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2024/08/10 【応援歌整頓論】前奏の追加や廃止は別個に音源を作成する

(この記事は「応援歌整頓論」の各論です。概論は別記事をどうぞ)

ここ数日、全国各地で地震が猛威を振るっていますが、幸いにも私は直接的な被害を避けることができておりまして、今日もこうして平常運転でダラダラと文章を書かせていただいております。
今、幸運にも自分の身に何も降りかかっていなければ、必要以上に不安を煽ることなく、普段どおりの活動をするだけです。震災が続発しないかどうか、気が休まらない方も大勢いらっしゃるであろう中で、見ようによっては不謹慎に映るかもしれませんが、現に被災されている方はくれぐれも身の安全を第一に行動していただいた上で、気分転換したくなった時にでもお読みいただければ、それで構わないと思います。


応援歌における前奏とは

さて、今回の「応援歌整頓論」、相変わらず大前提すぎる導入で、何を今さらと思われる読者の方もいらっしゃるかもしれませんが、今一度認識を擦り合わせるという意味合いも込めて、お付き合いください。
基本的に応援歌というのは、同じフレーズを複数回繰り返し演奏するものですが、中には、本編に入る前に演奏する前奏が付いているものがあります。
長さもテンポも十人十色で、その応援歌にとって大きな個性ともなる前奏。すべての応援歌に対して必ずしも前奏が付くわけではなく、だからこそ、その応援歌に対するプレミア感を付与する役割を持ちます。
読んで字のごとく、基本的には、その選手の打席中、応援歌の本編に入る前に一度きり演奏するのが前奏です。最近では、本編を何度か演奏した後、リピートする形で前奏に戻る構成の応援歌というのも存在して、それは前奏と呼んで正しいのか、と思わないでもないですが、その辺の音楽的な定義については私は専門外なので深くは追究しません。

代表的な事例を一つ挙げると、DeNA筒香嘉智の応援歌。同じ球団の大先輩である田代富雄の1作目の応援歌を、スローテンポにした上で前奏に転用したものです。
球場に響き渡る「横浜の空高くホームランかっ飛ばせ筒香」の大合唱は、今季5シーズンぶりに日本球界に復帰してからも不変であり、その様子は圧巻というほかありません。

場面によって前奏の有無が分かれる場合は別個に音源を作成する

この前奏ですが、演奏形態にもバリエーションがあって、よくみられるのが、通常は前奏を流さず本編の応援歌のみ演奏するけれども、得点圏で打席に入った場合は、個人チャンステーマとして前奏を追加するというパターン。
例えば、秋山翔吾の西武時代の応援歌は、本編のメロディは統一の上、チャンス時のみ前奏を演奏する使い分けがなされていました。

こうしたケースで、私が応援歌を整頓するにあたっては、前奏がない形の音源を基本形として1つ作り、それとは別に、前奏有りの音源も作るようにしています。要するに、同じ応援歌でも、前奏の有無で音源が2つできるわけです。
本事例においては、前奏が付かない本編のみの曲構成についても、一つの応援歌として確立されているものと私はみなしています。

発表後に前奏が追加された場合は別個に音源を作成する

また、前奏というのは、必ずしも本編とセットで発表されるかというと、必ずしもそうとは限りません。
ここで例として挙げたいのが、ヤクルト山田哲人。今でこそ前奏あっての応援歌という風に思われているかもしれませんが、'12の発表当時は本編8小節のみの応援歌であり、前奏はその後'14シーズン途中に追加された経緯があります。

このようなケースに関しましても、前奏が存在せずに本編のみで演奏されていた時期が存在するわけで、この形の音源も作っておきたいとなるわけです。
したがいまして、前奏の有無によって、音源を別個に作成しておきます。この場合のナンバリングは、時系列順に振ることとなります。

ちなみに、ヤクルト山田哲人の前奏に関して補足すると、山田哲人コール2回から「夢へと続く道」で締めくくる前奏は、基本的には本編前に1ターンしか演奏しませんが、応援を仕切る応援団の判断により、前奏を複数回ループして演奏することもあります。
この前奏複数回のパターンも、私が応援歌を整頓する上ではちょっと頭を悩ませる存在でして、私の印象では3回ループが多いイメージなのですけれど、探してみると前奏2回ループ版というのも存在するし、中には、山田が打席に入るタイミングで試合が中断した事情も重なり、前奏を9回もループした実録動画まで存在します。何が難しいって、複数回ループの回数が不定なのです。
これに関しては、ケースバイケースの判断になるものと考えるのですが、そもそも、応援歌の本編だって何周演奏するかわからないのに、ループ回数ごと別個に音源を作るなんてことはしていないことを考えると、前奏複数回ループもわざわざ別個に作らない、というのが基本線だと思います。
ただ、ことヤクルト山田に関しては、前奏複数回ループを特殊事例として切り捨てるには、あまりにも演奏実績が多すぎると言いますか、この形も一つの応援パターンとして定着しているものと見られます。したがって、ヤクルト山田の応援歌は、前奏複数回の中でも特に代表的と思われる前奏3回ループの音源も、さらに別個に作成しています。
以上を踏まえ、ヤクルト山田の応援歌群は、現状以下のとおりナンバリングして整理しています。

  • 山田哲人/1.0 : '12作本編のみ前奏無し

  • 山田哲人/1.1 : '14作前奏有り(前奏1ループ)

  • 山田哲人/1.2 : '14作前奏有り(前奏3ループ)

前奏が廃止されても別個に作成した音源は残す

応援歌の長い歴史の中では、一度作られたはずの前奏がいつの間にやら廃止されているというケースもあります。ここでは、楽天チャンステーマの内の一つ、ベニーランドを例に取り上げます。

このチャンステーマ、元々は'05発表時点から、『青葉城恋唄』の前奏がセットとなっていました。実際に試合で演奏する際は、100%前奏を演奏するとは限らず、展開によっては前奏を省いていきなり本編から入ることもあり、その場合の整頓上の取扱いはまた後述しますが、ここでのポイントは、最初から前奏付きで発表された応援歌であったという点。当時の応援団公式ホームページ及び球団公式ホームページ上でも、前奏の歌詞とともに掲載されていました。
その扱いが変わったのが、'19楽天応援体制一新のタイミング。この年以降、球団公式ホームページ上に掲載される応援歌の歌詞は本編のみとなり、前奏部分の記述は削除されるようになりました。また、球場の応援においても、前奏が演奏されることはほとんどなくなってしまいました。
実際のところ、'19以降完全に前奏が廃止されたかというとそうとも言い切れず、ごくまれに前奏が演奏されている事例も確認されています。とはいえ、'19以降の状況を総合的に勘案すると、公式的には前奏は廃止されたものと見るのが自然でしょう。

前奏が後から追加されるのと比べると、このように前奏が廃止されるケースはそれほど多くありませんが、事例としては確かに存在します。
この場合も、前奏付きの音源と、前奏廃止後の本編のみの音源を別個に作成し、整頓するようにしています。
もうちょっと応用形で行くと、ホークス松中信彦や、もしくは横浜佐伯貴弘のもろびとこぞりて前奏版みたいに、一時的に前奏が存在したものの、しっくりこなかったのか何なのか、結局前奏が定着しないまま演奏されなくなってしまった事例というのもあります。こうしたケースも、よほど単発お遊びみたいな感じでなければ、前奏有り版の音源を作るようにします。

発表当初から前奏付きならば前奏が省略されても前奏無し音源は作成しない

一方で、前奏の廃止と混同してしまいそうな事例になるのですが、発表当初から前奏付きの応援歌であったとしても、実際の球場の応援では、必ずしも前奏から演奏するとは限らず、スリーコールから直接本編に入ったりすることがあります。
例えば巨人岡本和真。この応援歌は、発表当初から前奏付きですが、実録動画を探すと、前奏を省略しスリーコールから直接本編に入るパターンも存在します。

これに関しては、応援の流れで前奏を省略しただけに過ぎないものと見て、私が応援歌を整頓するにあたり、前奏を削った本編のみの音源を作成することはしません。
今回は割と有名な応援歌のつもりで巨人岡本を例に挙げましたが、前奏を省略する応援パターンというのは、どの球団でも起こり得るものと認識しています。そのため、取扱いに差を付けなければ、前奏有りの応援歌はもれなく前奏の有無で音源を複数作る必要が生じかねません。
先に紹介したように、使用場面や使用時期で実際に前奏の有無に差があれば、別個に整頓することとして差し支えないと思うのですが、そうでないケースまで全部拾うことはないだろう、と私は判断しています。あくまで、前奏が廃止されたとみなせる状況にならない限り、前奏無し版の音源は作りません。

誕生日の試合で流れる前奏付き音源は作成しない

ここからさらに細かい話になってしまいますが、誕生日を迎えた選手に対して、その当日の試合で『Happy Birthday to You』を応援歌の前奏的に流す光景、目にしたことがある方も多いでしょう。
ファンが自発的に歌っているのみならず、応援団もしっかり演奏してくれているので、れっきとした前奏付き応援歌では、という見方もまあ否定はできないでしょう。
ただ、仮にこれを真面目に整頓しようとすると、プロ野球シーズンにあたる3月頃から10月頃までが誕生日の選手の個人応援歌は、もれなく誕生日前奏付きの音源を作成しないといけなくなりかねません。さすがにそこまで相手しきれないという思いもあり、私の中では、応援歌の整理上これはお遊びに近い性質のものと判断して、個別の音源作成はしていません。

昔の前奏付き応援歌ほど前奏の使用開始時点に要注意

ここまで説明したルールに則って応援歌を整理していくと、最近の応援歌であれば、前奏の使用開始時期も割とはっきりしているものが多く、そこまで迷うことはないのですが、昔に遡れば遡るほど、前奏の使用開始時点に気を遣って調査する必要があります。
これは偏見にも近い私のイメージで、また、球団によっても一概には言えないのですが、特に'00頃より以前に作られた応援歌で前奏が存在するものは、応援歌の使用開始時点から前奏がセットだったわけではなく、後から前奏が追加された事例が多いという印象です。
例えば、'00代ホークスのリードオフマンとして活躍した柴原洋の応援歌。本編前に入る4小節の前奏が、より1番打者感を際立たせる応援歌ですが、この前奏は、柴原の応援歌そのものが使用され始めた'97から存在したものではなく、'99途中から追加されたものである旨確認しています。

かといって、この時代の応援歌の前奏はすべて後付けなのかというと、そんな白黒はっきりした話でもありません。
球団別の特徴として言えば、特にヤクルトなんかは、昔の時代のほうが前奏とセットで応援歌を発表し、後年別の選手に流用されたタイミングで、前奏がなくなっているケースがあります。

また、この手のエピソードで、私が誤認していた代表的な事例が、日本ハム森本稀哲の応援歌。
私の当初の認識では、この応援歌の前奏は後から追加されたものとばかり思っていました。ところが、動画投稿後に、有識者の方から情報をいただき、使用開始時点で前奏もセットであった旨、認識を改めた経緯がありました。詳細は別記事にてまとめております。

ここまで本記事をお読みいただければ、前奏がいつから使われ始めたのか、という情報を私がなぜ重要視しているのか、なんとなく察していただけるのではないかと思います。
こういうのは、地道に実録動画を発掘するなりして判断していくほかないのですが、なかなか骨が折れるのも正直なところです。独力で調べ上げるには限界もあるので、たまに私が情報提供を呼び掛けることもあるかもしれませんが、当時の応援事情に精通している方がいらっしゃいましたら、御協力いただけると幸いです。


ところで、応援歌の前奏というのは、そもそも存在したのかどうなのか、実録を見つけ出すのが困難な事例も案外存在します。
有名どころのはずが割と盲点な事例を一つ紹介すると、阪神金本2作目。'05の一時期、どうやら後半4小節のメロディをスローテンポにして前奏として演奏していたようなのですが…。

このような、前奏絡みで真偽の程を確かめ切れていないネタというのは、他にもいくつか持ち合わせておりまして、また別の機会にでも、謎の前奏特集と称して紹介してみたいものです。