なんとなく思った音にならなかったので、小さめの音で Kontakt Factory Library のピアノの音を鳴らして伴奏を補強しました。
Kontakt Factory Library はいろいろな楽器の音が入ってる総合音源で、ピアノ専門の音源ではありませんが、入っている音はどれもかなりクオリティが高いと感じます。空間系のエフェクトがあまり効いてないストレートな音がするので、個人的には使い勝手がいいです。
Aメロのピアノの伴奏は以下のような感じです。
8分裏をアクセントに刻んでいます。セクション毎にボイシングを調整して、音程が下がったり上がったりするようにしています。
Bメロのピアノの伴奏は以下のような感じです。
白玉で鳴らしているだけですが、C3 付近の 3度堆積に加え、C1 付近でルートと5度の音を鳴らすボイシングにしています。かなり低い音が加わるので、ずっしりとした印象の響きになります。
ストリングスの伴奏は Spitfire Chamber Strings を使用しています。Spitfire Chamber Strings にはパッチがたくさんありますが、今回はピチカート奏法で伴奏したかったので、「Short Pizzicato」を使いました。
Aメロのストリングスの伴奏は以下のような感じです。
コード構成音をアルペジオで鳴らしています。テンションを含むコードの場合は積極的にテンションノートを使用してみました。
Bメロのストリングスの伴奏は以下のような感じです。
Aメロと多少パターンは違いますが、アルペジオで鳴らしているだけです。ノンダイアトニックコードの時は積極的にスケール外のコードトーンを鳴らしています(画像の濃い青のノート)。
メロディ系
〇音源
木管楽器1:Kontakt Factory Library (Native Instruments)
木管楽器2:Symphony Essentials Woodwind Solo (Native Instruments)
Aメロではクラリネットとシロフォン、マリンバでメロディを鳴らしています。音源は NI の Symphony Essentials Woodwind Solo と Kontakt Factory Library を使用しています。
Symphony Essentials Woodwind Solo はクラリネットの音で使っています。デフォルト設定だと音が小さめなので、音源の EQ 設定で全体的にゲインを上げています。この音源だけだとイメージした音でなかったので、Kontakt Factory Library のクラリネットの音も重ねています。ちなみにシロフォンやマリンバも Kontakt Factory Library のものです。
Aメロの打ち込みは以下のような感じです。
16分を基本にしたフレーズにしてみました。シロフォン、マリンバの鍵盤打楽器と、クラリネットのスタッカートで歯切れよく鳴らしています。
Bメロではピッコロ、フルート、オーボエの木管系メインでメロディを鳴らしています。音源は Kontakt Factory Library です(この曲ではほとんどこの音源に頼っています)。木管系のパッチには、奏法がいくつか用意されていました。Bメロでは伸ばしのフレーズにしたかったので、「Sustain3」のアーティキュレーションを指定しました。このアーティキュレーションはサスティン系の奏法ですが、アタックが若干スタッカートっぽくなっているので細かいフレーズも鳴らしやすかったです。
Bメロの打ち込みは以下のような感じです。
伸ばしメインのフレーズです。ピッコロ、フルート、オーボエのそれぞれの音域で同じフレーズを鳴らして厚みを出してみました。CC11(Expression)で一部ダイナミクスを調整をしています。すべて書くのは面倒だったので、小節頭やフレーズの終わりだけ調整していますが、それだけでもかなりいい感じの音がします。
ベース
〇音源
チェロ:Spitfire Chamber Strings (Spitfire Audio)
バス―ン:Kontakt Factory Library (Native Instruments)
楽器としてはベースは使用していませんが、チェロとバス―ンでベースに相当するフレーズを鳴らしています。
Aメロのベースの打ち込みは以下のような感じです。
伴奏がしっかりしているので、ベースのフレーズは控えめにしました。基本は 4分のリズムでコードのルートと 5度を鳴らしています。
パーカッション
〇音源
Symphony Essentials Percussion (Native Instruments)
パーカッション系は NI の Symphony Essentials Percussion を使用しています。オーケストラ系のドラムやタンバリンの音がします。
この音源のシンバルのクレッシェンドは、個人的にお気に入りで、他の曲でもリバースシンバル的によく使用したりしてます。
さいごに
普段私は生楽器系はストリングスとブラスばかり使っていて、木管楽器や鍵盤打楽器をあまり使わなかっていませんでした。木管楽器は種類もあまり知らないので、これからできるだけ使用して覚えていきたいです。
木管楽器や鍵盤打楽器の音は Kontakt Factory Library のものをメインで使ってみましたが、かなり音が良かったです。その他のパッチも色々入っているので、今後この音源を活用していきたいと思います。
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