昔ながらのDIY防音対策
投稿した画像の手作り防音室は、依頼者が大半をDIYで行った音響・防音対策です。
主な用途は笛および声(歌声・発声練習を含む)の防音対策ですが、近所や隣室への音漏れを軽減する目的です。
写真に見える2色の穴あき合板は、ホームセンターで購入できる製品で、厚さ5.5ミリです。この製品は、昔の木造音楽室などに標準仕様として壁面に使われていました。
*現在でも、木造防音室に使用されている工法です。
昔ながらの音響・吸音対策
仕組みは非常にシンプルで誰にでも出来るものです。
穴あき合板の裏側に吸音材を貼り付けて、壁に固定または立てかける方法です。
原理は、中高音の特定の周波数帯の音が穴あき合板(有孔ボードとも呼ぶ)の穴を通過する際に音が減衰し、背面の吸音材に吸収され、一番後ろの壁面で遮音される仕組みです。
このため、一番後ろの壁面は、通常は石膏ボードまたはコンクリート(パネルを含む)面の遮音性のある構造体が前提になります。
吸音材は音を減衰させるだけでなく、反射を抑えるので、狭い部屋の防音対策に向いています。
吸音材の留意点
吸音材の最も重要な事項は、人体に無害で安全であることと、適度な吸音性を持つことです。
市販されているグラスウールやロックウールは、室内に露出させると、喘息やアレルギーなどの健康被害を生じることがあるので、要注意です。
防音職人では、安全性の高いPETウール・フェルトを推奨しています。
接着は木工ボンドで穴開き合板に重ねて、吸音パネルとして作ります。刃渡りの大きめのハサミでカットできます。
*吸音ウール
PETウールはカットしても飛散することはなく、丈夫で耐用年数の長い製品です。防音職人では自宅で実験として約28年以上、壁や天井に貼り付けて経年変化を観察しています。現在も変化していません。
ちなみに、この製品は木造防音室の壁内部や天井裏に使用するプロ仕様の吸音材です。幅広い周波数帯の音を吸音できます。
防音材の選択と購入留意点
日曜大工が得意な相談者(DIY防音室など)は、まず自分が注文できる防音材をネットやホームセンターで探します。
ネット上の通販サイトや専門業者のホームページに掲載されている防音材の大半は市販品で大手代理店から注文して納品する製品です。
ここでは単価の妥当性には言及しません。
問題は防音材の正しい施工要領を提示して販売しているかどうかです。防音材は一般のユーザーとしては専門的な建築材なので、販売業者が正しい施工要領をもとにウェブサイトに掲載していると善意の解釈をします。
ところが、大手防音材メーカーでさえ施工要領を間違えている事例があり、販売業者はそのままメーカーの説明書を鵜呑みにして納品します。そこでユーザーからのクレームや低い評価を受けることになります。
それは自己責任や自業自得と言われると諦めてしまうことになりますが、それが原因で「防音工事の業界そのものの信頼性」が低下します。
それは、私のような防音設計・コンサルティング業者にも悪影響が出ます。このため、防音職人では市販品と一線を画すため、高品質な受注生産の専門メーカーの防音材を確保しています。そして、DIYユーザーに対しても適切な施工アドバイスと防音材の正しい組合せや選択を提示します。無責任に販売するだけの業者とは差別化を図っています。
DIYで防音専門業者に負けない防音室を造ることが出来る
木造の防音室であれば、日曜大工の得意なユーザーは大半の施工をDIYで施工することも可能です。ただし、電気工事は専門業者に外注したほうが無難です。※内装仕上げや内窓取付けなども必要に応じて職人に依頼することも出来ます。
重要なのは、防音設計と同様な施工説明図を作ること、必要な防音材を入手して正しい施工要領を理解することです。
これを疎かにすると、防音効果は半減します。
DIYであっても、正しい施工要領・説明図と防音材があれば、本人の努力で木造防音室を造ることは出来ます。もちろん、時間は掛かりますが、自分の空いている時間(休日など)で計画的に進めることができます。
費用も段階的に確保しながら無理なく進めることが出来るのがDIYの長所です。
防音材のアドバイス
防音職人では、市販品のリスクについても多くの情報を保有していますので、出来るだけ事前相談でアドバイスをしています。
いきなり自社の防音材を押し売りすることはありません・笑。
本業は「防音設計・コンサルティング」ですので、有料相談やコンサルティング契約を依頼していただければ、内容に応じて説明図作成及び防音材の現場納品、市販品活用のアドバイスが出来ます。
まずは、自分のプランに沿って「情報を集めること」が大事です。
いきなり、防音製品を購入しないように注意して下さい。無駄な買い物をすると処分に困ったり、健康被害を生じる場合もあります。
*防音職人では仕事場において、防音材のサンプルを触りながら基本的なアドバイスを行う「防音相談」のご予約が可能です。ただし、一般個人のユーザーで初回限定です。※時間帯は15時または16時開始です。
ちなみに、防音材には周波数特性など特徴がありますので、専門業者に質問して確認することが必要です。カタログを鵜呑みにしないようにご留意下さい。