アイナスターと月ノウサギの「お願い」について
2024年夏。今GANG PARADEがFCツアー6公演を回っている中のセットリストにPARADISESメンバーのみ、GO TO THE BETSメンバーのみでのライブがありその後にアイナスターと月ノウサギ2人が出て
PARADISESの「お願い」を歌っています。
ツアー初日札幌公演で披露され、僕は行っていなかったのですが知人からのLINEがやたらと通知され、月ナスの2人がお願いをやったことを知りました。
完全にやらかした。終わった。そんな気持ちで頭がいっぱいになり、まさかそんな事が起こっているなんて思いもしませんでした。行かなかったこと、立ち会えなかった事を凄く後悔しました。
FCツアー初日であった為、6公演しかないツアーで公演毎にセトリが変わる可能性もありえると思っていたので悔し過ぎて辛過ぎて塞ぎ込む程に後悔しました。
なぜそんなに後悔するかとなると思いますが僕はアイナスターの歌う「お願い」に人一倍思い入れがあり、月ナスの「お願い」は自分の中でずっと大切にしてきた思い出の曲なので、もしもう見れなかったらアイナスター推し失格だと思う程に苦しくなってしまったのです。
結果、2公演目の大阪でイントロがなり号泣しながら見る事ができ、全公演で見れる事がわかったのですが
これはもちろん僕だけがそういう気持ちになったわけでは無いだろうし、いい意味でも悪い意味でも色々な感情がある方も沢山いたと思います。僕にとってもこの2人の「お願い」にどれだけの想いがあるか、なんでこんなにもあの頃の2人を見てきた人が感動したのか、過去の事ではありますがあくまでも僕の考えや視点で記憶を元に書くので誤った言葉や解釈もあるかと思いますがあと2回、月ナスの「お願い」を見れる機会があると思うのでこういう背景があったんだよって言うことを知ってもらい、2人の「お願い」を見てもらえたら嬉しいです。
PARADISESの素晴らしき未来
遡ること2020年2月にアイナスターが研修生としてWAggに加入しました。しかし加入直後よりコロナ禍となり3回の定期公演出演後より活動が出来ない不遇の時間を過ごすことになります。
2020年10月、世の中が多少活動を許してきた頃WAggメンバーからPARADISESへの昇格をかけたオーディション「PARADISESの素晴らしき未来」が始まりました。メインの話はそのオーディションの中で行われた一泊二日の合宿中の話になります。オーディション内容を大まかに説明するとWAggメンバーがパフォーマンスを競い合う形で星(ポイント)を稼ぎ一定の条件をクリア出来れば最終審査に進め、そこから合格するとPARADISESに昇格すると言うオーディションでした。
またオーディション期間中には途中からトレーナー制が組まれ、ここで月ノウサギとアイナスターのペアが生まれました。月ノウサギはア・アンズピア(現WHITE SCORPIONのNICO)ともペアとなり2人のトレーナーを兼任することになります。
ちなみに「月ナス」と言うコンビ名はこの合宿のペア最初の挨拶から生まれたものになります。
冒頭にも書いていますが、アイナスターはWAggに加入してからもほぼ活動することができず、歌もダンスも未経験ということもありメンバーの中でも1番経験も知名度も少なく圧倒的に不利な状況であったこともあり中々結果を出すことが出来ないままオーディションが進んでいました。合宿初日の評価も5人中4位や5位しか取る事ができず、手持ちの星も増やす事が出来ませんでした。
(唯一コントは1位でしたが)
本人とも振り返って話した事がありますが当時のアイナスターは表立つとだいぶ殻に閉じこもっていたというかハキがなく大人しい印象でした。
WAggメンバーや同期のキラ・メイと一緒にいる時はバカ笑いしたり良く喋って明るい一面を見せているものの、もちろん緊張や慣れていない部分はあると思うのですがコメントやパフォーマンスになると消極的な一面を出してしまい少し暗い印象になっていた気がしていました。頭の回転が早く言葉を選んで話すような子なので優等生のような賢い子なイメージではありましたが、合宿スタート時からこの合宿を通じ、自分に変化をもたらさないといけないと言うことを口にだしていて、一生懸命に頑張ってもなかなか評価されないことに悔しさを感じていたんだろうなと思います。
しかし悔しい気持ちも表にうまく出すことが出来ず、ずっと何かを我慢しているような気がしていました。
PARADISES「お願い」の選曲
そして合宿1日目の夜、2日目の最終パフォーマンス審査楽曲を自分で決めると言う時、アイナスターが選んだ曲が「お願い」でした。
理由は歌詞に普段自分では表せない言葉が詰め込まれていてその歌詞を歌いたいと思ったから。素直な気持ちを言葉にしていて、感情を込めてパフォーマンスが出来ると思ったからでした。
合宿2日目、早朝マラソンと朝食が終わりパフォーマンス審査に向けて練習がはじまりました。お昼前に中間発表、夜に最終パフォーマンスとなる為一曲に対ししっかりと練習する時間を取れましたがトレーナーの月ノウサギは2人を同時に見ていることもあり、他のメンバーと比べて1人に対し半分の時間しか取れない状況でした。1日目にはそれもあったのか2人共に良い結果が出せずその事を申し訳ないと悔やんでいました。またアイナスターに対しては「本来なら新メンバーはライブを通じて成長をみせていけるはずなのにアイナスターはそれが出来ないまま今に至っていて本人もそれを悩んでいる。だからこの合宿で成長したアイナスターを私は絶対にファイナルステージに連れて行きたい」と言ってくれていました。
フリも各自オリジナルで作成するというとこでベースをほぼアイナスターが作り、修正を月ノウサギが行うようなイメージでフリが完成していきます。メインはドラムの音に合わせるようにダンスを作り、一部を崩して緩急をつけるようなイメージで完成していきました。また、練習風景を見るたびにアイナスターの動きも声も良くなって行くのが目に見えてわかる位に短期間の成長が見えていました。
そしてお昼の中間発表。まだ完成とは言えない状況でしたがここでは順位をつけるものの評価対象ではなく進捗確認である事が伝えられていました。月ノウサギからアイナスターへも、「ここはまだ間違えても大丈夫な段階だから間違えてもいいし思い切りやろう」と声を掛けて挑んだ中間発表。途中、アイナスターは歌詞が飛んでしまう場面もありましたがとても感情的で気持ちの入ったパフォーマンスでした。
しかしながらニコ生投票で結果は5人中同率4位。(最下位)でした。その後のコメントでも言葉を詰まらせながらパフォーマンスで上手く伝えられなかったと言っていて、総括終了後今まで涙を見せる事が無かったアイナスターが泣いている姿がありました。ずっと感情を押し殺していたのか糸が切れたかのように涙を流していました。
ここがターニングポイントだったかのようにこの後の練習から大幅に成長していくアイナスターがいました。何度も何度も歌割りの声が出にくい部分を繰り返し練習していたのがとても印象に残っていて、練習段階からも力を抜かない大きなフリを見せていて、そして本人からも自然と笑顔が見えるようになり、早く本番で踊りたいとまで言えるようになっていました。
合宿最終審査
夜の最終審査が始まり、他メンバーもこの二日間を出し切り最高のパフォーマンスをやり切りました。そして最後に月ナスの「お願い」が始まります。イントロから明らかにスイッチが入ったかのように集中と気迫が感じられ、
中間発表の時よりも自信に溢れた歌声とパフォーマンス、感情の緩急もしっかりしていて見ていて自然と涙が流れてしまう位に素晴らしいパフォーマンスをやり切りました。
そして結果発表の時。ニコ生投票、1位。スタッフ票1位。泣いてしまう2人。ずっと取れなかった1位を満場一致で取る事ができた瞬間でした。
アイナスターは涙ながらに「私は喋る事が大好きで、言葉を通じて気持ちを伝えていきたかったけど、ずっとそれが上手く出来なかった。この曲の素直な歌詞がとても好きで言葉じゃなくてパフォーマンスを通じて気持ちを伝えれるように月ノさんとフリを考えました。これからも気持ちを伝えられるように頑張ります。」
また月ノウサギは「アイナスターは経験も知ってもらう機会も少ない中だったけど、今見てもらえたようにこの子の魅力がしっかり伝わったと思います。このお願いがもう出来なくなるのが寂しい位。まだまだ伸び代のある子です。絶対にファイナルステージに行きます。ありがとうございました。」と締め、これで合宿は終了します。
ファイナルステージへの壁
この後ファイナルステージへ向けての審査は続いていきますが、
ファイナル手前で星の獲得ルールにてWAggメンバーの中で3人がファイナルステージ進出が決まり、アイナスターは1種の星が足りず進出できませんでした。しかし、敗者復活として各メンバー3,000枚のCDを販売し、誰かが完売で全員、もしくは1番販売枚数が多いメンバーはファイナルステージへ行けるという措置もありましたが、結果アイナスターは唯一ファイナルステージへ行くことが出来ませんでした。
そして引き続きWAggとしての活動が続きますが年明けより月ノウサギがWAggへレンタル移籍し月ナスの2人の関係は続いていきます。
アイナスターはその年のWACKオーデも最終候補まで残るも昇格ならず。その後学業専念で半年間の活動休止。そして2022年活動再開後に行われたWACKオーデにてGANG PARADEへの昇格を掴み取りました。
加入後初のツアー追加公演で「お願い」を見れたこと、2023年元旦、PARADISES衣装を着たアイナスターがこの衣装を着るまで2年もかかってしまったと言って涙したこと、同年FCツアーでPLTM衣装を着た月ナスを見れた事、その衣装で当時練習をしていた「お願い」「PLTM」「Special Xmas song」、合格していたら歌っていたはずの「PARADISES RETURN」を聞けた事、
そして今、月ナス2人だけの「お願い」を見る事が出来てあの頃からずっと苦労してきたアイナスターの全てのシンデレラ物語が完結したかのようにシナリオが上手く積み重なっています。
あの合宿後、[また月ノさんと「お願い」をやりたい]と言っていたアイナスターが4年越しで思いを叶えたの今の姿を見て涙が止まりませんでした。
今でこそ人気も出て、可愛い可愛いと多くの人に愛されるようになったアイナスターですが、なかなか受け入れられなかった不遇の時代を諦める事なく頑張ってきたらからこそ今いい方向に向いていると感じているし、まだまだこの子の魅力が全国に伝わって欲しいなと思います。これだけしっかりとしたストーリーに導かれるアイドルに出会えて良かったしこの子の成長を見れている事が本当に楽しくて嬉しいです。
FCツアーはラスト2公演。福岡、東京で2人のお願いは完全に終演だと思いますがこの2人の関係性を知っていただいたうえで見てもらえたらよりいっそう楽しめるかと思います。
あと、実はツアーでの「お願い」はこの時の合宿で行っていたフリをベースにしていること、本来の落ちサビは月ノウサギが歌っていたのにアイナスターへ変えているところなどが感情を揺さぶるポイントだったりします。
最後まで読んでいただきありがとうございました。