防音対策の設計仕様・施工は様々な指標やデータで分析する必要がある
住宅や音楽防音室の防音工事や設計仕様を分析したり、具体的な留意点を示したウェブサイト、資料は少なく、ほとんどブラックボックスのような世界です。
このため、音楽ホールや録音スタジオに比べて、木造住宅・音楽室およびマンションの防音設計の比較的新しい情報を、書籍などの文献、ウェブページで集めることができません。
紙資料やウェブサイトなどに分散している指標・計測データを集めたり、自分で担当現場の測定評価を行いながら、経験則・経験値をストックして独自に考察・分析することが重要になります。
キーワードで検索できる防音関連の資料は製品情報が多い
ウェブの検索エンジンや広告量に起因する情報の偏りが著しく、実務に役立つ防音設計資料を入手するには、自分自身が相当な知識と経験を持っていないと判別する事ができないという難しさがあります。
また、検索で沢山出てくる市販の防音製品のメーカー情報が実際の現場で計測したものではなく、小さな試験体を試験室(無反響な室内や小さな密室など)で計測したデータであり、現場の防音効果と乖離することが多いです。
特につなぎ目のない試験体は、実際に施工ではあり得ない条件であり、通常の建築現場では、防音材に限らず、合板や石膏ボードなど建築材には、必ずつなぎ目(ジョイント部)があるので、この隙間処理や遮音欠損が考慮されていません。
中には、防音製品の施工要領が不適切なものがあり、メーカーの説明書通りに防音施工したら、殆ど効果がなかったという驚くべき事例がありました。その製品は現在も大手メーカーで販売されています(笑)。
玉石混交状況の中で、有益な専門情報を得るにも専門的なスキルが必要なのです。
複数の事例や資料で分析することでリスクを回避する
建物の状況や構造による現場の違い、暗騒音レベルに応じた補正を考慮しつつ、実測データを分析することがベストです。
このためには、非常に多くの現場を経験しながら防音設計の補正や改良を加えていくという地道な作業が必要です。
私はこのような作業を約25年以上続けています。それでも絶対的な正解というものは無いと言っても過言ではないと思います。
必ず、少なからず改良点や新しい発見のような現象が起きることもあるので、防音工事の現場は私にとって貴重な資料、宝物のような経験となります。一つの成功事例で全てを語ることはリスクが有り、出来るだけ多くの事例を検証してストックすることが望ましいのです。
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