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【続き】夜、寒さと雪の中、綱引きをすること

秋田県大仙市刈和野で毎年2月に行われる
刈和野の大綱引き。

知人が声をかけてくれたので
私も参加する予定でした。

国指定重要無形民俗文化財「刈和野の大綱引き」2025 | 大仙市

ところが、事情があって現地に行くことができなくなってしまいました。
知人に連絡をすると、じゃあ来年にしようと
明るく励ましてくれてうれしかったです。

大綱引きが始まる前、夜8時30分。
知人からLINE通話が入りました。
「これから会場に行くよ。ビデオ通話にしようか。」

夜8時55分。
「あと5分ではじまる。」
画面には
どっしりと大きな綱
お祭りの法被を着た人々
防寒着を着た小さな子供たち
たくさんの人々が大綱につながる綱を手に持っていました。

夜8時58分。
「あと2分!」
緊張感が高まっているような。

夜9時
「はじまった!」
その瞬間、綱を持つ人たちが後ろを向いて走り出しました。
びっくり。
腰を落として、脇を締めて引くんじゃないの?!

綱が大きく動いて止まったところで
前に向き直り、ぐいぐい引いています。

「じょうやーさの」っていう掛け声が
勢いよく「じょうやっさ」に変化したりして
かっこよかったです。

感動して涙が出てきました。

現地に行けない私にも、
ビデオ通話を通して
お祭りを届けてくれてありがとう。
こんな温かい思い出、一生の宝物です。

雪がたくさん降る土地の人たちは
人とのつながりの温かさ
誠実でいることの心地よさを
よくわかっているのだと思いました。
私もそんな風に生きたい。

15分弱で勝負が決まりました。
今年は下町の大勝。
豊作が楽しみです。

参加した人たちの満足そうな様子も
かっこいいなと思いました。

帰り道を歩きながら、知人がこう言っていました。
「通り過ぎる人が
綱引きに参加した人かどうかわかる…。
あのおじさん、ぐるぐる肩を回してる。」

きっと、綱引きに全力で参加していたに違いない。

上町が勝てば、米価が上がる。
下町が勝てば、豊作。

どっちが勝っても
参加した人やその土地の人たちに
いいことがあるって
わかっている綱引き。
温かくて素敵です。


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