【ミルグラム考察】囚人番号001 ハルカ(第二審時点)

⚪︎ハルカの罪

 ハルカの第二審MV 『全知全悩』の最後には、三つ編みの女の子の首を絞めている描写があります。

ハルカ『全知全悩』MVより

 また、ボイスドラマから、殺人方法が絞殺であることがわかっています。
 以上から、ハルカの罪は、第二審のMVに出てくる女の子の首を絞め殺したことだと考えられます。
 ところで、ミルグラムは、現実では裁きづらいような殺人を裁く場所です。
 明確に殺人を行なっているハルカは、なぜ現実では裁きづらいのでしょうか?
 また、殺害の動機はなんだったのでしょうか?
 そのことについて、今から考えていきたいと思います。

⚪︎ハルカには障害がある

 ハルカには人と違うところがあります。
 それは、障害(おそらく軽度の知的・発達障害)があることです。
 第一審の曲『弱肉共食』で、ハルカは弱者であり、「スタート位置が違うまま始まった」と歌っています。
 これは、障害がある状態で人生が始まった、という意味だと思われます。
 ハルカに障害があることはMVや言動の随所から伺えます。難しい話についていけない、難しい漢字が書けない、コミュニケーションが苦手、などです。
 その他、障害者らしい行動としては、靴紐を結べていない(第二審立ち絵)、緊張したら血が滲むほど強く手を握りしめる癖がある(公式タイムライン)、などが挙げられます。
 障害のある方は、一般の高校だけでなく、特別支援学校など、障害者が通うための学校に通うことも可能です。
 しかし、ハルカの障害は比較的軽度に見えること、親がハルカに興味がないこと、ハルカが先生にも同級生にも誰にも構ってもらえていないことを考えると、特別支援学校には通っていないのかなと思います。
 ハルカはボイスドラマで「自分の年齢にあまり興味がない」と言っていますし、第一審のMVでずっとパジャマを着ていたことから、そもそもどの学校にも行っていない可能性が高そうです。

 なお、ハルカには障害者である可能性の他に、障害にはならないギリギリのラインのグレーゾーン(境界知能)である可能性などもあります。
 しかし、物語としてメタ的な分かりやすさを取るなら、ざっくりと「生きていく上で乗り越えにくいハードル(障害)がある人」という認識で捉えても大丈夫かなと思います。
 そのため、ここでは「ハルカには障害がある」という前提で話させていただきます。

⚪︎ハルカが現実世界で裁きづらい理由

 ハルカは、第二審のMVで「ぼくはどうしてゆるされたんだ」という歌詞とともに今(17歳)の姿で懐中電灯に照らされていました。

ハルカ『全知全悩』MVより

 そのことから、現実世界では一度警察に現行犯逮捕されたのではないかな、と思います。
 もし、ハルカが殺人をして警察に捕まっていたとしても、裁きづらい理由。
 それは、ハルカに障害があったためではないでしょうか?

 ハルカには障害があるため、物事の善悪を判断し、自分の行為をコントロールする能力が低いと考えられます。そのため、殺人であっても有罪になりにくいと判断され、検察官が裁判をおこさなかった(=不起訴)可能性があります。
 ところで、日本の刑事事件(=殺人などの事件)の有罪率はなんと99.9%だそうです。裁判になった刑事事件はほぼ必ず有罪となる、ということになりますね。
 裏を返せば、有罪となりにくいと考えられるものは、今言ったように、そもそも裁判をしない、不起訴という判断がなされることがあります。
 日本の不起訴率は約6割ほどです。ハルカの殺人事件も、障害があるためにこの割合の中に含まれた可能性があります。
 まあ、ハルカの場合は動物を大量に殺しているという前歴がありますし、意思もはっきりしていますし、やはり何と言っても殺人ですので、普通に裁判に問われて有罪になりそうな気もしますが……。
 法律に詳しくないので実際にどうかは分かりませんが、裁判になったけれども、有罪にするよりも病院で治療を、と司法で判断される可能性などもあるのかな、とも思います。

⚪︎殺害動機

 殺害動機は、第二審のボイスドラマでハルカが発言していますね。
 ハルカの殺害動機は、注目されたかったからです。
 ハルカは、母親から失望され、いない子扱いされていました。
 母親の大事なネックレスを盗んでみても振り向いてくれない。ならば、注目される方法は殺害しかない。
 幼い頃に動物を殺した際、母親が自分に目を向けたのを見て、「殺せば自分に注目してくれる」と学習してしまい、母親を振り向かるためにその後も動物を殺害し続けました。
 そして最後には人を殺すまでに至った。そう考えられます。
 もし、ハルカが最初に動物を殺害した際にも、第二審の歌詞のように母親が「なでなでしよう、イイコだね」と言ってハルカを落ち着かせようとしていた場合は、ハルカをいい方向に向かわせようと言った言葉がかえって「狂ってる」と言わざるを得ない歪んだ思考回路を生んでしまった、という悲劇になりますね。

⚪︎被害者として考えられる人物

 ところで、ハルカが殺した人物は一体誰でしょうか?
 私の予想は以下の2つです。

・第一審のMVで出てきた女の子

 第一候補は、第一審のMVで出てきた三つ編みの女の子です。そのままですね。

ハルカ『弱肉共食』MVより

 MVでは、青い髪の男の子とこの女の子が手を繋いで花火を見ているシーンがあります。
 この男の子がハルカの幼年期であると考えると、ハルカは昔、花火大会の日にこの女の子と一緒に遊んだ、ということになりますね。
 ……正直、ハルカは認知が歪んでいるため、女の子との交流シーンが全てハルカの妄想で実際は何も関わったことがない可能性や、ハルカの実際の年齢が幼年期でない可能性も捨てきれないのですが……。
 ただ、ハルカは尋問で「思い出に残っている出来事」として「花火」、「今までで買った一番高価なもの」として「わたがし」と回答しています。
 花火大会には実際に行ったことがありそうですので、この映像も幼年期に実際にあった出来事である可能性が高いのではないかな、と思います。
 ハルカは、ボイスドラマで「アマネくらいの子は嫌なことを思い出すから苦手」と発言しています。
 女の子との記憶は普通に考えればいい思い出でありそうなのですが、少なくとも第一審のハルカは小さな女の子を見ると「嫌なこと」を思い出してしまうようです。
 殺害時期やきっかけはわかりませんが、その女の子に再会したハルカは、その子を殺害した……。

 ですが、ハルカは「僕より小さいものなら殺せる」とも発言しています。
 この女の子は、幼いころでもハルカと同世代、生きていれば今は高校生です。そんな女性を「自分より小さい」と言えるのか疑問が残ります。
 また、アマネくらいの幼いころに殺した場合なら、何年も前の殺人を今更ミルグラムで問うのもおかしな話だと思います。
 そのため、個人的には次の説もあり得るのではないかなと思います。

・第一審のMVで出てきた女の子に似た他人

 母親に注目されるために殺していたのなら、殺害相手は母親以外なら誰でもいいはずです。
 ボイスドラマでの「アマネくらいの子は嫌なことを思い出すから苦手」という発言と、「僕より小さいものなら殺せる」という発言から、ハルカは17歳の今に、アマネくらいの小さな子供を殺したと考えることもできます。
 殺害相手は誰でもいいとは言っても、殺害するきっかけがある方が自然です。
 それを考えると、幼年期に一緒に花火を見ていた女の子と似た女の子(例えばその女の子の妹や、今年の花火祭りや森に迷い込んで来た容姿の似た子など)を狙ったのだと考えられます。

 ……でもまぁ、少し思い直したのですが、ハルカが被害者の首を締めている映像(冒頭の画像)では、女の子は高校の制服を着ているようにも見えます。
 そのため、ハルカが殺害した相手はストレートに、ハルカと幼い頃に遊んでいた、今はハルカと同年代の、高校生の女性である可能性が高いかと……。
 いや、でも小・中学生でも制服は着ますよね。エスも被害者のことを「幼い」と思っていますし……やっぱりどっちもあり得そうな気がします。

 ハルカは「殺した相手のことは嫌いだったのか?」という尋問に「どうなんでしょうか。うらやましいとはおもってました」と答えています。
 羨ましかったのは、その女の子の生きる環境のことだったかもしれませんし、はたまた、今と違って女の子と遊び楽しく生きていた小さい自分自身のことだったのかもしれませんね。

⚪︎まとめ

 ハルカは、現実世界では裁きづらい囚人ですが、直接その手で人を殺している囚人の1人です。
 ハルカの第二審の判決は「赦さない」。
 同じく、ハルカが母親のように慕っているムウの判決も「赦さない」になりました。
 ハルカはボイスドラマで「ムウを赦さなかった場合は自分が死ぬ」と発言していましたね。
 この結果を受けてハルカはどのような行動を取るのでしょうか? とても緊張しますね。

⚪︎追記:ハルカの障害が具体的に何なのか考えてみた

 ハルカのことを考える中で、ハルカの障害が何なのかも気になってきたので、自分で考えてみました。
 素人意見なので間違ってる部分もあると思いますが、ご興味があればこちら↓もどうぞ。

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