カメラを購入した
TikTokをしている人と一緒にBBQ等をするとしばしば音楽と振付けを覚えるよう「指導」が入る。そしてその成果がいい感じに反映されるまで動画撮影が続く。ただ成果は共有がなく、結局よく分からないままネットの海に放流されているようなのでちょっとモヤモヤする。
Instagramをしている人と一緒に出掛けるとしばしばスマホのインカメラで写真を撮る時間が発生する。これは別にInstagramをしていない人でもよくあることだが、後者の人達は基本画角に撮影対象全員が収まることを意識し腕を伸ばしながらスマホを横向きに撮影するのに対し、前者の人達は如何に盛るか、映えるかを意識する。多くの場合スマホは縦向きだし最小限の人数だけを撮影する。表情のコントロールも欠かさないし顔を盛るエフェクトの効き具合もちゃんとチェックしている。彼らは写真をたまに共有してくれるがネット公開自体は承諾なく実施される。ただもはや己の顔面からほど遠い「何か」が公開されるだけなので実質的に問題はない。
Twitter…というかXをしている人は相互フォローしている友人を除き基本的に「それ」の話題をしない。ただ私生活を「リアル」と表現する人は大体Xをしているものだ(偏見)。逆にXを通じて知り合った人と会うと「エンカした」等と言いながら、お互いの画面を見せ合った写真を撮る場合がある。基本顔を晒す時は確認をしてくれるし、イヤだと言えばスタンプなどで「モザイク」をかけてくれる場合が多い。写真自体もまあまあの確率で共有してくれる。
facebookをしている人…はあまり何もしないな。そもそも最近多くの若者はfacebookを生息地としていないように思う。Linkedinの方がまだ話題にしやすいのではないかと思うレベル。どちらにしても彼らはあまり人を撮影することがない。自然体で撮影した写真のうちいくつかを記事にまとめる人が多い印象だ。写真はLINE等でアルバムが作られるレベルで共有される。
まあ何が言いたいか、というと大体スマホで撮影され、多くの場合SNSと強く結びつく。それが現代の写真や動画の在り様なのだ、という話。
10年ほど前に発売された小さなミラーレス一眼を購入した。別に写真を撮る趣味があるわけではなかったが、ちょっとCMOSサイズが大きめのカメラ特化スマホ(SONY Xperia PRO-I)を使用していたら存外にハマってしまった形だ。とは言え別にAPS-Cやフルサイズセンサーを搭載したガチの機種を買ったら持て余すだろうし、何よりレンズを買い揃える金もない。持ち歩く覚悟が必要な機種だと多分撮影する頻度も減るし、初心者のままカメラをカビの餌にして終わるだろうなと思った。
購入した機種はPENTAXのQ-S1という小型のもの。正直センサーサイズは1/1.7と小さい。1型をクロップして1/1.3相当にしているXperia PRO-Iの方が大きい。別にセンサーサイズの大きさで画質を語るほど迂闊ではないつもりだけど、それでも高感度を求める機種ではないこと位は初心者でも理解できる。実際ISO設定もレンズによって多少はあれど800位が上限と思っておく方がよさそうな機種だ。
まあ、色んな意味で時代に逆行しているなと思う。写真をこのように記事に公開するまでにも色々儀式めいたものが発生するし、フィルタ機能だって今時じゃない。ましてや「コンピュテーショナルフォトグラフィ」全盛の時代にあって、撮れる写真はあくまでもリアルに近い。
ただもはや若者とは言えない己にとってこの儀式は割と心地よいものでもある。カジュアルでないからこそ良いのだ。それが今時インスタントラーメンですら「完全食品」が入手できる時代にあって、手料理は健康的でジャンクフードは体に悪いと言い続けているような類の戯言だとしても。
勿論、そもそもスマホからカメラに入ってみようと思った身としてはスマホのありがたさ、撮影能力の高さは理解しているつもり。特に夜間撮影はXperia PRO-Iの方が優秀な気がする。更に言えばサブ機種として所有しているnothing phone(1)でもGcam(Google Pixelのカメラアプリ)等を入れたら夜間撮影だってそれなりにはこなせる。もちろんRAWからの加工ありきにはなるが。
多分これがガチの一眼レフであれば圧倒的な画質を持ってその辺のスマホなんて駆逐しちゃうんだろうけど、Q-S1が「そこそこ」であるからこそ、こういう使い分けの話が出来る。その塩梅が良い。正直購入前は「もしかしたら最近のスマホの方が綺麗かもな」とさえ思っていたが。
今時ではない。冒頭のSNSとの連携なんてもう地獄だ。だけどそれが個性なんだと思える。まあ何というか、愛らしいのだ。なんだかSNSを見据えた撮影が億劫な時でも、情報としての価値がなくたって写真は許されるんだな、と思える。(書いていてSNS疲れを起こしている自覚をした)
そういう意味では10年前の小型ミラーレス一眼、というのは2回目の「旬」なのかもしれないな、と思う次第。
今度TikTokの動画を撮られそうになったら、このカメラで動画撮影提案してやる…。