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防音構造における空気層と吸音率
建築士や防音設計のエンジニアなら、誰でも市販の吸音材(ロックウールなど)の周波数帯別の吸音率の資料を見たことがあると思います。
重要なポイントは、ロックウールを例にすると、厚さ・密度による周波数ごとの吸音率です。ほかに空気層の有無が表示されています。※空気層の有るデータも併記されている詳しい資料もあります。
通常は、注記されていなければ背後に空気層のない、空洞の無い閉じられた構造体に充填された(はめ込まれた)状態で計測された吸音率です。
吸音材と空気層による変化
防音設計の実務など実績のない俄専門業者・専門家は、空気層の有無や奥行き(深さなど幅)寸法による吸音率の変化について知りません。
なかには、空気層と吸音層の違いも知りません。前者は、吸音材の入っていない空洞を意味しており、後者は吸音材が充填された構造体・層を意味しています。一般的な可聴音及び低周波音は狭い空気層において共振して遮音低下を起こします。
高い周波数の音は、十分な奥行きのある空気層においては減衰しますが、一般的な住宅の天井裏や壁内には、十分に減衰するほどの空間はありません。
なので、一般的な木造住宅やマンションにおいては、空気層のないデータで設計してください。
低周波音と吸音材
社会問題となっている低周波騒音ですが、エネファームやエコキュートなど設備系の騒音だけでなく、戸外の工場の稼働音や住宅の床などで発生する重量衝撃音の主成分も低周波音(100Hz以下の音)が含まれています。
マンションやアパートでは、室外機からも共振する低周波音が発生することがあるなど、我々の身近な生活空間に存在しています。
これらの低周波音に対して、吸音材は効果があるかどうかですが、それは周波数によります。概ね30Hzから100Hzの低周波音には、使い方次第で吸音効果はあります。
一方、20Hz以下の超低周波音には、吸音材は殆ど効果はありません。空気層も役に立ちません。面密度の大きな構造体しか防音効果はないのです。
防音対策の検討を行うには、低周波音の精密測定調査や発生音源の調査が必要になります。これによって、現実的な対策が可能かどうかを判断します。