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木造ピアノ室のコンサルティング

木造住宅の新築時に計画的にピアノ防音室を構築できなかった依頼者(施主)へのコンサルティング業務の事例についてご紹介します。
主に、「新築時に予算を確保できなかったケース」と「新築時に新築業者または専門業者の工事でうまく行かなかったケース」について、有料の防音相談から対応して、ご契約に至るまで仕事場での打合せと電話相談で対処した事例です。

大半が施主様のDIYと外壁側内装面のリフォームだけで対策を行った事例です。
私は、本業の新築またはリフォームによる「音響・防音設計」業務の日程が諸事情で大きく空いた時間を利用して、相談案件を1週間あたり1件に限定してお受けしています。
現在、1件だけコンサルティング中心のご防音相談を実施中で計画案を作成中です。
また、すでにコンサルティング業務のみで、新築計画の検討業務として2件ご契約をいただいて、現在、進行中です。

新築計画におけるコンサルティング留意点

防音職人のウェブサイトは、新築向けのコンテンツで木造音楽室の防音設計に関する留意点や要点は、ブログでも繰り返して投稿してきました。
しかし、仕事場での相談打合せの際に、相手に説明して確認をすると半分も理解されていない、後日同じ質問をメールと電話で繰り返されると私の方も手間が増えます・笑。
これは打合せの際に、まったくノートを取っていないからだと思います。しっかり理解されいる相談者の大半は、打合せ中にメモを自分の資料に書き込んでおり、概ねコンサルティングの内容を把握されています。

メールや電話での打合せの際は、必ず要点や疑問点をノートに記して、整理するようにして下さい。対面打合せも同様です。
ウェブのコンテンツを読んで分かった気分になっていても、本質的な中身を理解していないことが多いと思います。一般の読者がすぐにコンテンツを理解することは通常は難しいです。理解できない箇所は自分のノートに書き出しておいて、打合せの際に質問するようにしてください。
施主が理解していないと、新築担当の建築士に説明することができなくなります。コンサルティングをくれぐれも無駄にしないように生かして下さい。

私は念の為、打合せした重要事項は提案書(計画書)の中に出来る限り書き込んで分かるようにはしていますが、施主から新築担当の建築士に計画書を渡して、彼らにも理解してもらうように確認作業をしてください。
もちろん、建築士からの質問事項には出来る限りお応えしますが、具体的なアドバイスは契約後になります。

リフォーム・DIY対策におけるコンサルティング

新築物件の防音リフォームを検討する場合は、大半が予算不足で音楽室内全体について対策することは出来ません。
この場合、最も音漏れが懸念されている箇所だけ施工して、それ以外は施主のDIYで出来る限り対処するようにします。

ピアノ室全体に拡散する空気音はDIYで減衰させるのは難しいですが、脚やピアノの下部から発する床への直撃音や床に直接伝播する固体音は、DIYでも軽減できます。
市販のクッション(ポリエステルウール入り)やインシュレーターと床の間に手作りのパッキンを挟むなど、比較的簡易な対策で音漏れを減らすことが可能です。

ピアノの脚と床材の間に挟んだ手作りのパッキン

また、壁面からピアノを少し離して、吸音パネルを手作りで設置することで音響調整と直撃音を減らすこともある程度可能です。作る費用がない場合は、本棚を壁面に並べて、棚に吸音する素材を詰め込みます。書籍類も有効です。

リフォームにおける追加の防音工事

通常、追加の防音リフォームでは床の高さが変化するとドアやクローゼットなどの扉が接触するので、床はDIYで対策して、防音工事は主に壁面を施工対象とします。

すでに完成した室内では建具や窓など色々な制約があるので、通常の標準的防音壁は構築できません。
このため、薄型の防音施工しか対処方法がありませんので、いかに薄い防音施工で遮音性能をアップさせることが出来るかが重要です。

また、設置したピアノを室外に出してから、既存のボードを剥がして、壁内に吸音材を充填することも有効です。

使用する防音材は、音漏れの主成分が低音の周波数帯か高音の周波数帯かによって選択肢が複数ありますので、できれば、周波数帯を分析できる測定機で計測することが望ましいです。※スマホのアプリでも傾向は読み取れます。

床の防音工事はやり直しが難しいので、出来るだけ床と天井は新築時に計画的に施工することをお勧めします。

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