
【車やバイクの話5】エンジンオイルの種類と構成と選び方
今回はエンジンオイルの種類と構成、選び方について解説します。
エンジンオイルの選択は車をより良い状態で走らせるために重要なポイントとなります。
エンジンオイルの構成
エンジンオイルは下記の原料を組み合わせて作られます。
添加物(5〜30%)
ベースオイル(70%〜95%)
1.添加物
エンジンオイルをはじめとした潤滑油に使われる主な添加物は以下になります。
粘度指数向上剤(ポリマー):オイルの粘度-温度特性を向上
摩擦調整剤(FM剤):オイルの摩擦特性を調整
流動点降下剤:低温での流動性を維持
消泡剤:泡立ちを抑制
清浄分散剤:エンジン内の清浄を保持
防錆剤:金属の錆の発生を防止
酸化防止剤:オイルの酸化劣化を抑制
◾️粘度指数向上剤(ポリマー)
エンジオイルの特性は、低温時には固く、高温時には柔らかく(シャバシャバ状態)になります。
ポリマーは温度が上昇すると、分子が大きくなる特性を持っており、
本来であればオイルがシャバシャバになってしまう高温になってもオイルの粘度が落ちにくく(シャバシャバになりにくく)なります。
2.ベースオイル
ベースオイルには、以下の5つのグループが存在します。
グループ Ⅰ :鉱物油(ミネラルベースオイル)・硫黄分>0.03%
グループⅡ:鉱物油(ミネラルベースオイル)・硫黄分≤0.03%
グループⅢ:化学合成ベースオイル・VHVI(精製油)
グループⅣ:化学合成ベースオイル・PAO(ポリアルファオレフィン)
グループⅤ:化学合成ベースオイル・グループⅠ〜Ⅳ以外(エステルなど)
鉱物油(ミネラルベースオイル)
グループ Ⅰ・Ⅱのベースオイルです。
原油を蒸留、精製して不純物を取り除いて作られたオイルです。
耐熱性や酸化に弱く劣化が早い。
化学合成ベースオイル
グループ Ⅳ・Ⅴのベースオイルです。
原油を化学分解し、成分を調整して人工的に精製されたオイルです。
耐熱性・耐久性に優れ劣化しにくく、低温時にも始動性に優れます。
スポーツ走行、高負荷走行、短距離走行に適しています。
劣化しにくいた交換頻度も少ない点がメリットです。
部分合成油
グループ Ⅱのベースオイルです。
鉱物油に化学合成油を20%以上配合した混合オイルです。
鉱物油のデメリットである耐熱性や酸化耐性の弱さを、化学合成油で補い劣化しにくくなっています。
配合の割合よって、様々な特徴のオイルがあるため多くの車種に対応できます。
長距離走行、高負荷走行が多い車に適しています。
合成油(VHVI)
グループⅢのベースオイルです。
VHVIは原油を原料といて製造するため、「鉱物油」と分類できます。
しかし、モービルとカストロールの裁判の結果、カストロールが勝訴し、VHVIを合成油と表記することが認められた経緯があります。
その後、多くの会社が合成油と表記しています。
エステル
グループⅤのベースオイルです。
MOTULが世界ではじめてエンジンオイルの配合した物質です。
主な原料はヤシ油で、アルコールと酸に分解し、良い部分を合成して精製されます。
磁石のような性質を持っており、金属にくっつきやすく、金属表面を保護し摩擦係数を減らすことができるため、高出力を期待できます。
また、耐熱性に優れスラッジができにくくエンジン内を清浄に保つことができます。
ベースオイルの性能
エンジンオイルの性能はベースで決まります。
ベースオイルは下記のような性能さがあります。
鉱物油 < VHVI < PAO < エステル
鉱物油は原油を蒸留・精製して作られ、VHVI・PAO・エステルは原油を科学的に合成して作られる点に違いがありました。
その違いは、性能の違いとなります。
化学合成油は原油を分解して成分を調整して作られるため、引き出したい性能となるように合成をすることができます。
つまり、化学合成油は目的を達成するために設計されたベースオイルと言えます。
エンジオイルの選び方
エンジンオイルの性能には差があることがわかりました。
そして、最高品質のものが必ずしも自分の車やバイクに適しているとは限りません。
指定された粘度
車やバイクにはメーカーによって指定されたオイルの粘度があります。
指定の粘度のオイルを使用することで、エンジンを良い状態に保つことができます。
車の使用状況
高速走行、長距離走行、街乗りなど使い方によって、エンジンオイルを選択します。
高速走行・長距離走行車には高粘度のオイルを選択する、街乗りが多い車は低粘度のオイルを選択する。
など、使用方法によって粘度を選択します。
まとめ
エンジンオイルの種類と構成から、エンジオイルの選びかたについて解説しました。
エンジンオイルは添加物と、ベースオイルから構成されている。
ベースオイルの性能がエンジンオイルの性能に比例する。
ということがわかりました。
エンジンオイルはその性能だけでなく、
車やバイクの使用用途によって選択する必要があります。
最高品質だから良いという訳でありません。
適切なものを選ぶことが必要となります。