見出し画像

【うたすと2】の【うらすと】『ウチの彼ピはインプレゾンビ』の個人的まとめ

振り返ってみると、誰かの詞に曲をつけたのは、人生で4曲目だったsoundwsです。

10/21に幕を下ろした【うたすと2】は、今思い出しても楽しい体験でした!ロス状態からようやく開放された感じです。

今日は、曲をつけさせて頂いた『ウチの彼ピはインプレゾンビ』の制作秘話というか、色々と初めての事が多かったので、備忘録を兼ねたうらすと(裏話)といきたいと思います。

メモとるべ


普段は、メロディの一節が歌えるようになるまで、何もかも頭の中で済ませていますが、企画曲の性質上、メンバーと連携を取ることもあるかもと思い、アイディア出しの段階から、メモを取ることにしました。
まずは、この制作メモを取ったのが初めての経験でした。

たらはかにさんから歌詞を頂いてからは、このメモを共有しながら制作していきました。

ご紹介が後になってしましましたが、
この歌詞を書かれたのは、小説家の たらはかに さんです。

鋭い切れ味が心地よく、今もぼちぼち過去作品を読ませてもらってます。

書籍も出していらっしゃる小説家さんが書いた詞に曲をつけたのも、初めての経験です。

『インプレゾンビ』という言葉もこの時初めて知ったので、調べてみるまでは、らたはかにさんが作った造語で、めちゃセンスある~!なんて思ってました(笑)

歌詞↑ を一読してまず思ったのは

ぎっしり詰まってる!


ワード数もさることながら、情報の密度と量が凄い。
作品がそのまま詞になってる~!というのが第一印象です。
コレに曲をつけられるのだろうか?とも思いましたけどね(笑)

ただ、構成も出来上がってるし、音数も合わせてあるので、歌詞を書くにあたってイメージした曲があるのではないか?と思い尋ねてみました。

お返事がこちらです。

強風オールバックとか、しかのこみたいな感じで頭の中に流れてました。

たらはかにさんのお返事より抜粋

これはまったく想定外でした!

完全にネタ歌を狙ってる?
バズらせる前提?
もしかして、歌詞の世界観を、この歌で再現しようとしてる!?

初めに高いと感じたハードルが、さらに10倍くらい高くなった気がしました(笑)が、この後、頂いた言葉があります。

でもsoundwsさんのインスピレーションに抱かれてみようという気持ちもあります。基本的にはどんな曲でも楽しめるので、soundwsさんがこれだ!と思った曲でお願いします!

たらはかにさんのお返事より抜粋

パチッ!


スイッチが入りました!

こんな作曲家冥利に尽きること言われたら、期待に応えよう!想像を超えるものを作ろう!って思っちゃいますよ!

曲調のアイデアを広げるため、下のメモを添えて尋ねたのでしたが、結果的に、方向性が一本に定まる結果となりました(笑)

ヨシ!

ジャズやるべ!


--- 追加 --- から下は、意見を頂いた後に書き足した部分です。

曲の方向性(仮)

ジャズ風

アップテンポなスイング sing sing sing 風
ホーン&ピアノ中心のビッグバンド編成
フロアタム多めのドタバタとしたドラム
繰り返しが少ないメロディー
エモーショナルなボーカル 椎名林檎
椎名林檎&トータス松本の目抜き通り

渋谷系
ポップでお洒落
抑揚が少なめなボーカル
ピチカートファイブ

テクノポップ風
ピコピコ電子音
無機質なボーカル
ジューシーフルーツ

EDM風
リズムと音色で盛り上げるダンス曲
ドラムンベース、または、4つ打ちドンドン
中田ヤスタカ

--- 追加 ---

TikTok系
覚え易いメロディと軽快なリズム
キラーフレーズ
ネタ全振りもアリ
ビジュアルと共に

強風オールバック
しかのこのこのここしたんたん
ビビデバ
遊び多めで

妖怪人間ベムのテーマ
SNSに生きる女性。
いくらバズろうと、現実は何も変わりはしない。
極めつきは開示請求。
それさえ何の意味があるのか?

はたから見たら「滑稽」この上ない。
彼女自身もまたゾンビ化してると言える。

果たして、SNSゾンビは、白馬に乗った王子様なのか?

制作メモより 曲の方向性(仮)

最後に書き足した妖怪人間ベムのテーマだけ、曲調ではなく、歌に込めた思い!になってますね(笑)
スイッチが入った後、歌詞を読み返して、思ったことをそのまま書き出したらこうなりました。

当初の思惑と違いましたが、お陰で、曲作りに芯が生まれました!

「ジャズやるべ」と決めたものの

これまで、ジャズを書いたことも無ければ、積極的に聴いたことすらありません。難解で取っ付きにくいイメージを持ってたので、出来ることなら一生触ずにやり過ごすつもりで避けてきたジャンル。
引き出しどころか、ジャズの一片も持ち合わせてません。

ならば、何故にジャズ?

私もそう思いました(笑)

詞を読んで、真っ先に浮かんだのがジャズだった

これだけなんです!

何というか、自分のインスピレーションに賭けてみよう!って思っちゃったわけですよ。
それが、たらはかにさんの期待に応える(=想定を超える)ことに繋がるだろうし、自分の壁も越えて何かが広がる予感がしたのです。

初めに思い浮かべたのはこれでした。

華やかでカッコいいよね!
こういうビッグバンド編成で、バシッと決めたい!

と、思ったものの、歌詞の女性に合うか考えると違う気がします。明るく歌ってしまうと、ホントに救いようのない女性になってしまう気がして。
曲に憂いや滑稽さを持たせたいのですよ。

次に思い浮かべたのが、上野樹里さんが主演された映画『ジャズやるべ』『スウィングガールズ』。この作品に登場してたのは、スタンダードと呼ばれる、30年代・40年代に流行してた、ビッグバンド編成のジャズ。
その代表といえば、ベニー・グッドマンさん演奏による『SING SING SING』でしょう。

スタンダードだけあって、演奏動画は沢山ありました。
なかでもソロが沢山はいってるこの演奏は、カッコいい!
ヨシ!この方向でいってみるか!
ということで、主軸となる方向性を制作メモに追加です。

イントロや間奏・エンディングのドタバタドラムは、SING SING SING のオマージュです。

ジャズ・スターンダード
30年代、40年代のジャズ・スタンダード。
大正の雰囲気。レトロモダン。
曲調短調。
楽器構成:ドラム、ベース、ピアノ、トランペット、トロンボーン、テナーサックス、バリトンサックス、・・・ギター(無しでいいかも)
TATOO(中森明菜)を電子楽器無しで演じてる雰囲気。
極力電子楽器無しの方向で。

ヴォーカル
女性。艶のある女性らしい歌声。
歌い上げず、語るような歌い方。
イメージ:阿川泰子さん
候補:SynthsizerV Ayame または  Sheena、
 六花はキャラクター性が強いので今回は除外
 または 生歌(いい人がいればね) 
()内は、拡声器を通した男性の声(自分でいいかも)

制作メモより 曲の方向性(主)

「でも」から作り始めた

デモ曲のことではありません。
「でも、でも、好きといった責任取ってよ」
この部分から取り掛かったってことです。

主人公を、ただのアホな女性にしたくなかったので、詞の中で、最も可愛く感じたココを軸に据え、始めることにしました。

私の作曲手順の第一段階は鼻歌です。頭の中で鳴る伴奏に鼻歌を乗せて、なにか閃くまで何度も試し(探り)ます。
これはと思ったら口に出してみて、ヨシこれ!って思えるフレーズが生まれるまで、何度も何度も繰り返すというものです。

「でも、でも、好きといった責任取ってよ」
ココだけ何度も、しっくりくるまで、繰り返します。

この間、ギターを持ったり、DAWに向かうことは、一切ありません。
ヨシこれ!が出来た時点で、テンポ・音色・コード・メロディーが全て頭の中で鳴ってるので、後は曲全体に広げて、ギターなり、DAWに落とし込むだけ。
体感的には、ヨシこれ!が出来た時点で、進捗率80%です!

話が少し外れますが、
ヨシこれ!が定まる前にギターを手にし、初めに鳴らした(たまたま鳴った)音色に引きずられて迷走し、何曲もボツにしてきた苦い経験から、こんな作曲方法に行き着きました。

自分で歌詞を書くようになってからは、高校時代に組んでたバンドのヴォーカル(作詞作曲担当)が言ってたことが理解できるようになり、その言葉が、この作曲スタイルを支え続けています。

「その伴奏歌いにくい」
「こういう風に歌いたい」

当時ギターのアレンジを担当してた私がよく言われてた言葉です。
要は「気持ちよく歌いたい!」ってことですが、メロディでも伴奏でも、言葉が持ってる音とリズムを拾い上げれたなら、自然と気持ちよく歌える曲になると思ってます。
気持ちよく歌えるから、歌に気持ちを乗せられるってとこに繋がります。

さて、話を戻して、制作メモによしコレ!を追加です。
頭の中で鳴ってたアレンジを言葉に直したら、これを念頭に置いて、曲全体に展開していく、第二段階に入ります。

決定事項
歌詞が詰まってる分、曲は隙間を作る!
徹底的に削ぎ落とし

ジャズ(スウィング)の3ピースバンド
エゴラッピンからブラス・ギターを抜いたイメージ
シンプルなアレンジ
軽く軽く、どこまでも軽やかに

どこかで聴いたことがあるような
昔からあるスタンダードナンバーと勘違するほどに
小さなクラブで雇われバンドが演奏してる雰囲気
毎日同じ曲をやりすぎて演奏がマンネリ化してる
頑張ってない、惰性で演奏してる感じ
この曲を聴いてるバリバリ仕事ができる容姿が整った女性
傍からの印象と、当事者が感じるギャップ最大に

制作メモより 決定事項

だけど、僕にはピアノがない!

頭で曲は鳴ってるのだけれど、我が家に楽器は、アコースティック・ギターしかありません。加えて、ジャズで用いられるテンション・コードの知識も無いので、あっても弾けません。

さてどうしたものか考えた末、ギターの低音弦(5,6弦)をベースにみたて、ヨシこれ!を展開することにしました。

ヤッてみるとこれが思いのほか楽しく、イントロからエンディングまでの構成と、基本的なコードは、ベースだけで一気に作りあげてしまいました。

ココまでくれば、あとはDAWに打ち込むのみ!
90%終わったわ!と思ってたのですが・・・

ドラムを打ち込んでみると感じる違和感。
ロックのシャッフル(跳ねたリズム)を、それっぽく打ち込んでみたのですが、まったくスウィングに聞こえません。
もっと軽やかに流れるような雰囲気にしたいのに・・・

『なんか重たい』

スウィングって難しい!

これは先人に習うしか無いと思い、急遽ジャズのお勉強週間です。
最も参考にさせて頂いたのがこちら、黒田和良さんのチャンネル
バスドラムとスネアで基本リズムを刻むロック(ポップス)とは、全く別のリズムの考え方を学ばせて頂きました。

基本リズムを刻むのはライド・シンバル
バスドラムはどこまでも柔らかく、ベースの余韻のごとく
スネアはフィルインで他の楽器(歌)と会話する
2拍目・4拍目に入るハイハットだけが、ジャストテンポ
他の楽器は、ひっぱったり、走ったり。特にベースは、音の鳴り始めではなく、音量のピークをテンポに合わせる

最後の、ベースは音量のピークをテンポに合わせるは、何度動画を見返しても、その差はわかりませんでした(笑)
気持ち早く!よりも更に短い、ロックなら誤差レベルの違いなのでしょう。

実際にヤッてみると、オーーーー!曲が走り出しました!
ベースが曲全体を引っ張ってる感じで、軽やかに流れるようなリズムに生まれ変わりました。 コレコレ(喜)

完全な付け焼き刃(笑)ですが、
それっぽい雰囲気には出来たと思います。

そしてピアノ。
ジャズっぽいテンション・コードの知識はありませんが、頭の中で音は鳴ってるので、それを一音一音ピアノロールにマウスで打ち込みます。

もう一息!
最後に、このたび歌って頂いたボーカリストをご紹介しましょう。

Synthesizer V AI Ayame さん


通称ボカロと呼ばれる歌声合成ソフト、声う電子楽器です。
この界隈では初音ミクが最も有名ですが、SynthesizerV シリーズは、生歌に近い表現が可能な歌声合成ソフトとして人気があります。

キャラクター(歌声データベース)ごとに声質も違い、Ayame は、ウィスパーボイスからファルセットまで、広い表現の幅を備えた、実在するボーカリストでいうなら、ミーシャさんや綾香さんのようなキャラクターです。

前々から目をつけてたので、この機会にポチりました。
日本語の歌詞をあえて英語で発音させたり、抑揚を抑えぎみに調声(ちょうせい)したくらいで、あの完成度!雰囲気も狙った以上!
Ayameを選んで正解でした!

この歌声合成ソフトの件、そのうちお知らせしよう考えてたら、うたすと2が始まってしまい、人が歌ってると思ってる方がいらしたので、いたずら心がムクムクと!
後でネタバラシしようと、ココまで寝かせてました。
みなさま、誤解させてすみませんでした。

最後に、グラブの雇われバンドが演奏してる雰囲気に全体を整えて、『ウチの彼ピはインプレゾンビ』の完成です!


さぁ!曲は出来た!


先に出来上がってた『ブーケ・ドゥ・ミュゲ』・『Simply』 との世界観の棲み分けも出来てるし、いい感じの課題曲が作れたと思う一方、そこからイベントが始まるまで、徐々に膨れ上がる不安・・・

だれも書いてくれないんじゃないか?
曲が邪魔でイメージを広げられないんじゃないか?

普段なら、曲をアップしたらそこで終わり。課題曲という役目故に感じる不安も初めての経験でした。

なので、一番初めの投稿を見た瞬間は、胸を撫で下ろしました(笑)
その余韻に浸る間もなく、次々と投稿される作品!
その一つ一つがまた面白い!
不安に思ってたのが恥ずかしくなりました。
noteに集ってる作家さんは凄い!
舐めてたのは私でした、誠にすみません!

また、「耳に残る」「脳内ループしてる」というこれ以上無い褒め言葉も頂いて、やって良かったと心底思う【うたすと2】でした!

みなさま、誠にありがとうございました!


インプレゾンビに寄せていただいた作品はこちらのマガジンで読めます。

【うたすと2】に参加頂いた全ての作品はこちらで読めます。


最後になりましたが、一緒にイベントを駆け抜けて下さった、

PJさん
大橋ちよさん
たらはかにさん
青豆ノノさん
八神夜宵さん

はじめ緊張から、文豪V(ぶんごう・ふぁいぶ)なんて茶化してましたけど、まじ文豪でしたね(汗)

この6人で一緒にやれてホント良かった。
心より感謝致します。ありがとうございました。


最後はこの曲で、私の【うたすと2】を締めさせて頂きます。

何がきっかけでバズるかわからないので、歌詞の世界感を再現する野望は捨ててないことを補足しておきます(笑)

では、また。


いいなと思ったら応援しよう!

soundws
今後の作品づくりに活かします。宜しければサポートお願い致します。