遮音材の豆知識(続報)
今回は、前回の遮音材の話を補足して、「遮音シート」について分析した概要などを述べます。
遮音シートの大半は市販品が使用されており、多くの現場で殆ど防音効果がないと報告されている製品です。
その原因と、差別化されたプロ仕様の遮音シートについて言及したいと思います。
遮音シートの効果が体感できない理由
理由は意外とシンプルで、「面密度が足りない」「制振性がない」「音を吸収できない」という3つの点です。
市販の遮音シートを石膏ボードや合板に貼り付けても遮音効果がないのは、石膏ボードや合板自体が面密度約4.8kg/㎡から約6.0kg/㎡あるので、これよりも薄くて面密度の小さなシートを面的に貼り付けても無駄なためです。
しかも厚さ1.0から1.2ミリ程度のシートは、音を吸収できないうえに、制振性能が殆どありません。製品そのものの能力不足が主な原因です。
厚さが2ミリ以上有る遮音シートでも面密度が4kg/㎡以下の防音材は、ほとんど相乗効果が出ないので、施工の手間がかかる割に効果が少ない、費用対効果が小さいということになります。
プロ仕様の遮音シート
私が現場で使用するプロ仕様の遮音シートは受注生産品であり、普通の問屋では市販されていない専門メーカーの防音材です。
厚さは約2.4ミリ、面密度は約7.8kg/㎡ある高比重で柔軟性の有る遮音材です。耐用年数も市販品に比べてかなり長く、費用対効果は高いです。
カッティング調整が容易で施工しやすいのも特長です。DIYで使用するには重すぎて大変ですが、それでもチャレンジした女性が居ます(笑)。次のページを御覧ください。→遮音シートの事例
この製品は、通常は防音工事で使用するもので、施工要領に基づいて施工する必要があります。
この様な遮音シートが存在することを、専門業者や建築士でも知っている人はごく僅かです。知らなくても、決して恥ではなく、知名度の高くない専門的な防音材なので、知らない人のほうが圧倒的に多いのです。
市販の遮音シートと専門的な遮音材の性能は、想像以上に乖離しており、製品選定の段階(防音設計)で、すでに大きな差があります。
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