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2023年4月に長年暮らしたシンガポールから橋ひとつ渡ったマレーシアのジョホール州イスカンダルプテリに引っ越して以来、野犬の保護活動をしています。

シンガポールでも2008年からドッグシェルターでのボランティア活動に参加し、9歳の老犬を引き取り、16歳8ヶ月で他界するまで共に暮らしました。その子がいなくなり身軽になって引っ越した先のマレーシアで、再び路上のワンコと出会ってしまい、個人で保護活動を始めて今に至ります。

下記は2024年8月10日にXで投稿した記事です。犬を不浄とするイスラム教国マレーシアでの保護活動はなかなか困難ではありますが、今はこの「牛くん」を含め3匹の野犬出身の「我が子」と共に幸せに暮らしています。この子が我が家に来るまでの約1年間の思い出を綴っています。

【X過去記事】2024年8月10日投稿
皆さま、こんにちは!牛です。

いつもママちゃんのポストを見てくれてありがとう。

僕はマレーシアはジョホール州のプテリハーバーという場所で生まれました。プテリというのはマレー語でプリンセスの意味なんだよ。昨年4月にママちゃんはシンガポールから引っ越してきて、この地で出会った僕ら野犬に毎日ご飯を運んでくれています。ママちゃん、マレー語できないから、意味も知らずに僕ら全員をプテリって呼んでたんだ。僕は男の子だからプリンス=プトラなんだけどね。

ま、それはともかく、僕は多分3年半ぐらい前に生まれたと思う。建設途中の廃墟ビルの敷地内で生まれたよ。今、その場所をママちゃんは姉妹店と呼んでワンコ食堂を開いている。

昨日、ママちゃんはワンコ食堂やっている時にYさんというオバちゃんに声かけられたんだって。Yさんはマレーシア人でご主人はシンガポール人。僕が生まれた時から頻繁にご飯を持ってきてくれた人なんだ。でも、ご主人の仕事の都合でシンガポールに引っ越してからは、毎月1−2回しか来れなくなった。僕が時折ママちゃんの食堂に来なかった時も痩せなかったのは、Yさんがケアしてくれていたからなんだ。

Yさん、僕の姿が見えないからとても心配していたらしい。でも、偶然、他の子にご飯あげているママちゃんを見つけて、「ここでよく見かけた白黒の子を知りませんか?」と尋ねてくれて、僕の安否がわかったというわけ。ジョホール州では高層共同住宅では犬は飼えないんだ。だからママちゃんはコンドミニアムの賃貸契約が終わる1年を待って、今年4月に一戸建てに引っ越した。4月末に孤児だったオスカーを拾って、そして5月末、僕が他の野犬たちと喧嘩して大怪我して動けなくなった時に救出してくれた。僕はすばしっこいから元気な時は絶対捕まらなかったんだよ。喧嘩と言っても群れの女子を守るために戦ったんだけどね。あ、今、行方不明になってしまったビビちゃんは僕のガールフレンドなんだよ。

実は怪我をした直後に見つけてくれたのは、このYさんだったんだ。Yさんからの写真を貼るけど、頭の骨が見えそうなくらいの大怪我だったよ。数日してママちゃんが見つけてくれ、その場で獣医さんに行って僕は12日間も入院した。Yさんはシンガポールから来ていたし、いくら近くても動物の国境越えは検疫手続きが必要で何週間もかかる。Yさんとご主人は泣く泣く僕の無事を祈りながら置き去りにするしかなかった。

だから、今回、僕が命拾いしてママちゃんのお家の子になったことを知って、Yさん、ママちゃんの前で泣き出したらしい。近いうちに遊びに来てくれるそうだよ。Yさんからは僕はロッキーと呼ばれていた。ママちゃんは牛くんなんて間抜けな名前つけちゃったから、僕はちょっと恥ずかしいよ。でも、Xで多くの人が僕を応援してくれていて、牛くんと呼んでくれていたことも知っている。だから僕は牛くんでいこうと思っているんだ。

ママちゃんは僕とビビちゃんの2匹の仔犬をレスキューしようと頑張っている。でも2匹同時に捕獲しないと残った方が警戒して逃げ出してしまうかもしれないし、同時の捕獲ってとっても大変だと思う。それでもいつも車に大きなケージや必要な物資を載せてチャンスを探している。ママちゃん曰く、最近、プテリたちを通して新しい人達と次々に出会うって。きっとその中には里親になってくれたり、里親探しに協力してくれる人もいると思う。だから、僕はあの地に残された仲間のことはずっと忘れずに幸せを願っている。

今日はお天気が良いからママちゃんがシャンプーしてくれるって。あ、準備ができたみたいだからお風呂場に行ってくるね。

皆さま、これからもママちゃんとプテリ達を応援してね。いつも本当にありがとうございます。
[以上]


野犬時代の僕。一緒にいるのはその後、行方不明になってしまったビビちゃん。
行政の野犬狩りで、この仲間も今は行方知れずになってしまったよ(涙)。



2024年5月末、群れの仲間を守るために戦って大怪我した僕。でも、それでママちゃんは保護できて獣医さんに行けたという訳。神様のご計画だったんだね。
退院してママちゃんの車でおうちに向かっている僕。


今の僕。同じ地区から一足先に保護された弟分オスカーと。これはママちゃん出張中にドッグシッターさんが撮ってくれたベストショットだよ。

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