【R1-025-026】下肢痛・下腹部痛の原因は？

【R1-025-026】

問題 25-26 連問：次の文を読み, 2つの問いに答えよ. 下肢痛と下腹部痛とを主訴に来院した患者の骨盤部造影エックス線 CT 画像を示す.

骨盤部造影CT画像

問題25：この患者の訴える下肢痛の範囲はどこか. 1つ選べ.

a. 1　b. 2　c. 3　d. 4　e. 5

問題26：この疾患の特徴はどれか. 2つ選べ.

a. 女性に多い　 b. 若年者に多い　c. 肥満者に多い　d. 不妊の原因になる　e. 腸閉塞の原因になる

解説

画像を見ると右閉鎖孔ヘルニアを認めることがわかる.

腸閉塞症状となるため, 腹痛, 嘔吐, 腹部膨満などを主訴に来院することが多いが, 本症例の様に下肢の痛みを主訴に来院することもある（後述）. 閉鎖孔ヘルニアが生じる機序は, 幅1cm, 長さが2〜3cmの閉鎖孔の管内には神経血管束が存在し, この周囲の脂肪組織の萎縮による.

閉鎖孔ヘルニアで認められる所見と言えばHowship-Romberg徴候である. これは, 閉鎖孔神経を圧迫することで生じる大腿部内側から膝へ放散する痛みであり, 認める割合は15〜20%程度である（1）. 認めないからといって否定できないが, 下肢の痛みで来院し閉鎖孔ヘルニアが鑑別に挙がらずに坐骨神経痛などと誤診されることもあるため注意が必要である. 痩せ型の高齢女性に多いことが特徴であるため, 特にそのような患者群では意識したい. 意識しておかなければ, 例え画像を撮影してもみえないこともあるとか...（答えを知ってから読影すると誰もがわかるんですけどね）.

答え：e（問題25）, a, e（問題26）

参考文献

#1. Mnari W, Hmida B, Maatouk M, Zrig A, Golli M. Strangulated obturator hernia: a case report with literature review. Pan Afr Med J. 2019 Mar 26;32:144. doi: 10.11604/pamj.2019.32.144.14846. PMID: 31303916; PMCID: PMC6607289.