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低周波騒音と遮音材

木造住宅の戸外騒音対策の防音相談・問合せで増えているのが、大型車両の走行騒音と作業所・電気設備等から発生する低周波騒音です。
*掲載した画像は「環境省パンフからの抜粋」です。

電気等の設備には、室外機のほか社会問題化したエネファーム・エコキュートがありますが、騒音の主成分に低周波音が含まれています。

また、ピアノは床などを共振させる低周波音を生じる楽器であるため、直近の居室や近所の家屋へ低周波音を含んだ騒音として迷惑をかける場合がありますので、要注意です。
*ピアノの主な周波数帯は約30Hzから約4200Hzという幅広い周波数の音を出します。

可聴域の低周波音の防音対策は可能な場合があります

一般的には、通常の防音工事で対処できるのは、可聴域の低周波音(約30Hzから100Hz)です。
音源に対して遮音壁などを作って囲うような対策が主なものです。それが出来ない場合は、被害者側の住宅内部に防音工事を行うことになります。

工事を検討する前に、騒音の主成分(周波数帯)を精密測定する調査を専門会社に依頼する必要があります。
*低周波音の測定は簡易測定では無理です。

低周波音に対しては市販の遮音シートは無力です

市販の厚さ約1ミリから3ミリの遮音シート(ロール状の梱包品)は重ねても効果はありません。
面密度が小さく、面密度の小さな遮音材を重ねても殆ど効果はないです。

通常、遮音ゴム系の防音材は面密度が約2kg/m2から4.5kg/m2程度の製品が多く、低音域の騒音対策には向きません。
市販品の中で唯一効果があるのは、アスファルト基材と充填材を混合した遮音材です。面密度は、約8kg/m2から12kg/m2程度の製品が使いやすく、状況に応じて重ねて使います。
大半が受注生産品です。特定の大手代理店または専門業者が注文できる製品です。
※補足(参考):グラスウールは低周波音に対する効果は極めて小さく、ロックウール及びポリエチレン(ポリエステル)ウールに比べて劣りますので、要注意です。

窓の対策としては外窓と内窓はセットになります

専門的な防音材以外ではガラス板も遮音材に分類されます。
外窓に通常のペアガラスが使用されている場合は、内窓を取付けることが必要になります。
防音ガラスおよび単板ガラスいずれも出来るだけ厚い製品を使用することになります。薄いガラスは低周波音の遮音効果が小さいため、合せガラス及び真空ガラスともに限界があります。

また、外窓のガラスだけでなくサッシも一緒に交換する改修工事が必要な場合もあります。

低周波騒音は年齢に関係なく、耳の感度は個人差が大きく、本人にしか、その悩みは理解されません。
防音相談の中でも、非常に難しい問題であり、諸条件の制約により、私も対策の実施を諦めることが少なくないです。


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