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新築ピアノ室の防音相談

新築の木造ピアノ防音室の相談が、私へのリクエストの中では最も多く、大半が新築業者が防音工事そのものを断るケースが多いです。

そこで、依頼者(施主)は、防音計画の立案と防音工事の設計について打診されることが一般的ですが、新築が竣工したあとで防音工事を行うケース、新築工事の中で出来る限りの対策を行うケースに大別されます。

竣工したあとに防音工事を行うケースは、基本的に私の提携先が日帰りで通うことが出来る現場に限定されます。

新築工事の中で出来る限りの防音施工を行う現場は、レベルが様々で、施主の理解力と新築業者の協力によって成り立つものです。

投稿した画像(写真)は、新築業者に断熱材・吸音材および防音ドアの取り付け、内装(床はクッションシートにして無駄を省いた)までを施工してもらった後で、専属チームが防音工事と仕上げまでを担当した現場です。

新築業者が防音施工を強行して失敗する現場

私の提案を施主(依頼者)を経由して、新築業者に防音計画書を渡して説明しても、自社基準以外は施工できないと拒否して、いい加減な防音工事を強行する現場もありました。

しかたないので、コンサルティング契約(新築施工の留意点指示とDIY資材の納品)を限定的な内容で施主と交わして対処することがあります。

新築業者には石膏ボードや合板の施工要領だけを指示して音漏れを少しでも軽減することに加えて、施主がピアノの下や周りに制振材・吸音材を設置して固体音と反響音を抑える対策を授けます。

そのあと、音漏れの状況に応じて、追加で防音リフォームを検討するという二段構えのコンサルティングです。新築業者が失敗した状況を改善するための対策です。次善の策ですが、これ以外には方法は無いと思います。

音響・防音施工は施主と新築業者の理解が重要

役割分担さえ明確に出来れば、竣工後に防音工事を追加で行うことは可能です。私の防音相談では比較的多い案件であり、新築業者と私の提携先の施工を明確に分けて計画するものです。

新築業者が防音工事まですべて施工する場合は、現場に「防音施工説明図」「防音材などの施工要領」「専門的な防音材」を納品します。

地方の現場の大半が、これに該当しますが、木造に慣れている真面目な工務店であれば施工は出来ます。今まで現場の大工職人に出来ないとは言われたことは殆どありません。

それは、私の仕様書や施工要領が木造軸組在来工法の特長を活かす提案になっているからです。私の説明図や仕様書を見た職人たちは安心します。「思ったよりも普通じゃないか」と感じるのです。ただし、手間は掛かります。

質問の大半が防音材の施工の仕方(施工要領)に集中します。これさえ納得すれば予定通りに工事は進みます。

中には新築業者が予算や日程の制約で断ることもある

新築業者が防音工事そのものを断るケースは、基本的に諦めます。流石に私にもどうしようもない事です。

最近、色々と相談に乗った案件がいくつかありましたが、施主が私の提案を理解していないことと、施工を担当する建築会社がやる気がなく、対処できない場合は仕方ないです。

主な理由は、竣工が遅れると施工を請け負う業者の職人や取引先への支払いが遅れたり、会社の利益が減ると考えるからです。

施主も予算的な事情があり、増額は認められないことも多いです。でも、ピアノ防音室を希望する事自体が、工事費用の増額になるわけですから、これは資金計画に大きな問題があります。

「去る者は追わず」これが私の基本スタンスです。リスク説明をする前に、聞く耳を持たない施主は自己責任ですから、仕方のないことです。今年は、相談案件の明暗がはっきり別れました。

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