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取引先に影響されること・初心を忘れないことに留意

語弊があるかもしれないが、取引先が自分の商いの主力製品を扱っていると、その取引先の考え方などに影響されて、自分を見失う人が居ます。

私の現場を担当していた元職人(自営業)に、安く製品を提供するために取引先の建築士を紹介したところ、悪い考え方に影響されたようです。

自分の製品が最強とか、100倍効果があるなど、これは通販業者の誇大広告に通じる表現です。賢明なユーザーには逆効果になる表現です。

自分が商いを始めた時に考えていた「優れた商品や技術を提供する」という純粋な心に立ち戻る必要があると思います。

取引先の建築士は、自分の失敗を忘れて成功した事例だけを強調する癖があり、今まで私の守備範囲から外れる相談者を何件か紹介したことがありますが、しゃべり方やホームサイトの表現に疑念を持たれて、うまくいきませんでした。悪気が合って、そのような表現をしているのではなく、個人の性格の問題です。

自分の商品と技術を冷静に正直に評価すべき

役に立たないような市販品と比べても、自分の製品や技術を正しく評価できません。それは比べる対象が悪いからです。

A社の製品に比べると大分効果がありました。というユーザーの評価は、あくまで比較した場合の効果であり、他の専門業者の中でのレベルを分析したものではないです。

私の本業では、客観的にD-45とか数値の性能と体感を突き合わせて、事例を積み重ねて標準化しています。非常に年数と手間がかかり、一つの設計仕様を確立するには、中期的な取り組みが必要です。

上記の知人と建築士は、非常に利益や成果を早く求める傾向があり、私のような研究者思考とは異なります。提携先や契約者に言わせると、私はあまり商いには向かないようで、セールストークや押しが弱いように誤解されることがあります(笑)。

推しは強いです。私の提案をあまりご理解いただけない相談者の案件を断ることは珍しくないです。過度な期待や冷静さを欠いた評価をされると、クレームにつながります。費用対効果とかけ離れた成果を求められても無理です。私は比較的冷めた目で自分の実績や技術を分析しています。

出来ることは出来るが、出来ないことは出来ない。いくらお金を積まれても、心は動きません。この性格は、母が言うには祖父に似たものだということです。祖父の屋号は「三河屋」です。先祖は名古屋の商人です。祖父の生まれ故郷の町史に家系図が記されており、ひと財産を築いたのですが、転封先(現在の島根県浜田市)で、城下の侍が生活に困窮した際に、有る時払いの催促無しでお金を貸して、蔵を潰してしまったそうです。

祖父も先祖も蓄財には興味がなく、自分の子供には人間的に成長することを望んでいたと。お金に頼るなということを言いながら、貧乏暮らしをしていました。非常に正直でエンジニア思考の人でした。若い頃は発電所の技師をしていましたが、家業を継ぐために、東京から浜田市に戻ったのです。

私は祖父に感化されたのかもしれません。貧乏なところまで似てしまい、笑うしかないですが(笑)。私も祖父も野心がないという共通点があります。

自分の技術は、冷静に分析しながら、人間としてやれることを、しっかりやるという地道なスタンスで進みたいと思います。

取引先は反面教師として、失敗は教訓として

私は取引先の製品を活用してきましたが、失敗作もありました。取引先の新製品が「ある周波数帯で同調してしまい、効果を打ち消す欠陥が見つかった」という事実に直面し、複数の同時進行の現場に対応できなかったことがありました。

1件は私の指示を遵守していたのでリスクは回避できましたが、別の現場は取引先に任していたのですが、施工要領を遵守していなかったようで弊害が起きました。生涯忘れることの出来ない経験です。その製品は上記の建築士が販売していた防振ゴムでした。もちろん、使用停止にしました。複雑な施工要領を守らないと施工できないような製品はリスクがあります。

自分の技術や製品を過信することは、冷静な分析やリスク回避という視点を疎かにしがちになります。沢山の事例や分析・研究を加えないと、設計施工の標準仕様として確立できません。

なので、工務店やリフォーム業者に「ご教示ください」と簡単に言われると相手にしません。

余談ですが

5年位前に、予算1000万円の案件と約100万円の予約案件を同時に相談されましたが、前者の方は断りました。それは「お金を出せば出来るだろう」と言われたので、躊躇なく「誠実な依頼者の約100万円の現場」を優先しました。上記の職人は非常にがっかりしていましたが(笑)。

私は相談者の人間性を重視してから引き受けることが多く、商いには向きません。みなさんが言うように、私自身も商いには向かないと自覚しています。「こんな不景気な時代に、金額の大きな方の仕事を断るなんて、あんただけだ。」と居酒屋(知人店主)のおやじに笑われました。

さて、やっと23日(月曜)の夕方に二回目のワクチン接種が完了しましたが、やはり副反応は出ました。発熱は殆どありませんでしたが、打たれた方の腕がかなり痛くなり収まるのに3日間かかりました。

少しでも重症化リスクを軽減できてよかったと思いますが、基本的にライフスタイルは変わりません。対面打合せも、戸外で一定の距離を保った状態で立ち話にしています。室内での打合せは今年は休止するつもりです。

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