音響・吸音材としての木製品
一般建材や音響調整材・吸音材として多様な木製品が、廃材・間伐材などをリサイクル加工して供給されています。
特に北海道や東北など寒冷地においては、断熱材として製品化されていますが、これらは木造建物(住宅・音楽室・公共施設)において施工されています。
防音職人では、防音材を配送エリアから除外されて納品できない東北・北海道地域において、音楽防音室の必要な機能を確保するために、近年試行錯誤して活用してきました。
概ねD-45からD-50レベルの遮音性能を確保できる目途が付きましたので、さらに、レベルアップさせるために、東京・神奈川方面においては、確実にD-55以上の性能を担保できる設計仕様を確立することが出来ました。
木材のリサイクル加工で製品化された吸音材
北海道で生まれたウッドファイバーは、木材の繊維から作られた吸音材ですが、をカッターナイフなどでサイズ調整して施工できる製品です。
グラスウールよりも幅広い周波数帯の音を吸収することができ、標準の厚さは50ミリ(75ミリ製品は受注生産品)です。
防音職人が担当した北海道の音楽防音室(木造)においては、吸音材はすべてウッドファイバーを採用しました。
遮音材は北海道札幌方面まで納品できるように、メーカーと特別に交渉して現場に届けることが出来ました。
ウッドファイバーと一緒に活用した軟質シージングボードは、壁だけでなく床にも使用できる厚さ9ミリの製品で、吸音性と断熱性があり、エコ製品の認定がされています。
防音材無しで構築した防音壁
新築業者の社内規定で防音材を使用できなかった現場が、愛知県で1件、神奈川県で1件ありましたが、北海道・東北の担当現場の経験を活かして対処することが出来ました。
木造防音室の防音壁を新築業者でも施工できるように「音響・防音設計」契約をして、すべて一般的な建築材で設計して、施工要領も色々と工夫して防音効果を高めることに成功しました。
*愛知県の現場ではD-50以上、神奈川県の現場ではD-45以上の遮音性能を確保できました。(新築業者の事情で吸音断熱材はグラスウールしか使用できませんでした)
この2件の現場で使用した木製品は、「構造用合板」「ラワン合板」「シナ合板」「軟質シージングボード」です。
これに厚さ12.5ミリと9.5ミリの石膏ボードを併用しました。
余談ですが、新潟県の現場では、上記の製品に加えて、新築業者の努力で無垢杉材の羽目板を音楽室の音響材として仕上げ材に使用できましたので、かなり良い音響効果を出すことが出来ました。
このようにウッドファイバーでさえ使用できない現場でも、工夫と交渉次第で音楽防音室に必要な性能を確保できる場合がありますので、諦めないで新築業者や専門業者と相談することをお勧めします。