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住宅の防音材

最近、私の他のブログ記事や防音材紹介ページをご覧いただいた人から、問合せが急増しまして、防音材を購入したいので見積をくださいというリクエストです。

大半がDIYで生活防音や木造防音室を施工したいという内容ですが、意外と女性が多くて驚いています。以前、札幌市の女性依頼者に非常に重い遮音シート2.4ミリ(910×2400,約17kg/巻)をメーカーの協力で特別に納品しましたが、作業した翌日から筋肉痛でした(笑)というご報告をいただきました。(そのかたは生活防音ですが、うまくいったようです)

私の防音室の現場で使用する受注生産品なので小売はしていませんが、各社メーカーの特別協力で個人ユーザー限定で個別納品するようになりました。そこで、当ウェブサイトでも「防音材の豆知識」として、今後投稿していくことにしました。

プロ仕様の防音材の種類

他の記事でも触れましたが、私の業界の専門エンジニア(建築士を含む)の分類では、防音材は「遮音材」「制振(防振・絶縁)材」「吸音材」の3つを総称したものです。

石膏ボードは遮音材に分類されますが、これはプロ仕様の防音材ではありません。一般的な建築材です。木材は遮音性・吸音性・制振性があるので、私の防音設計では製品ごとに使い分けていますが、他の専門家から見ると特殊な仕様だと評価されています。

本題の防音材は種類ごとに述べていきます。ここでは市販品と受注生産品の異なるラインの両方の製品に触れます。今回は住宅の現場で使用される「遮音材」と「吸音材」に限定します。

主な遮音材

住宅で使用する遮音材の素材は、リサイクルゴム、樹脂(塩ビ含む)、アスファルト基材、ブチルゴムがありますが、鉛は有害なため住宅では使用しません。

私が使用する遮音材は樹脂のマット、アスファルト基材です。リサイクルゴム製品は、安定した製品が生産できないだけでなく劣化しやすいので除外しています。ブチルゴムは高価なうえ施工しにくいので、遮音気密テープだけ活用しています。

市販品には厚さ1ミリから10ミリ程度の製品があり、遮音シート・遮音マット(防音シート・マット)と呼ばれています。今回は優劣については言及しません。遮音シートの評価も別の投稿で扱うつもりです。

一方、私が使用する受注生産品は、厚さ2.4ミリ・3ミリ・4ミリの3種類しかありません。これは費用対効果や施工効率などを考慮して作られています。

主な吸音材

最も有名な吸音材はグラスウールとロックウールです。最近ではセルロースファイバー、ウレタンマット、軟質発泡断熱吸音材、ポリエチレンウールなど新製品が出ています。木質系ではウッドファイバーが製品化され、間伐材・木材の有効利用として注目されています。

基本的に繊維系の吸音材は防湿フィルムには包まれていない裸の製品です。このほかに、ライブウール(羊毛など)がありますが湿気に弱いので取り扱い注意です。昔の公共建築には木くずや藁など植物の繊維が吸音材として使用されていた事例があります。

我々防音設計の専門家が注目しているのが「ポリエチレンウール」と「ウッドファイバー」です。ポリエチレンウールはリサイクル素材でPETウールとも呼ばれています。両者ともにリサイクル素材で作られています。

とくに私の室内実験では、ポリエチレンウールは26年間以上劣化しないことが分かっています。これは他の製品には見られない特長だと思います。私の約20年前の設計図書には「吸音ウール」と表示されています。※某大手メーカーに製品名をパクられたものと同じ素材です。

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