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防音材と専門業者のオリジナル技術

基本的に建築業界の防音専門業者が開発した防音材はほとんど無いと思います。
それは、遮音材・制振材は、土木業界で開発されたアスファルト遮音材が最も歴史が古く、車業界で開発された制振材・吸音材以外で実用的に効果のある製品がほかに開発されていないからです。
建築業界が開発して製品化したものは、面密度の低い遮音シート、グラスウールとロックウールなど建築用の吸音材だけだと思います。
*建築業界が開発した遮音シートは大半が無力に近いので、これは余り評価できません・笑。

防音設計を専門とする業者・エンジニアにとって、防音材をどこの業界が開発しても構わないのですが、重要なのは現場で施工するための施工要領と設計仕様のレベルの問題です。専門業者のオリジナリティはそこに有ります。

ときどき、設計ノウハウを盗もうとして相談者のフリして、私の仕事場に打ち合わせに来る人が居ますが、その時点で、色々と自分の知識を誇張して話されるのを見て、私は適当に他の専門業者が知っている内容だけ簡単に説明することにします・笑。
そうすると、その程度の内容しか無いのかと、納得されたような様子を見ると、間違いなく、防音設計を依頼するために防音相談に来られた人ではないことが分かります。
なので、近年は、最初から自分の職業や所属する会社など伏せて近づく偽の相談者は門前払いしています。

市販品でも受注生産品でも、施工要領や設計仕様が分からなければ、宝の持ち腐れであり、重要なのは、建物構造や要求される音響・防音性能など諸条件を総合的に判断して、可能な限り課題をクリアできる技術を持っているかどうかです。
自分の専門分野のオリジナルの設計・施工技術がなければ、専門家あるいは専門業者と呼ぶべき価値はないと思います。

健康上の理由で通常の防音材が使えない音楽室の対応

樹脂やアスファルト基材、リサイクルゴム、ブチルゴム、ロックウールなど大半の防音材が使用できない現場もあります。

その場合は、木材・木製品の活用およびPETウール・フェルトしか対策の方法がないことも有ります。

建築計画における、間取り調整や減衰空間の備えが、とても重要になり、木材や木製品の選定は、吸音率や共振を軽減できる設計仕様として経験則や既往の事例をもとに判断します。
また、PETウール・フェルトは実績のある製品が少なく、異分野での活用事例が貴重な判断材料となります。

一般建材の施工要領によって防音効果を高める

また、予算上の制約で、防音材を限定的にしか使用できない現場は、特に一般建材の効果的な活用や詳細な施工要領が重要になります。

手間を惜しむことなく、大工職人など現場のスタッフに確実に施工してもらえるように、つなぎ目の処理や、壁・床などの取り合い部分の納まりなど施工要領は不可欠です。

たとえば、石膏ボードのつなぎ目からの遮音欠損を抑えるための施工要領や補助資材の指示は「施工要領・手順指示書」として用意する必要があります。通常のパテで対応できない場合はどうするのか?現場では職人から色々な質問が出ます。使用するテープ類の選定や使い方まで指示する必要があります。

防音職人では、非常に地味な作業ですが、できる限り防音効果を高める工夫を提携先の建築士や職人といっしょに相談しながら、実践的な現場経験を含めて研究してきました。

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