木造の防音設計を理解してもらうのに苦労が多い
木造だから多少隙間や手抜きが有っても、余り遮音性能には影響はないのではないかと、勝手に思い込む建築士や建築会社が少なくなく、新築の設計担当の建築士とよく揉めることがあります。
大半は経験や知識がないので、木造そのものに対する構造的な理解力や遮音設計マニュアルへの基礎知識もない人が多いですね。大学や会社で基本を教える人が少ないので、建築士のレベルはそんなものかもしれないですが。
建築士が防音設計を台無しにしようとした事例
現場の新築担当の職人は私の説明図を理解しているのに、建築士が理解していなく情報を共有できないまま、見切り発車して防音構造が台無しになろうとしていたとき、ぎりぎり上記の画像のような注意書を建築士と現場に渡しました。(こんなこと誰でも理解していると思っていたんですが)
天井裏や壁内部の吸音材を途切れたような状況で施工しようとしていたので、一時的にストップさせ、施主の了解が得られない限り承諾できないと言いました。リスクを誰が責任を取るのか?と確認させました。
施主が、かまわないというのであれば、条件付きで進めても良いと伝えました。何のために吸音材を壁に入れるのか、子供でもわかることだと思っていました(笑)。どうやら、その建築士は事の重大性を感じていなかったようです。
この現場は新築の木造防音室ですが、ある有名建築家が経営する建築設計会社が担当でした。うちの提携先の建築士に言わせると、見掛け倒しの典型だと言います。実務能力がない建築士が、現場に丸投げしていることが多く、施工要領を知らないのです。
この現場は、私と提携先の防音工事担当の建築士が苦労した結果、無事に完成させることが出来、施主も満足できる性能を確保できました。
木造は遮音性能が弱いのか
別の記事でも触れたと思いますが、木材そのものは、ALCや石膏ボードよりも全般的に遮音性能は上です。もちろん樹種によるので、広葉樹や比較的比重の大きな針葉樹という前提になります。
ですが、杉材のように二次共振しない木材は、下地・表層材として多用すると快適な音楽室が構築できます。木造や木材の特性を生かした防音設計と施工ができれば問題はないです。
要するに木造の構造を理解して対処すれば、同じ構造体の厚さで同等の遮音性能を確保できます。質量則ではなく、吸音層を含めた多層構造で構成すれば防音性能は高めることが出来ます。
昔のマニュアルにはない最新の防音仕様ということになるでしょうか。これが私の設計理論です。細かい納まりを含めた施工要領が必要です。
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