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2024/11/17 【応援歌整頓論】キーの変更は別個に音源を作成する

(この記事は「応援歌整頓論」の各論です。概論は別記事をどうぞ)

自分が書きたいネタばかり書いていると、その前から始めていたシリーズものが放置されてしまうというのは、往々にしてよくあることなのでしょう。楽しみにされている方がいるのかどうかはよくわかりませんが、お待たせしてしまい申し訳ございません。
とはいえ今回のテーマについては、まさしくタイトルどおりと言いますか、それ以上に膨らませて一本の記事として書き上げられるのか、あまり自信がないまま書き出しています。


音楽におけるキーとは

音楽の専門知識を持たない私が、音楽のイロハについて解説するなど、お門違いも甚だしいところであり、詳しくは各自お調べいただければ、このレベルの情報であればいくらでも正しい知識を得られると思います。
ただ、本記事を書き進めていくに当たり、大前提の知識ではありますので、音楽のど素人なりに簡単に説明させていただきます。

音楽用語としての「キー」、日本語では「調」とも呼ばれますが、私の中では、「ドレミファソラシド」の音階の基準をどこに置くか定めたもの、という理解でいます。
カラオケなんかで、高い音を出すのは苦しいから、少しキーを下げてあげて自分の歌いやすい音域で歌う、みたいな経験はないでしょうか。私は、下手にキーをいじられると、かえってどの音が正しいのかわからなくなってしまうので、断固原曲キーで歌いたい派なのですが、話が脱線するのでそれはさておいて、曲全体の音階を決定づけるものがキーということです。

ちょうど私が最近投稿した応援歌の動画の原曲を例に挙げてみましょうか。ゴダイゴの『銀河鉄道999』。原曲ママで聴いたことがあるかどうかはともかく、このメロディ自体は、CMなどどこかで耳にしたことがあるという方も多いはず。

歌い出しからサビで始まるこの曲、動画内だと0:32頃「ドラマのために」の最後の「に」の音が、この楽曲の中での音階の基準にあたる「ド」の音と捉えます。
注意していただきたいのは、この楽曲の中での基準となる「ド」の音は、ピアノの鍵盤を叩いて出る「ド」の音とは異なり、一致するのは、ピアノの鍵盤では「ミ」の音です。なので、本来は「ドレミファソラシド」の「ド」の音、と説明するのは誤りになるのでしょうが、そこは素人なりの理解に基づく説明と言うことで御容赦ください。

少し掘り下げると、本曲のように、基準音を「ド」としているのが、「メジャーキー」「長調」と呼ばれます。一方で、基準音が「ラ」になるのが「マイナーキー」「短調」です。
そして、本曲は、基準音となる「ド」の音は、ピアノの鍵盤では「ミ」の音に当たるのですが、この音は「E」若しくは「ホ」音と名付けられており、本曲は「Eメジャーキー」「ホ長調」となるのです。

さて、この『銀貨鉄道999』という楽曲は、その後数多くのアーティストにカバーされています。有名どころでは、EXILEによるカバー。

EXILE版の『銀河鉄道999』を聴いていただくと、原曲にあたるゴダイゴ版と比較して、音階が若干異なっていることにお気づきいただけますでしょうか。
先ほど基準の音として紹介した、サビの最後の音「ドラマのために」の「に」の音が、EXILE版だと、ゴダイゴ版から半音下がり、ピアノの鍵盤で言うところの「レ#」=「ミ♭」の音となっています。
すなわち、EXILE版のキーは、ゴダイゴ版のキーを1つ下げたもの、と表現することができます。音楽用語としては、「E♭メジャーキー」「変ホ長調」と称されるわけですね。
もし、あなたがカラオケで、EXILEの『銀河鉄道999』を歌うはずが、うっかりゴダイゴのほうで入れてしまった、となっても、キーを-1してあげれば、理論上はEXILE版と同じキーで歌い切ることができます。

『銀河鉄道999』を原曲としたNPBの応援歌としては、楽天がチャンステーマに採用していました。現在は、盛岡限定チャンステーマという位置付けになっています。
キーは、ゴダイゴ版より1つ下、EXILE版と一致します。というコメントをいただいたことから着想を得て、この説明文に採用させていただきました。ありがとうございます。

応援歌のキーが変更された場合は原則として別個に整理する

さて、プロ野球の応援歌においても、しばらく応援歌として使われた後で、後からキーが変更されるケースというのがままあります。
キーが変更される理由は、歌いやすさであったり、応援団の演奏のしやすさであったり、様々事情はあるのでしょうが、私が応援歌を整理整頓するに当たり、これらのキー変更にどう対応するかというと、基本的にはマイナーチェンジと捉えて、別個に音源を作成するようにしています。

キーが変更された応援歌の有名どころを例示しますと、阪神大山選手の応援歌。'18に発表されたこの応援歌は、'20になって一旦キーが上がった経緯があります。

さらにその後、'23に発表当初のキーに再び戻されており、延べ2度にわたりキー変更を経験しているこの応援歌ですが、私の整理上は、キー変更前後でそれぞれ音源を作成しています。
大山の応援歌については、'24に発表された個人チャンステーマの存在もありますが、いずれもマイナーチェンジの範疇として整理しておりまして、その結果、ナンバリングは以下のとおりとなります。

  • 大山悠輔/1.0 : '18作Gマイナーキー

  • 大山悠輔/1.1 : '20作B♭マイナーキー

  • 大山悠輔/1.2 : '24作個人チャンステーマ

使用開始前にキーが変更されれば発表時のキーで音源は作成しない

一方で、キーというのは割と簡単に変更できてしまうものですので、発表当初のキーから、正式に投入される前段階でキー変更される事例というのも案外存在します。
例えば、今年の新曲では日本ハム水野の応援歌。7月8日にYouTubeの応援団アカウントからも発表されたこの応援歌、実戦での使用開始は7月23日開幕のオールスター戦からとされていましたが(実際には水野がオールスター出場したために後半戦開幕後使用開始)、そのオールスター戦前の7月14日に、キーを変更した上で動画が再投稿されました。

他に有名どころでは、少し昔になりますが広島安部の応援歌。発表当初のキーによる動画が、応援団アカウントに残っています。
ですが、発表された年の'13オープン戦の間にキーが変更されたため、発表当初のキーにて一軍公式戦で演奏されることはありませんでした。

これらについては、一軍公式戦での演奏が想定された応援歌に該当しないものと判断し、音源作成しません。私の中での応援歌の整頓ルールとして、一軍公式戦での演奏が想定されていない応援歌が対象外というルールは、割と上位に位置付けている条件です。

使用期間がごくわずかの場合はケースバイケースで判断

それでは、一軍公式戦で1試合でも演奏実績があれば、必ずしも整理対象として音源を別個に作成するかどうかというと、私の中では必ずしもそうとも言い切れず、ケースバイケースでの判断が必要になると思っています。

最初に事例として挙げたいのが、巨人時代の井端の応援歌。'14に巨人へ移籍したのに合わせて作られた応援歌ですが、この年の7月頃にしれっとキーが上がった経緯がありました。
これに関しては、キー変更前の使用期間は1年未満ではあるものの、公式戦においても、キー変更前の使用実績があるわけですから、キー変更前後でそれぞれ整理する必要があるものとみなしています。

一方、対象外として整理している事例として取り上げたいのが、ロッテ井口チャンス。この応援歌の初出は'10の4月、郡山開催の一軍公式戦だったのですが、この時に演奏されていたキーは、後に定着したキーよりも低いもの(原曲のAIR『KIDS ARE ALRIGHT』と一致するキー)でした。
この原曲キー一致版、探せばYouTube上にも実録動画が残っておりますので、興味のある方は各自お探しいただくこととして、一軍公式戦で演奏されたものであることは間違いありません。ただ、この時の使われ方は、試験的な演奏という色合いが濃かったように見ておりまして、私としては、音源の作成対象外と判断しています。

同じロッテ井口の応援歌でも、'10作通常版応援歌を巡るキーの変遷については、さらに頭の悩ませどころ。この応援歌が発表された'10に限って言えば、一般に定着しているキーの他に、発表直後のキー(確か原曲と一致していたので応援歌通常キー-3)、そして'10の夏場に一時期使用されたキー(応援歌通常キー-2)でも演奏された覚えがあります。
発表直後のキーに関しては、開幕前の段階で、後に定着したキーに変更されたので、整頓の対象外としています。これは、先述の広島安部などと同様の取扱いですね。
一方で、夏場に使われていた別のキーに関しては…私の記憶では、決して単発的なものだったわけではなく、数試合で演奏されていたはずなので、整理の対象に含め、別個音源を作成しているところです。

それで、井口の応援歌動画を投稿しましたところ、キー変更についてお調べいただいて情報をお寄せいただいた方がいらっしゃいまして、2010年7月3日の試合の実録動画では、私の記憶どおり、通常キー-2で演奏されていたのですが、更なる情報として、2010年6月26日における試合にて、通常キー-1で演奏されていると思しき実録動画も見つかったのです。
これらの実録動画も、興味のある方は各自お調べいただくこととしまして、私の中で生じる新たな問題は、通常キー-1をどう取り扱うか。少なくとも私の中では、このキーで一定期間演奏されていた記憶がないので、あくまでこの試合での単発的なものという認識のもと、現状では別個に音源を作成する対応はとっていません。ただし、追加情報が出てきて、複数試合で演奏されていたのだとすれば…その場合は認識を改める必要が出てくるかもしれませんね。


ちなみに、実録動画と応援歌のキーの絡みで留意事項を一点申し上げておきますと、特に昔の映像や音源に関しては、再生機器若しくは録音機器の影響だと思うのですが、実際に演奏されているはずのキーとは異なるキーで聴こえてしまう場合があります。
こればかりは、情報を発信してくださる方も、音質まで完全に保証してくれるわけではありませんから、聞き覚えのないキーで応援歌が流れてきたからと言って早とちりすることなく、本来のキーはどれが正しいのか、情報の受け手側で注意深く判断する必要があります。可能であれば、その前後に流れてくる応援歌も耳にした上で、本来のキーを判断するのが確実と言えましょう。