英検1級合格後の英語学習をどうするか

頑張って英検1級(やTOEIC950点以上)に合格したけど、全然英語出来る気がしない……。

合格者なら誰しも1度は感じることではないでしょうか。

とはいえ1級は英検において最高峰の級であり、学習目標として次に何を目指せば良いのか分からない、という方も少なくないと思っています。
通訳案内士に合格するなどの具体的な目標が無ければなおさらです。

本稿では趣味で英語を学習してきた私が、英検1級からCEFR C1上級〜C2近くまで到達するために、こういうことを考えて勉強してきた・するつもりのことをまとめてみます。
ネットで検索をかけてみても、意外と「英検1級以降の英語学習法」は引っかからないんですよね。自分が読みたい記事が無いので、自分で書きます。そしてもっと良い記事が出てくることを期待しています。私も英語学習の旅路の途中なので、もっと良いやり方や教材があるよという方はぜひ教えて下さい。
英検1級 ≒ TOEIC950点くらいだと思っているので、TOEIC950点〜満点の方にも参考にしていただけるかと思います。

なお筆者のスペックは英検1級、TOEIC満点、VERSANT82点のアラサー社会人です。日本在住で仕事で英語を使う機会はほぼなく、趣味で英語学習を続けています。


ここまで来たなら自分で考えよう?

そもそも英検1級まで頑張ってこれた方でしたら、それなりの動機があってここまで来ているはずです。通訳案内士になりたい、海外で仕事がしたい等。であればその最終目標と現状を明らかにし、それらのギャップを埋めるロードマップを作れば良いだけです。
ここから先は人によってやるべきことが違うということです。英検1級で英語の基礎=CEFR C1初級レベルは固まった。あとは各々が伸ばすべきところを伸ばせば良い。ここまで自分を律して頑張ってこれた方なら、現在地と目的地を把握しその間をどう繋ぐかまで考える力を持っているはずです。
ただそんなことを書いている私は趣味で英語をやっていまして、漠然と「英語出来るようになりて〜」と思ってます。まあそうでないにしても、英語学習の目的が何であろうと英検1級をもって英語学習は上がり、なんてことはまずないと思います。ある程度汎用的に考えられる部分があると思っているので、この記事ではそういった出来るだけ汎用的に使える英検1級の先の学習ロードマップを提案してみたいと思います。

英検1級合格者の3つの壁

英検1級に合格しても「英語が出来ない」と感じる理由は主に3つあると考えています。

  1. 試験などのリスニング教材は聞き取れるが、映画やYouTube, ネイティブ同士の会話になるとほとんど聞き取れない。

  2. スピーキングは2次試験対策を付け焼き刃でやっただけなので、そもそもそんなに喋れると思っていない。

  3. リーディングは出来るかと思いきや、雑誌や英字新聞レベルの文献に当たると知らない単語がわんさか出てくる。何なら1級レベルの単語もそんなに定着していない。また口語表現やスラングなどはからっきし。

平たく言えばライティング以外はまだ全然自信が持てる状態にないと言えます(ライティングも人によっては自信を持てないかもしれないですが今回は置いておきます)。
この3つの課題感を解決していくのが、私が考える「英検1級の先の英語学習」のゴールです。すなわち、

  1. 生の英語が聞き取れる。(リスニング)

  2. 自信を持って話せる。(スピーキング)

  3. 雑誌や新聞の英語、口語表現が難なく理解出来る。(ボキャブラリー)

を目指します。

「リスニング教材」からの卒業

まず1点目、「生の英語が聞き取れない」問題。
英検1級合格者とはいえ、今まで英検やTOEICなど、試験用・学習用に作られたリスニング音声しか聞いたことがない方が多いのではないでしょうか?
学習用音声を卒業して、ネイティブが消費しているコンテンツに触れるべき時ではないでしょうか。
そもそも学習用の音声はある種不自然なものです。発声の訓練を受けた人が、録音環境の整った状況で、ゆっくり話しているものがほとんどです。ネイティブ同士の会話ではスピードが速いだけでなく、しばしば音の脱落やリエゾンといったことが起こります。ここに教材と生の英語の大きな壁があります。(個人的には一番聞き取り難易度が高いのは観光客向けでない現地のカフェやスーパーの店員さんが喋っている英語だと思います。マジで聞き取れない。)
YouTubeやNetflixを英語で観れば、幾らでも生の英語は転がっています。関心のある分野について発信しているYouTuberをウォッチしたり、Netflixで英語で観れる作品にあたるのも良いでしょう。私はNetflix限定配信のヴァイオレット・エヴァーガーデンというアニメが好きなのですが、日本語で1周観てから英語吹き替えでも1周しました。ネイティブ向けコンテンツの中ではかなり聞き取りやすい方だと思うのでオススメです。
アニメ好きな方はPHOTOGLISHというYouTubeチャンネルがオススメです。アニメの英語吹き替えを題材に英語を学べる素晴らしいチャンネルです。私も他の教材で手が回ってなくてまだあまり活用出来てないのですが、いずれある程度まとまった時間取り組みたいと思っています。

物によってはいきなり聞くには発音が崩れすぎていて心折れる場合もあると思います。そこで補助的な教材としてモゴモゴバスターを使うことを私は検討しています。TOEICや英検をやっているだけでは絶対に出会えない、容赦ないネイティブによる音の脱落やリエゾンに慣れていくことに特化した教材のようです。8,800円の買い切り教材なので割とaffordableかと思います(※案件ではありません。以下同文)。

ちなみにTOEFL, IELTSのリスニング問題も聞いてみたのですが、英検1級・TOEIC満点レベルではほぼ問題なく聞き取れるレベル感でした。逆にVERSANTは比較的容赦なく曖昧な発音を聴き取らないといけない試験となっており、個人的には英語の基礎を固め終えたら(目安としてTOEIC900点程度)、VERSANTでスピーキング・リスニングの実力チェックをしていくのが英語の運用力UPに最短でコミットするには良いように思っています。VERSANTについては後ほど詳しく述べます。

スピーキングは伸びしろしかない

英語の基礎があるのに喋れないのは喋る練習をしていないからです(断定)。
英検1級やTOEIC900点を取得するにあたって、スピーキングの練習はほぼ必要ありません。英検1級には2次試験がありますが、ある程度型があるので、直前に付け焼き刃で対策して何とか乗り切ったという方が大半かと思われます。したがってこれらの目標に最短でアプローチしている場合、学習者はスピーキングという領域に真剣に向き合う機会が存在しないことになります。つまり、伸びしろしかありません。

私はたまたま会社の福利厚生で半年間オンライン英会話を受ける機会を得ました。それまでスピーキングの練習は英検2次対策以外ほぼしたことがありませんでした。毎日25分、特に序盤は初対面の海外の方と英語で話すのは相当苦労しました。しかし英検1級レベルの学習者であれば英語の基礎があるので、あとはそれをスピーキングの能力に転化するだけで良いため、半年後にはある程度話せるという感覚を得るにまで至っていました。
私が半年のオンライン英会話で得たスキルは以下です。

  • 言いたいことを自分が言えるレベルの簡単な英語に瞬時に変換して言う

  • 初対面の英語話者と25分話せと言われても「なんとかなる」という度胸

特に1点目はスピーキングを実践する上での第一関門にして最重要ポイントだと考えています。スピーキングはリスニングやリーディングと異なり、自分が言いたいことを相手に伝わる形で言えれば95点取れるゲームです。確かに失礼な言い方などになってしまわないよう注意が必要なケースはありますが、中学英語でもいいので言いたいことが伝われば目的は達成されるわけです。なのでまずはこの段階を目指しましょう。より正確な文法で話すとか、より細かなニュアンスを正確に伝えるため様々な語彙を使い分けるといったような話はその後に考えればいいです。

スピーキングの学習方法としては、オンライン英会話と独り言が王道かと思います。可能であればオンライン英会話を一度は3〜6ヶ月くらい集中して取り組まれることを個人的にはオススメします。目の前の人間にリアルタイムに返答しなければならないという緊張感が脳に負荷を与えてくれ、「言いたいことを簡単な英語に瞬時に変換する」能力が嫌でも鍛えられます。

ただやはり「ネイティブだったらそうは言わない」ような表現を多々使っているとか、細かい冠詞や前置詞が誤っていそうな自覚はあり、そこはケースバイケースで叩き込んでいくしかないと思っています。「とりあえず伝わる」のは(英検1級レベルの基礎力がある人であれば)意外とすぐかと思いますが、やはり「自然に伝わる」にはかなりの壁があると感じます。最近はパタプライングリッシュに取り組み、定型フレーズをまるっと覚えてしまうことで、冠詞や前置詞といった迷いがちなポイントを膨大な実例から帰納的に体得出来ないかという試みに取り組んでいます。

補足ですが、私の場合は「簡単な英語でとりあえず言えるようにする」が出来るようになった後、今度は「そもそも相手が喋っていることが聞き取れない」のが会話をする上でのボトルネックになっていることに気づきました。自分はずっとスピーキングが出来ないと思い込んでいたのですが、実は生の英語のリスニングが出来ないことの方が律速になっていたのです。スピーキングは自分のレベルに合わせて喋る英語のレベルを落とせますが、リスニングはそうは行きませんので、やはり生の英語を聞き取る訓練は重要だと再認識しました。

単語、ちゃんと覚えられてますか?

私は単語帳を読むこと自体は好きなのですが、正直なところちゃんと単語を覚えられていたかというとそうでもなかったなと思っています。
そもそも英単語帳を使って本当にちゃんと英単語を覚えられている人ってどの程度いるのでしょうか? 私は長文や例文を読みまくるのが好きなのですが、それだと単語を受け身で浴びているだけで「記憶を引っ張り出そうと努力する」過程が全くないので、いざ「leveeってどういう意味?」って言われても瞬時に答えられません。

YouTubeで「英単語 覚え方」などで検索すると大御所YouTuberの暗記法がたくさん出てきますが、どれも核となる主張はほぼ同じで、「1単語1秒〜数秒で
日本語の意味を答える作業を何十周も回せ
」なんですよね(もちろん、折に触れて用例を確認する作業も必要ですが)。

24年に話題になった『科学的根拠に基づく最高の勉強法』という本でも、「アクティブリコール」という学習法が提唱されています。

アクティブリコールとは「勉強したことや覚えたいことを、能動的に思い出すこと、記憶から引き出すこと」です。

安川 康介. 科学的根拠に基づく最高の勉強法 (p. 45). (Function). Kindle Edition.

私はこの作業がダルくて今までずっとサボってきたため、試験の穴埋め問題や4択問題で答えられる程度の朧気な知識で留まってしまっていることが多いことに割と最近気づきました。

やや蛇足ですが、逆に言うとぶっちゃけ英検1級に受かる「だけ」なら、大問1に出てくるようなハイレベルな語彙に関しては、4択問題で答えられる程度の何となくの理解でもOKです。私は合格者の中でも最も1級単語を覚えていない方という自覚があります(笑)。単語帳はほぼ回しておらず、語彙問題集を買ってきて500問丸覚えして本番で8割正答しました。

このような「試験テク」で受かってしまった自覚のある人は、まずは英検1級語彙の復習から徹底的にやっていきましょう。とりあえず受かるのとちゃんと知識が定着しているのとでは天と地の差です。(私の場合、合格前より合格後の方が既に多くの時間をかけていますが、まだ全然終わっていません。)

英単語暗記はmikanがオススメ

上記のような「英単語を見て1秒で日本語訳を言うのを何十回も繰り返す」という作業をめちゃくちゃ簡単に実現できるスマホアプリがあります。英語学習アプリ界隈では言わずとしれたmikanです。

私も最近まで「本は電子書籍で読むけど、語学はやっぱ物理本だよね」というアナログ人間でした。が、mikanを知ってびっくり。プレミアム課金(年間12,000円。アプリDLから24h以内はセール価格の9,600円)は前提になりますが、市販の英語学習本が数百冊使えて、それらの収録単語でフラッシュカード暗記が手軽に出来てしまいます。物理本を持ち運ばないで良いし、電車待ちなどの1分のスキマ時間でやれるので、こまめに繰り返し復習が必要な単語学習と相性がめちゃくちゃ良いです。
既に物理本を持っている教材でも、4択問題やフラッシュカードなど出題形式を変えて取り組むことで、より知識の定着を図ることが出来ます。もちろん所持していない書籍も(課金していれば)手軽につまみ食い出来るのも良いですね。

英検1級レベルの学習者でも、2025年2月時点で収録されている本としては以下が使えると思います。

  • 英検1級復習

    • 英検1級 でる順パス単 5訂版

    • 英検1級 文で覚える単熟語

    • 出る順で最短合格! 英検1級単熟語EX 第2版

    • 出る順で最短合格! 英検1級語彙問題完全制覇

  • TOEIC満点対策

    • TOEIC L&Rテスト 990点攻略 文法・語彙問題1000

    • 英英英単語TOEIC L&Rテスト スコア990

    • TOEIC L&R TEST 990点獲得 全パート難問模試

    • 極めろ! TOEIC L&R TEST 990点 リーディング特訓

    • 上級英単語 LOGOPHILIA ロゴフィリア

    • TOEFLテスト英単語3800

    • 英英英単語 超上級編(電子書籍のみ)

後述する究極の英単語VOL.4やTOEFL上級英単語などは収録されていないため、英検1級〜TOEIC満点やTOEFL iBT 100点レベルまでしか使えないかもしれませんが、逆に言えばそこまではこのアプリでサクッと済ませてしまうのが楽だと思います。

筆者の使い方を軽く紹介すると、まず英語のリハビリに使っていたLOGOPHILIA(準1級〜1級overレベルの単語帳)に関して、漫然と長文を繰り返し読んでいただけで単語があまり定着していなかったので、mikanで4択問題1周→フラッシュカードn周の手順で取り組んでいます。これが落ち着いたら英検1級参考書群4冊を回しまくって英検1級単語の理解を盤石なものにしたいと思っています。

英検1級overの英単語帳

再三になりますが、英検1級合格者と一口に言っても1級語彙が身についている人とそうでない人がいると思います。単熟語EXには2,950語収録されているので、これを全て覚えるだけでも相当な時間がかかるはずです。以下はこのレベルが身についている前提で書いていきます。

究極の英単語VOL.4

レベル10(最初の1,000語)はまだ手心が加えられていると感じますが、レベル11以降の2,000語はかなりの割合で英検1級では出くわさない単語が収録されています。beyond英検1級の英単語帳としてしっかり取り組む価値のある単語帳だと思います。個人的にはmikanに収録してほしい単語帳ナンバーワンです。

TOEFL TEST上級英単語2500

英検1級でも見かけない単語が多数含まれている貴重な本ですが、やはりTOEFLという留学生向けの試験の対策本のため、学術的な語彙にやや偏っている点だけ注意が必要です。mikanに収録してほしい単語帳ナンバーツーです。
TOEFL iBT 100点以上を目指す人のための単語帳らしいですが、私がこの本の頭100単語を見て既知が6割程度に留まった一方で、Readingの過去問を何セットか解いてみたところ1パッセージあたり数単語しか知らない単語は出てこずほぼ解答に支障はありませんでしたので、TOEFLで高得点を取る上ではここまで必要ないと思います。

英英英単語超上級編

1,000語と収録語数は少ないですが、読み物として面白いです。20,000語レベルと謳っていますが意外と英検1級で見覚えのある単語も散見されるので、そこまで臆することはないと思います。

ここまでの3冊を完全マスターしたら、あとはネイティブが消費しているコンテンツにあたって語彙を増やしていくのが良い(というかこれより上位レベルの日本語で書かれた単語帳が存在しない)気がしています。

Distinction

有名YouTuberのatsuさんが執筆されている、ネイティブが使うけど日本で英語学習していてもまず出会わない語彙を集めた本です。市販されているDistinction 2000ではなく、ネット通販限定の方になります。
これまで紹介してきたような、純粋な難単語にスポットを当てている参考書とは全く毛色が異なります。私がDistinction Iを眺めた限りでは、2-3割しか知っているものはありませんでした。このシリーズに出てくる表現を自分で使えるようになったら相当ネイティブに近いと思いますが、それ以前にもっとベーシックな表現をミスなく言えるようにする(後述のIDIOMATIC 300に取り組むなどの)方が先かなと個人的には思います。一方でネイティブ側はこの手の表現をバシバシ使ってくる可能性はあるので、自分で使えなくとも知っておいてリスニング出来る必要はあるかなという所感です。洋画を観たい方などは優先度が上がってくる本かもしれませんね。

その他のオススメ英単語帳

上級英単語 LOGOPHILIA ロゴフィリア

  • 昔英検1級まで取ったけど、しばらく期間が空いてしまったので、リハビリから入りたい

  • 最新の時事トピックに関連する語彙を仕入れたい

といったニーズを満たしてくれる単語帳です。実際の英語記事等のみで構成されており、長文と見出し語に対する詳細な解説を読みながら楽しく英検準1級〜1級overの語彙を概観できます。収録語数は950と少なめですが、解説が豊富なので400ページほどのボリュームになっています。何度か繰り返し読んだら、mikanでフラッシュカードを回すことでより定着が図れると思います。私はここから英語のリハビリを始めました。

PINNACLE 420

2023年暮れに出版され、色んな意味で物議を醸した1冊。
この単語帳、「大学入試」と冠していますが、英検1級・TOEIC満点所持の筆者が試しに30問解いたところ、正答率はなんとたったの6割でした。私はアラサーですが、たった10数年で大学入試はこんなにも難しくなってしまったのでしょうか? 多分そんなことは無いでしょう。端的に言って英語以外にもやることの多い受験生にはtoo muchな参考書です(corroborateとか知ってる受験生がいたら引きます)。
大学入試事情には明るくありませんが、私のイメージでは外大など英語の比重が大きく受験科目数が少ない大学において、帰国子女にも引けを取りたくない受験生が取り組むといったような、ごく限定された環境下では威力を発揮するのかなと思いました。

一方で英検1級語彙をある程度身につけた方の総仕上げにはもってこいの内容かと思います。TOEIC900点くらいの実力ではほとんどわけがわからないでしょう。解説や類語の紹介もきわめて豊富なので、読み物としても面白いです。420単語しか掲載されていないはずなのに400ページもあります。

IDIOMATIC 300

先述のPINNACLE 420と同系統の本として2024年夏に発売されました。こちらはPINNACLE 420よりは対象レベルが下がっていますが、とはいえやはり物議を醸す難易度でして、とても「共通テスト〜難関大レベル」とは言い難いです。

「頻出フレーズが頭に入っていれば、空欄補充問題は最初から埋まって見える」が本書の主張で、それ自体は同意なのですが、そのレベルに到達するのって英検1級より更に先だよね? と個人的には思います。実際巻末の空欄補充問題を選択肢を見ずに数日分解いてみたのですが、正答率3割といったところでした。そもそも聞いたことのないフレーズも少なくありません。

正直この本は紹介するか迷ったのですが、英検1級レベルの学習者が使うことで、「頻出表現を頻出表現と認識してスピーキング・ライティングで使えるようにする」ということが可能かも? と思っています。頻出表現をまるっと覚えることで、冠詞の有無や前置詞のコロケーションなどを気にしながら話す手間が減り、また大量に実例を暗記することで帰納的に冠詞や前置詞の感覚を掴めるのではないかという気がしています(まだ自分の中では仮説ですが)。スピーキングの実力向上という観点では、Distinctionの表現を使えるようにする前に、まずこの本に出てくるような素朴で基本的な言い回しを確実に使えるようにするのが先なように思います。
また英検1級レベルの学習者でも「こんなにも頻出表現を知らない・身についていないのか!」と現実を知って謙虚になれる本です(笑)。

英検1級より難しい試験で良い目標になりそうなものはないの?

無いことは無いです。TOEFL, IELTS, 国連英検特A級あたりがよく挙がるかと思います。
ですがいずれも手頃ではないと感じます。TOEFL, IELTSは基本的に留学生向けの試験なので(IELTSはアカデミックでないバージョンもありますが)、ビジネスパーソンや趣味人が英語力を高めたいというニーズには必ずしも合致しない部分があります。試験自体も数時間にわたるハードなもので、受験料も高いです。
IELTSに関しては目標が立てづらいと感じます。英検1級合格者であれば、スピーキングが壊滅しなければ7.5は取れるでしょうが、8.0となると一気に難易度が上がります。またライティングの採点が異常に辛いことでも有名です。まだ120点満点で採点されるTOEFLの方が取り組みやすい気がします、対策教材も豊富ですし。
国連英検特A級は、そもそも国連に関する知識が求められ、そこに興味がない人にとっては余計な学習に感じられます。

個人的にはVERSANTを受けてみるのがオススメです。

まだ日本での知名度は低い試験ですが、スピーキングとリスニングに特化しており、日常生活やビジネス現場での実践的な英語力を測定できる数少ない試験です。

2024年10月、ついに市販本で初めて日本語の対策書籍が出ました。

とはいえこの試験は非常に対策しづらいです。だからこそ純粋な英語の地力が試されると言えます。惜しむらくは――これは完全に個人の体験ですが――全てAI採点ゆえか、採点方法にやや疑問が残るという点です(Speaking領域で87/90点でCEFR C2の判定が出たのですが、絶対に自分がCEFR C2なわけがない笑)。ただこれを言っているのは自分以外にあまり聞かないので、あまり気にしないで良いかもしれません。

VERSANTの特徴を挙げますと

  • 試験時間はわずか20分。スマホでいつでも受験可能

  • 受験料も6,600円と安め

  • 全てAI採点で、5分程度で結果が出る

  • リスニング音声がよりネイティブらしく、省略やリエゾンを含んでいるため、より実践的

という感じです。既に述べた通り、英語の運用力UPに最短でコミットしたいなら、TOEIC900点を取ったらVERSANTに切り替えるのが良いと思っています。

おわりに:英検1級は通過点にすぎない

英検1級取得者は誰しも実感しているかと思います。英検1級は通過点にすぎない、と。
私はガチガチに効率を求めて英検1級対策に取り組んだのもあり、実は試験対策自体に費やした時間は60時間とかそのくらいです。しかしそこから改めて1級単語を塗り直したりオンライン英会話に取り組んだりしながら、TOEIC満点やVERSANT82点を取るまでに600時間くらい勉強してます。
この記事で紹介した単語帳など含め、これから取り組みたい教材もたくさんあり、今思い浮かんでいるものだけでももう600時間は遊べそうです。それでもCEFR C2に届くかというと全然怪しい。改めて英検1級合格は通過点にすぎないと感じます。やっていきましょう!

完全に蛇足ですが、数年以内に中国語も勉強したいので、なおさら英語はさっさと進めたいんですよね。まあスプラトゥーンとかFPSを遊んでいる人のプレー時間に比べれば600時間なんて可愛いもんだし余裕でしょう(?)。

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