窓および壁の防音対策(木造)
窓業者の宣伝を鵜呑みにして「窓の防音対策」を実施すれば、戸外の騒音も自宅で演奏する楽器の音漏れも解決すると信じる人が少なくありません。
なかには「音楽防音室は内窓を施工すれば大丈夫」という誇大広告を出している窓業者が多いことに気づきます。
木造住宅は、新築の時点で大半が、窓の遮音性能はD-25程度で、壁(外壁側)の遮音性能は約D-30(約30dBの遮音)です。このまま、窓面だけ内窓による対策を行っても、窓面が約D-40以上になるだけであり、壁面から音漏れします。もちろん、窓の対策は必要ですが、同時に壁面の対策も必要です。
窓と壁の防音リフォーム
内窓によって、窓面の防音施工を行うには、窓周りの壁面をふかす必要があります。それは既存の外窓と新規で取付ける内窓の中間空気層を出来るだけ大きくするためです。
空気層が狭いと、特に中高音域の音の減衰効果が不十分になり、楽器の防音室としては弱点になります。
防音リフォームは、窓と壁面を同時に施工したほうが経費を節約できるだけでなく、防音効果を高めることが出来ます。
もしも、窓の施工費用が足りない場合は、先に壁の防音工事を行い、担当する施工業者に事情を説明して、諸経費分を安くする交渉は可能です。そうすれば、内窓を後付けしても費用は無駄にはなりません。
逆に窓だけ先に施工しても、壁の防音工事費用の時点で別途諸経費がかかりますので、経費が無駄になります。窓業者には天井・壁の防音工事が出来ないからです。
内窓の中間空気層と防音効果の目安
標準的な防音サッシュを内窓として取付けると、外窓の性能を含めて概ねD-40からD-45になります。
中間空気層が約9センチの場合は、高性能な防音サッシュを使用しても、これが限界です。
空気層を約18センチ確保すると、上記の遮音性能はD-45からD-50にアップします。防音壁の厚さが薄い場合は、窓の額縁(枠材)に「フカシ枠」を取付けて対処します。
音の周波数が高くなるほど、この中間空気層の厚さによって遮音性能が変化します。
この考え方は、新築の木造住宅の生活防音でも同じことです。