劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデンみました(ネタバレあり雑感)

以下文中にネタバレあり。

劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデンを見た。

公開から1ヶ月たち、今さらか?という気もしたがとても素晴らしかったのでぐだぐだと感想。

これまでは原作小説は未読で、アニメのみ鑑賞していた。月並みな感想になってしまうが、アニメーションの美しさが素晴らしかった。

本作は、アニメを含め作中を通じて、「手紙とそれに込められた思いが人をつなぐ」という一本道が敷かれていた。劇場版では、より映像としてその表現が強調されていたように思う。冒頭でこれまでアニメに登場した人たちの様子がプロローグの語りで出てきたのもおしゃれ。

冒頭のデイジーが語り部となっていたシーンから手紙が風に巻き上げられて、時代を遡ったライデンは繋がるシーンでもう泣きそうになっていた。

脚本の方が素晴らしいのが、アニメだとより個人のエピソードとヴァイオレット自身の心の成長を丁寧に描写していたのに対して、劇場版だとより大きな時代であったり、複数の登場人物の動きが絡み合ってくる構成になっていた。

それぞれの登場人物の人間関係が対照されて、代弁しつつストーリーが進んでいく様子もすごく良かった。まさに、アニメから一貫してヴァイオレットが手紙を「代筆」することで色んな人を救い、彼女自身が成長したように、劇場版では他者の思いと人間関係が重なっていく構成がよかった。ユリスと弟、ディートフリートとギルベルトの関係とか。

鑑賞中、やはりお客さんのすすり泣きが聞こえてきたシーンはユリスとリュカの和解シーンだったように思う。あの一連の流れも、すごく演出として美しかった。ドールたちの立場を脅かしかねない電話が、本質的には手紙と変わらない、人と人の思いをつなぐツールとして機能していることを表現していた。オタクだから、ある道具が後々違うメタファーとして伏線回収される演出が大好き。

ヴァイオレットとギルベルトとの再会の流れは、たぶんお客さんのほとんどが社長に感情移入していたのでは、と思うくらい、社長の立ち回りが良かった。応援上映があったら大馬鹿野郎コールが起きそうな感じがする。このご時世、応援上映は実施が難しいと思うけれど…。

関係の対照という話で言えば、ヴァイオレットとギルベルト、ディートフリートとギルベルトの比較も丁寧で良かったな、と思った。相手を大事にするが故に、相手を縛りつけてるのではないかという自責と解放を望んでいる、似たもの兄弟。ギルベルトの場合、それが自己完結しすぎて社長がブチ切れていたわけだけれど。

全般通して、アニメからすると何があったの?というくらいディートフリートの性格が丸くなっていたように感じはしたけど内面的な部分が分かるシーンが増えていて劇場版ならではという感じ。

再会後のシーンは海の表現の美しさと、ヴァイオレットの感情むき出しの表情がひたすら美しくてずっと見入ってしまった。その経緯に至るまでのシーンで、2人の身体能力が高すぎてやや面白いなと感じてしまった節はあるけど、ヴァイオレット良かったね、という気持ちのが強かった。

まとまりなく書いてしまったけれど、例の事件があってなお、京都アニメーションというプロの仕事は凄まじく、美しかった。

エンディングロール後まで美しい、必見のラスト。その後の2人がどうなったのか続編ください。




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