映画『ファーストラブ』(劇場公開日2021年2月11日)の芳根京子は、あまりに見事で彼女が演じて作品品質が上がった。
1.映画『ファーストラブ』を見て欲しい
作品の良しあしと映画興行収入とは必ずしも相関関係に無いが、この映画は原作が傑作で、TVドラマも視聴率10.2%(※1)とまあまあの数字だった事もあって興収がこの手の小難しく暗い作品にしては好成績の6億1200万円。
それにしても、芳根京子の演技力と言うか役になり切る力は物凄い。筆者ごときが言っても説得力はないでしょうが、是非見て欲しい。
(※1)『First Love』(ファーストラブ)はTBS系列で2002年4月17日 - 6月26日に放送されたテレビドラマ。 平均視聴率10.2%。
一番のコアをなすのは『思春期に感じる女性心理』。
思春期の性の芽生えの時期、男の性的視線への嫌悪感を感じるのは女に共通する感情らしい。それが父親が娘を見る視線の中にあると言う処が特この小説のコアにある。
男と女では全く感じる事が違うかもしれない。
その上で、母親からも見放されていた事も大きな事だったと描いているが、その母親自体が自傷行為を重ねた腕の傷を見せている。
なんか、理解してやるしかなく、救えない映画だと思った。
罰されない重すぎる親子関係を受け止められなく終わった。
公式サイトのコメント欄のこの二人に注目してしまった。
難波ユカリ氏(※2)のコメント
女にとっては、よくある話。
どうしようもないから飲み込んで、忘れたふりして笑っている。だからそれがスクリーンの中で暴かれて行く時、男は驚きながらも胸に手を当て、女はカタルシス(※3)に浸るだろう。
■【筆者のコメント】
男の私には判らん。
そもそも、父親からの視線に性的なモノを感じるのか?女はエスパーなのか?具体的に体を触るとか、性的な言葉を投げかけるとか分かり易い行為ではない、視線にそういう動物的本能を感じると言うのか?
男にとって女はミステリーであり、学習と後悔の連続でなんとなく理解する事なのに、10才の女は既に視線の中に性的興奮を感じると言う事自体が発見である。それは動物的に女に恋愛のフィールドで勝つ事は無理だと言う事になる。
大人になって、好きな男、狙った男だったらその視線はうれしいのにと思ってしまう。
映画の中での判決は、懲役8年と重罪になって、情状酌量もたいしてされなかった様だ。思春期に受けた親からの扱いから殺意が芽生えたという解釈に
なってしまった。思春期の少女の性的なモノへの嫌悪感と、それを理解して庇うべき母親から突き放された絶望感については考慮されなかった様だ。
母親自体が自分を好きになれない、自己肯定感が低い人だと思うが、それってどれだけの人数がいるんだろうか?父親の自覚してない性欲を娘に感じさせない事とか凄く難しい事だけれど、母親が娘を理解できるのだろうから守ってやることの方が普通の家庭なんだろう。そうすると、母親自体が病んでいる人を立ち直させるNPOとかの活動になるのだろうか?断酒会とか覚醒剤を絶つダルクとかの様に。
いずれにしても、自分の見栄や派手な生活を守る為に、娘を差しだしたとか考えられない母親は罰せられない。自分が生んだ娘を守らなかった母親は罰せられない事に納得がいかない。母親ならもっと前に救えたのに?何故なの?わからん。
そこは描かないのは、作家が女性だから??
一般的な話として、『殺意』を証明する物理的な証拠?って何?
殺意も父親への嫌悪も父親の性的視線も全部物理的・科学的に証明できるはずもないのにな?と思ってしまうのは筆者だけなんだろうか?
そもそもの話として、殺意で刑罰の重さを決める事自体が、裁判官の心情で決まるのだよね。この映画の場合、情状酌量も無かったのは、少女の父親からの性的視線が及ぼす嫌悪感の重さを裁判官ですら理解できなかったと思わざるを得ない。
兎に角、その微妙な少女時代に受けた心の傷を本当に上手く表現していた芳根京子に喝采を浴びせたい。
『チャンネルはそのまま!』のコミカルなバカ役と、『ファーストラブ』の切羽詰まった自傷行為でしか自分を認められない役との振れ幅の大きさをものともせず両右とも好演しています。同世代の二階堂ふみに匹敵する女優さんです。
【参考】
『チャンネルはそのまま!』が傑作になった理由 芳根京子キャリア最高の好演がもたらすユニークさ
の処を読んで欲しい。
2.『ファーストラヴ』の説明
『ファーストラヴ』は、島本理生による長編ミステリー小説。
『別册文藝春秋』2016年7月号から2018年1月号に連載、文藝春秋より2018年5月31日に刊行された。
父親を刺殺し逮捕された女子大生と事件を取材する臨床心理士、それぞれの周辺人物を通じて、現代社会における家族の闇を描く。第159回直木三十五賞受賞作。
真木よう子主演でテレビドラマ化されNHK BSプレミアムにて2020年2月に放送された、
また北川景子主演、堤幸彦監督で映画化され、2021年2月11日に公開。
■あらすじ
臨床心理士の真壁由紀の元にひとつの執筆依頼が入る。それは、アナウンサー志望の容姿端麗な女子大生が画家の父・聖山那雄人を刺殺した事件について、被疑者である聖山環菜を取材し1冊の本にまとめてほしいというものだった。
周囲は「就活に反対されたから父親を殺害した」と犯行動機を推測したが、逮捕後の取り調べで、「(父を殺さなければならなかった理由が自分でもわからないので)動機はそちらで見つけてください」と言い放ち、ワイドショーなどで大きく報道されていた。
由紀の義弟である弁護士の庵野迦葉は環菜の国選弁護人に選任されていた。環菜の母が検察側の証人に立つことを知り、大学の同期生でもある由紀に協力を依頼。由紀と迦葉、それぞれが環菜との接見や手紙のやり取りを進めて行くうちに、ふたりが環菜から聞いた話の内容がつじつまの合わない部分があることに気づき、「環菜は本当のことを話していない」と由紀は考えた。それを踏まえて由紀と迦葉は環菜や那雄人の知人らから家庭環境について話を聞くうちに、環菜が過去に心に問題を抱えるに至った経緯を突き止める。その過程で、由紀もまた自身の生い立ちや、迦葉との関係について向き合っていくようになる。
事件の裁判が近づく中、環菜は殺意を一転して否認。由紀は自身がクリニックで診療を受けていた頃を思い出しながら、初公判の日を迎える。
■映画『ファーストラヴ』
劇場公開日:2021年2月11日
川沿いを血まみれで歩く女子大生が逮捕された。殺されたのは彼女の父親。「動機はそちらで見つけてください。」容疑者・聖山環菜の挑発的な言葉が世間を騒がせていた。事件を取材する公認心理士・真壁由紀は、夫・我聞の弟で弁護士の庵野迦葉とともに彼女の本当の動機を探るため、面会を重ねる。二転三転する供述に翻弄され、真実がゆがめられる中で、由紀は環菜にどこか過去の自分と似た「何か」を感じ始めていた。そして自分の過去を知る迦葉の存在と、環奈の過去に触れたことをきっかけに、由紀は心の奥底に隠したはずの「ある記憶」と向き合うことになるのだが…。
概要
キャスト
3.芳根京子、誕生日サプライズに“号泣” 北川景子が祝福「立派な女優さんになられた」 映画『ファーストラヴ』大ヒット御礼舞台あいさつ
oricon 2021/02/28
2021年2月28日、TOHOシネマズ六本木ヒルズにて「ファーストラヴ」大ヒット御礼舞台挨拶の開催が決定し、ゲストに堤幸彦監督、北川景子、芳根京子を迎えて実施された。
北川景子、心の支えは“芳根京子”
【参考:年令別若手女優一覧】
乃木坂のメンバーを載せました。
同学年
1994年生まれ:西野七瀬、清野菜名、広瀬アリス、土屋太鳳、川口春奈、松岡茉優、二階堂ふみ、川栄李奈、奈緒
1994年生まれは、良くも悪くも30代女優の継承者の様に見える。多分無意識だと思うがこの塊が既存の女優と言うものを体現しているようだ。王道と言ったら王道の塊になるだろう。
1996年生まれ:池田エライザ、堀未央奈、生田絵梨花、中条あやみ、松本穂香、芳根京子、黒島結菜、今田美桜
1996年生まれは、良くも悪くも自分らしさを大事にしたい様に見える。
池田エライザは、女優だけに限らず曲を作ったり歌ったり音楽をやりたい様だ。又映画監督も経験している様だが、創造性が湧きだしてくるタイプだ。
芳根京子は、つい最近まで女優をやめようとしていた。女優が天職に見える程なのにそれを意識しない位才能に溢れている自分を知らない。天才は勝手に出来ちゃうので、他人の苦労を知らない。
生田絵梨花は、ミュージカルで60才迄帝劇に立ってるのが目標だ。その為のマイルストンを作って地道にそれを実行している。歌もやって行きたい様だ。苦労しても聴衆の前に立っている時、歌を歌っている時が楽しくてドーパミンが沢山出て来る様だ。筆者から見ると、プロデューサーが向いていると思われるが、未だ気づいていない。
黒島結菜は、日大芸術学部で制作側に興味を持っていたらしいが、事務所の意向もあって女優一本に引き戻された。あの美貌で制作スタッフに居たら、出演する女優が引いてしまうわ。創造への意欲はまた出てくるだろう。
芳根京子は、認知度や人気と言う観点では未だまだ足りませんが、演技力と言う意味では、二階堂ふみに匹敵する演技力を持ち合わせています。
特に、その役にしか見えない為、下手すると芳根京子自体が印象に残らないと言う事もあって、名前が浸透しきっていないのかもしれません。
どのドラマを見ても『キムタク』であるスター様とは真逆な俳優ですが、主役として広い役をこなせるという貴重な女優でそこまで役に入り込める女優さんは稀だ。