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防音設計・防音材の分析と経験

建築業界では「防音設計・防音材の専門分野」は隙間産業の一つとして認識されていましたが、近年は、にわか専門業者が増え、専門的なデータや分析結果の出典が明記されていないコピー情報が氾濫しています。

今までの投稿記事でも述べましたが、木造の防音設計及び防音材の解説書そのものが市販されていないし、ネット上にもコンテンツが集約されていないため、後発の業者が先発の専門業者のウェブサイトからコピーして切り貼りしたようなコンテンツを垂れ流しています。
また、防音材のメーカーのカタログから丸写しで流用したコンテンツが多く、ある大手防音材の間違った施工要領が通販サイトなどで、そのままコピーして掲載されているようです。

新築やリフォームの施主にとって、玉石混交のウェブ情報は重要な情報源であるにも関わらず、何が正しいのか判断するのが難しい状況だと思います。

専門業者のウェブサイトコンテンツの判断材料

まず、専門業者のコンテンツを見て判断できないときは、遠慮なくメールで質問すると良いです。コンテンツを記述した運営者本人であれば、電話での問合せにも即答できると思います。
メールの返信内容も専門的な知見を持って書かれると思いますので、読めば信用できるかどうか分かると思います。

オリジナルコンテンツは独自の視点で分析されていますので、金太郎飴のような回答はなく、多少難しいところは有っても納得できる部分が多いはずです。経験値に裏付けられた専門知識は、どこのマニュアル・ウェブサイトにも載っていない表現が含まれるからです。
それが私(防音職人)の本業の分野の特徴です。

防音効果などの分析結果は、当然ながら自分の担当現場または提携先の現場で行う音測定調査によって検証されるものであり、防音設計の詳細な仕様を知らなければ分析は出来ません。
このため、大半の防音専門業者が木造防音室において検証していないことが、業界の木造防音設計マニュアルが確立されていない大きな要因となっています。論より証拠と言えると思います。
これが防音業界の実態です。
他の専門業者のコンテンツを流用している業者が多いということは、実際には専門家と呼べるような人材が極めて少ないというのが現状でしょう。

一朝一夕では身につかない防音設計・施工技術

防音設計や防音材の効果を検証するためには、かなり長い期間における経験値と客観的なデータ分析が必要であり、様々なタイプの現場を調査する必要があります。
また、多くの傍証データや各種メーカーの製品資料から研究者が残した専門資料集めも必要であり、専門家でないと資料の価値を認識することさえ難しいという特殊な世界です。

私は自宅マンションや知人宅における防音実験を長年体験しながら、多くの専業の担当現場で事例分析を自腹で行うだけでなく、取引先・提携先および受注生産の専門メーカーの協力により内部資料を入手してきました。
「独立開業の20年間」プラス「会社勤め時代に旧建設省・住都公団の技術研究所等から集めた資料」を総合的に突き合わせて考察してきました。

このような地道な作業もようやく終わりが見えてきて、昨年からはブログ投稿やウェブサイトの資料編づくりを始めたところです。

ただ、やり残したこともあります。それは後継者を育てることが出来なかったこと、業務提携をする仲間を確保できなかったことです。
どうしても同業の取引先の建築士は手柄を自分のものにしようとする傾向があり、協業というスタイルはうまくいきませんでした。
業界の人材確保の難しさを痛感した20年間でした。

ただし、主な防音施工技術は提携先の若い建築士に伝授する事ができました。これによって木造防音室などの現場の調査・施工管理を任せることが出来るようになったことは、大きな成果だと思います。

なお、専門家のウェブサイトを見る場合、「最新情報や技術的な分析・課題などトピック」はブログを見れば概要を掴むことが出来ます。
業界が抱える実情・課題を一人の専門家として正直に考察・体感している様子を見ることが出来るので有益です。

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