
スタートアップビザ、成功の最後のピースは、我々フツーの日本人の「うさんくさ」能力の向上かもしれないというお話
政府は日本で企業を目指す 外国人向け 企業 ビザの対象を2025年 1月から全国に広げることを発表しました。企業をする外国人に、 全国一律で 2年間 まで ビザを出すというものです。
前回の記事では、日本のスタートアップビザ政策がこれまでの投資、努力に相応の成功を収めているとは言えないこと、そして、その理由を、国や行政に求めることは簡単ではあるが、どうなんだろう・・とした上で成功の鍵を握るのは民間のインバウンドビジネスに関る人々の力量かもしれないということを書きました。今回の記事ではそこをもっと掘り下げていきたいと思います。
外国人が「日本で起業したい!」と考えた場合、彼らがまず接触するのは日本の移住支援をしている事業者、ビザを専門に扱う行政書士、各地方自治体が設ける起業支援の窓口など、インバウンドに携わる日本のプロフェッショナルになります。
彼らは総じて非常に親切で、誠実で、真面目です。
勉強熱心で、制度にも詳しく、起業を希望する外国人に丁寧にヒアリングを相談に乗ってくれます。でも、残念ながら圧倒的に欠落しているものがあります。それは誤解を恐れずに言えば・・胡散臭さではないかと思うのです。
かつて、ダイエーの創業者中内功氏が、社員に対して激を飛ばしました
「お前ら、もっといかがわしくなれ!」
と。この言葉の裏側にあるものは、表面に見えているものや、前例に従って「穏やかに」働くのではなく、もっと目をギラギラさせて、抜け道を探したりクライアントが本当に求めていることをつきに行け、ということだと思います。
まさに、最後のパズルのピースはこれではないかと思うのです。
なぜはら、外国人起業家を呼び込んで日本の産業を活性化させる
言うのは簡単ですが、相当難易度が高い仕事です。
こんな大仕事に取り組む人たちは、相当「いかがわしく」あるべきだと。
このプロジェクトには、入管、国、地方自治体がそれぞれの思惑をもって関わっています。
入管は特にビジネスや起業に詳しいわけではなく、法令にそった審査を行うのが仕事。国は、国の競争力をあげられる分野の優秀な外国人起業家を呼び込みたい。地方自治体は地域の活性化をしたい。
そして何よりここに外国人起業家それぞれの思惑・都合があります。
これらが完璧に折り合いがつき、重なり合うはずはなく、どこかで必ず、外国人起業家の計画や状況が制度にあてはまらないように見えるところが出てきます。
そんなステークホルダーたちの思惑や制度を正確かつマニアックに把握した上で、あるときは水先案内人として、あるときは売人のように立ち回る役割こそが民間に求められていると思うのです。
ホームページの制度案内や要綱だけを見て「難しい」とは決して言わない、立ち回り力です。
例えば、地方自治体のスタートアップビザの対象事業を把握しており、かつ各地域の担当者とネットワークを持っており、「なるほど、あなたのバックグランドと起業予定分野なら仙台なんてどうですかね。仙台なら担当の市の担当の〇〇さんにまず会ってみてください。一本電話いれときますから」
「あなたの場合は愛媛の今治はどうですどうですか?ここは、対象事業の制限がないから、あなたみたいな変わったビジネスやりたい人でも大丈夫ですよ。あ、あとここは空き家リホームの助成金申請でるので、それもあわせて検討してみるといいですよ。え?どういうところかって?なかなかいいところですよ、うまい鯛を出す店があったね・・あ、そうだ、許認可のことはもう考えてます?」
的な、目利きの案内人で、行政側とも外国人側とも会話を重ねて、落としどころを探っていくような存在です。
この動画をご存じでしょうか・・?
これだと思うのです!!
一見悪徳に見えて、ただ合法的にスタートアップビザを勧めているだけの男または女。
・・・・たとえが独特すぎたかもしれません・・
例えばものすごく急いでいる時に乗ったタクシーで、焦るあなたに「おー任せといて」と裏道の知識を駆使して時間通りに到着させてくれるタクシー運転手さんみたいなイメージです。
ホームページや一度電話で照会した情報をうのみにせず、行政、入管としっかり話をして彼らの関心事を正確に理解し、その上で交渉もできるぐらいの力量を我々民間が持ち合わせることがとても重要だと思うのです。
そのためには、当然ながら、圧倒的な知識と、経験、そして何度でも言いますが、いかがわしさ、胡散臭さが必要になってくると思います。